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Race for Bastogne(以下、本作)は、米国MMP社が2022年に発売したシミュレーション・ウォーゲームである。テーマは1944年12月のアルデンヌ攻防戦で、この戦いを1Hex=500m、1ユニット=1個中隊、1Turn=2時間で再現する。無論、アルデンヌ戦をこのスケールで全部を再現するのは無理なので、本作では、ドイツ第5装甲軍団によるバストーニュへ向けた突進と、それに対する米軍の抵抗を描いている。

本作は、GTS(Grand Tactical Series)と呼ばれている作品群の1つである。GTSには、マーケットガーデン作戦、ノルマンディ上陸作戦、クレタ島降下作戦といった大規模な戦いを精密に描いた作品群が含まれている。本作もこれらの流れを汲んでおり、アルデンヌ攻勢という有名な戦いの一側面を詳細なスケールで描いている点が特徴である。

今回は、本作のシナリオ3「Hold Your Position At All Cost」を3人(ドイツ軍2名、米軍1名)でプレイしてみた。このシナリオはアルデンヌ攻勢最初の2日間を描いたシナリオで、ドイツ軍は最初の障害であるオウル川を渡河し、クレルヴォ―(Clervaux)に向けて突進する。ドイツ軍の勝利条件はクレルヴォ―やその他Clerf川への到達が求められており、勝利条件を達成するために要したTurn数で勝利レベルが決まる。

私は今回初参加なので、一番負荷の軽そうなドイツ軍第2装甲師団を担当した。

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写真01

12/15 夜間

我が第2装甲師団はオウル川を渡って前進。前方に米軍の観測陣地が存在するので、距離1500m(3hex)まで接近し、突撃の布陣をしく。

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12/16 07:00

米軍の観測地点に接敵し砲撃を浴びせるも、米軍の抵抗は激しく、これを突破するには至らず。逆に米軍の反撃によりドイツ側に死傷者が出始める。

写真03


12/16 09:00

Dispatchポイントを足らないので、我が第2装甲師団の前進は止まってしまう。損害を受けた部隊を後退させた。残りはクレルヴォーに向けて前進するも米軍の砲火はなおも激しい。

写真04


12/16 11:00

霧が晴れたので視界が開けた。ただし上空は厚い雲が覆っているので、航空支援は期待できない。ドイツ軍にとっては理想的な天候である。
前進を続ける第2装甲師団は遂にクレルヴォーに接触。歩兵部隊が射撃を開始する。その後方の観測拠点に対しても間接射撃で打撃を加え続けている。奮戦を続ける米軍部隊もそろそろ破断界か・・・?。
「あと一押し」と思った矢先に砲兵隊との無線連絡が破断してしまう。この期に及んで・・・。
反撃の為に前進してきた米シャーマン戦車をドイツ歩兵が迎え撃つ。パンツァーファウストの射撃が命中したのか、行軍隊形のシャーマン戦車は制圧状態となってしまう。

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感想

さあこれから、といった所だが、今回はここで時間切れ。プレイ時間は正味6.5時間。1Turnの平均所要時間は約1.5時間であった。案外サクサク進んだ感じもしたが、今回のシナリオでも全部で15Turnなので、ちゃんとプレイしようと思えば丸々2~3日ぐらいは欲しい所だ。
GTSは一見するとルールが多いのだが、基本システムはそれほど複雑ではない。ルールに詳しい人がレクチャーすれば、初心者でもプレイは可能だろう。しかも史実地形による戦術級ゲームというのは、他の作品ではなかなか見られない本シリーズの魅力といって良い。機会を見つけて再戦したいシリーズだ。

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