

F4U「コルセア」とF6F「ヘルキャット」。両者ともWW2時の米海軍を代表する艦上戦闘機です。
この両者を比較した場合、一般的には
この両者を比較した場合、一般的には
「性能はコルセアの方が上だが、実績はヘルキャットの方が上」
と評価されることが多いようです。これは両機を運用した当事者である米海軍自身が認めている話なので、説得力があると言えます。しかしもう一方の当事者である日本側から見た場合、上記の評価は必ずしも当てはまりません。日本側ではむしろコルセアよりもヘルキャットの方をより強力な敵であると見なしていた感すらあります。
そこで今回はコルセアとヘルキャットの両者を比較し、性能面や実績面での優劣を検証します。また両機がSLG上ではどのような評価を得ているのかについても考察してみたいと思います。

この表は、コルセアとヘルキャットの初期型同士を比べてみたものである。
意外と思われるかもしれないが、F4U-1AとF6F-3を比較した場合、最大水平速度を除けば殆どカタログスペックに優劣は認められないのである。海面上昇率や航続距離ではむしろヘルキャットの方が上。数値に表れない運動性や防弾性についても、翼面荷重に優れ、頑丈さでも定評のあるヘルキャットがコルセアを上回ることは容易に理解しえよう。
意外と思われるかもしれないが、F4U-1AとF6F-3を比較した場合、最大水平速度を除けば殆どカタログスペックに優劣は認められないのである。海面上昇率や航続距離ではむしろヘルキャットの方が上。数値に表れない運動性や防弾性についても、翼面荷重に優れ、頑丈さでも定評のあるヘルキャットがコルセアを上回ることは容易に理解しえよう。
次に下図を見ていただきたい。

これはコルセアとヘルキャットの最大水平速度、翼面荷重、馬力荷重を比較したものである。比較しやすいように全ての数値は零戦52型を100として正規化してある。また翼面荷重や馬力荷重のように小さい方が有利な機体については、逆数を比較している。こうして見ると両者は殆ど差のないことが数値からも理解できよう。
数値に現れていない面でも「癖がなく素直な」ヘルキャットに対し、コルセアはじゃじゃ馬であった。デビュー当時からの視界の悪さと失速特性の悪さが指摘されていたが、そのために空母へのデビューがヘルキャットと比べると1年近くも遅延することになってしまった。他にもデビュー当時はエンジンに問題があり、29,000ft以上の高度ではエンジンが停止してしまう危険があった。
このようにトラブルの多かったコルセアが実戦の場面でもその実力を十分に発揮できなかった可能性は高く、そのことが日本側パイロットをして「コルセア組し易し」という評価につながったのかもしれない。
ヘルキャットは逆にデビュー当時から大きなトラブルがなく、パイロットからの信頼も勝ち得ていたので、その実力を十分に発揮し、そのことが日本側パイロットをして「グラマン恐るべし」という評価につながったのかもしれない。
このようにトラブルの多かったコルセアが実戦の場面でもその実力を十分に発揮できなかった可能性は高く、そのことが日本側パイロットをして「コルセア組し易し」という評価につながったのかもしれない。
ヘルキャットは逆にデビュー当時から大きなトラブルがなく、パイロットからの信頼も勝ち得ていたので、その実力を十分に発揮し、そのことが日本側パイロットをして「グラマン恐るべし」という評価につながったのかもしれない。
ゲーム上での比較
DiFシリーズの場合
「Zero」や「Corsairs&Hellcats」で知られているGMT社のカード空中戦ゲームです。本シリーズで登場するコルセアとヘルキャットは完全に同一性能になっています。DiFシリーズは元々ハードウェアの違いを重視したゲームではなく、むしろ運用面を重視した作りになっているので上記のような評価になってくるのかも知れません。
Fighting Wingsシリーズの場合
プレイし易さを重視したDiFシリーズに対し、Clash of Arms社のFighting Wingsシリーズは精密さを追求した空戦ゲームです。本ゲームで再現しようとする空中戦は航空力学に基づいたかなりシビアなものであり、下手に宙返りなんかしようものなら忽ち失速してしまいます。あの傑作「エアスペ」シリーズの正当な後継者といえる作品なのですが、「エアスペ」に輪をかけた緻密さと難易度の高さで、さすがの私も本作は途中で放棄してしまいました。さて、本作におけるコルセアとヘルキャットですが、緻密さを売りにしている本作の場合、一口にコルセア、ヘルキャットといってもF4U-1、F4U-1A、F4U-1D、F4U-2、F4U-4、F4U-4C、F6F-3、F6F-3N、F6F-5、F6F-5Nが別データになっています。特にF4U-1シリーズとF4U-4シリーズ、F6F-3シリーズとF6F-5シリーズは完全に別機として扱われています。
本作でF4U-1AとF6F-3を比較した場合、速度性能と加速性能ではF4U-1Aが上回っています。逆に旋回時の抵抗値では翼面加重の低いF6F-3に分があります。トータルして比較した場合両者の性能はほぼ同一と言えます。結論だけを見ればDiFシリーズと同じなのですが、結論に至る過程では詳細なデータを駆使した分Fighting Wingsの方により説得力があります。









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