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こちらで予告していた通り、アルプスへ行ってきました。
期間は5泊5日、うち山中3泊です。

今回は第2日目の行程です。2日目は剱岳(2999m)に挑みました。

(その他の記録は --> こちら)

前回

剱御前を越えて

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「雷鳥荘」より雷鳥平と剱御前を望む。剱岳へ向かうためには、まず雷鳥平(図中の青丸)に下り、そして剱御前(図中の↓)を越えなければならない。そして剱岳はそのさらに遥か彼方にある。

昨晩の宿「雷鳥荘」を午前4時過ぎに起きる。宿の人が用意してくれた弁当を食べ、準備を済ませて外に出る。前方に雷鳥平と剱御前が見える。今日の予定は剱岳登頂。目の前に見える剱御前を乗越え、さらにその向こうにある「岩と雪の殿堂」剱岳を制覇しなければならない。剱岳へ向かう登山道は一般登山道とはいえ、危険個所の多く難易度の高いコースだと聞いている。果たして「なんちゃって」登山家の私が剱を制覇できるか・・・。

雷鳥平に降り、そこで最終チェックを済ませていよいよ剱御前へ登っていく。雷鳥平から剱御前までの標高差は約500m。ちょっとした登山に等しい。まだ薄暗い登山道を登りながらも、昨日の宿を「雷鳥荘」に設定したことをあまり後悔していなかった。

0700頃にようやく剱御前に着く。目の前に剱岳の雄大な姿が目に入ってくる。あれが有名な剱岳か。あの著名な山を眼前に見ることができたことで満足を覚えた。

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剱御前にある公衆トイレ。剱御前には山小屋もあり、剱登山での利便性を考えれば室堂や雷鳥平よりも遥かに優れている。

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剱御前から見る剱岳

剱岳にとりつく

剱御前から40分ほど降りた所に「剱沢小屋」がある。今日の宿はここにする。宿のオジサンに今日泊まりたい旨を説明し、チェックインを済ませる。それから不要な荷物を宿に置いていく。できるだけ身軽になって剱岳へ向かいたかった。それから宿のオジサンが剱岳の登山コースについて説明してくれた。色々と説明してくれたが、一言で要約すれば、

「一つ間違えたら間違いなく死ぬで」

緊張感が高まる。
少し身軽になって「剱沢小屋」を後にした。30分ほど歩いて「剱山荘」に着く。ここは剱岳に一番近い山小屋で、剱岳登山を考えた場合は一番便利な場所にある山小屋だ。ここでパンとポカリスェットを買って食べる。

いよいよ剱岳に入っていく。最初はガレ場の登山道。しかしすぐに鎖場が見えてくる。そして2つ目の鎖場。しかしこのあたりまではまだ本格的な剱岳コースとは言えない。前方からは早朝に剱登山を終えたパーティが三々五々と降りてくる。
「あー、怖かった」
登山家達は一様にこう言っているようにも聞こえてくる。
なにはともあれ、登り始めて30分ほどで最初のランドマークである一服剱に到着した。

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「剱山荘」付近から見る剱岳。いよいよ剱登山が始まる。

前剱を越えて

「剱沢小屋」の主人曰く。

「一服剱から前剱の少し向こうまでが一番滑落事故が多いんや」

ということは、俺もいよいよ一番危険地帯に足を踏み入れたことになる。とにかく慎重に前へ進む。

急なガレ場の斜面が続く。一服剱から見た前剱の斜面は殆ど垂直に見えるが、なるほど歩いてみてもその急斜面ぶりには舌を巻く。ただまだ身の危険を感じる程ではない。標高差約250mの垂直斜面をスリップに注意しながら慎重に登っていく。

前剱の山頂に着いたのは1000頃。「剱山荘」からの所要時間は約1時間。悪いペースではない。目の前には遂に剱岳そのものが姿を現した。さあ、あと一歩だ。

しかし前剱から先が大変だった。前剱のピークを越えていきなり細い鉄の橋が出現した。おいおい、これを渡れって言うのか?。幅は1mもない。当然手すりもない。橋の下は断崖絶壁。落ちたらまず助からない。この時初めて恐怖を感じた。そして背中の荷物が忌々しかった。身軽だったらこんな怖い思いはしないのに・・・・。

とにかく渡るしかない。長さ約4m。とにかく慎重に慎重に渡った。そしてなんとか渡り終えた。その直後に鎖場が続く。単独登山の不安さが胸にこみ上げてきた。

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一服剱より見た前剱。殆ど断崖絶壁である。

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前剱より剱岳を見る。ここまで来たらあと少し、のはずだったが・・・・。

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前剱よりさらに登山道は続く。この先に恐怖のステンレス橋が・・・・。

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前剱より背後を振り返る。眼下に剱沢が見える。よくもここまで来たものだ。

剱岳へ

ガスが上がってきた。朝は快晴だったのにここに来て天気が・・・・。とにかく大崩れだけは止めて欲しい。ただでさえ恐怖の山道なのに、この上悪天候が重なったらどうなることやら・・・・。
幸い天気は大崩れすることはなかったが、今度は炎天下の太陽が容赦なく肌を焼く。日焼け止めを持ってこなかったことを心底後悔した。斜面に残った雪で首筋や腕を冷やすが、焼け石に水とはまさにこのことである。

前剱の門を越えて平蔵の頭に近づく。鎖場を越えて平蔵のコルへ向かう。言葉で書けば一瞬のようだが、いずれの場所も「一つ間違えれば・・・・」な場所なので、慎重に慎重に進むしかない。とにかく慎重に、慎重に、慎重に。

ようやく平蔵のコルに着く。前剱を出発してから既に1時間以上が経過していた。明らかにペースダウンしている。しかし急いだら命に関る。焦る気持ちを抑えつつ、剱岳へ向かう最後の難所に取り付いた。

「カニのたてばい」

殆ど垂直な斜面を鎖を頼りに登っていく。勿論手を離したら「即あの世行き」である。でも垂直の登りというのは左程怖くない。怖いのはむしろ下りだろう。
「カニのたてばい」を過ぎてもなおも急な斜面が続く。しかしあとは慎重に登っていくだけだ。ガレ場の斜面が続く。

剱岳の山頂に着いたのは1216だった。前剱からの所要時間は約2時間。コースタイムを大幅に上回る時間である。それでも構わない。とにかく無事に登ってこれたのだから。

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「カニのたてばい」を乗越えて上を見る。剱岳の頂上は近い。

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今まで歩いてきた道を振り返る。殆ど垂直じゃねえか。おい。

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剱岳山頂にて