「東部戦線」は国際通信社から発売されている戦術級シミュレーションゲームです。
1ユニットが小隊規模(車両数両、火砲数門、兵員数十名)、1ヘクス250m、1ターン30分です。
やや特異なシステムを採用しており、1スタックが移動すると相手側が射程距離に入ってきた敵に対して適宜射撃を行い、撃たれた側は反撃することができます。「射程に入り次第撃てる」のと「長距離射撃のペナルティが少ない(赤軍除く)」ので、長射程兵器の有利さが際立っています。開けた地形に陣取る88mm砲のスタックは、連合軍戦車部隊に多大な出血を強いるでしょう。
他には歩兵スタックに対して破壊的な威力を発揮する迫撃砲、集中すると怖い盤外射撃等が特徴的です。
1ユニットが小隊規模(車両数両、火砲数門、兵員数十名)、1ヘクス250m、1ターン30分です。
やや特異なシステムを採用しており、1スタックが移動すると相手側が射程距離に入ってきた敵に対して適宜射撃を行い、撃たれた側は反撃することができます。「射程に入り次第撃てる」のと「長距離射撃のペナルティが少ない(赤軍除く)」ので、長射程兵器の有利さが際立っています。開けた地形に陣取る88mm砲のスタックは、連合軍戦車部隊に多大な出血を強いるでしょう。
他には歩兵スタックに対して破壊的な威力を発揮する迫撃砲、集中すると怖い盤外射撃等が特徴的です。
本作を代表する特徴のもう1つが「極端なまでに誇張表現された赤軍の特徴」です。このことはデザイナー氏自身も認めていますが、とにかく赤軍は様々な点で制約が設けられています。これについては個人的には「ちょっと過剰過ぎるのではないのか」と思っていますが、それについては最後にもう一度触れてみたいと思います。
「東部戦線」について詳しくは-->こちら
YSGAにて
今回お相手頂いたのは、YSGAの土橋さん。最初に練習用&ルール確認用としてシナリオ2「バタイスク」をプレイしました。このシナリオでルールについて相互の理解を確認し、同意を得たあと、本命シナリオとしてシナリオ9「東プロイセン攻防戦」をプレイしました。ちなみにシナリオ2は私が赤軍を担当したのですが、独軍の巧みな防御線術に阻まれて惨敗を喫しました。シナリオ9はマップ4枚、ユニット数両軍合わせて約200個という本ゲーム最大級のシナリオです。末期戦シナリオに相応しく、独軍には「ティーガー2」「ヤクトパンター」「ヘッツァー」といった末期戦小僧達が登場し、対する赤軍にも「スターリン2」「SU-100」「JSU-152」といった化物達が登場してきます。
ダイス判定の結果、下名が独軍、土橋さんが赤軍を担当することになりました。
YSGA例会の様子は-->こちら
疑問点、エラッタ等
このシナリオについてはいくつかの疑問点やエラッタがあります。それを最初にプレイヤー間で調整しました。(1) 赤軍の盤外砲撃について攻撃力が記載されていません。「d-1/d」としました。
(2) 赤軍のユニットにSU-152重自走砲が2ユニット登場しますが、ゲームにはSU-152が1ユニットしか含まれていません。これは土橋さんが幸いオリジナルのシナリオシートをお持ちであったので確認した所、赤軍グループBのSU-152は「JSU-152」の誤りであることが判明しました。
(3) ドイツ軍増援表で、もし既に登場している増援部隊の出目が再度出てしまった場合、ダイスは振り直すのか振り直さないのか。この点は「振り直さない」としました。
(4) 両軍とも増援を投入する盤端が記載されていません。常識的に判断し、赤軍は東端、ドイツ軍は西端から登場するものとしました。
(5) 弾薬不足の赤軍ユニットが盤端突破した場合の勝利得点が不明です。我々は「弾切れは勝利得点として数えない」としましたが、今から考えると「何も書いていないのだから突破ユニットは例外なく勝利得点としてカウントする」が正しいのかもしれません。
後日国際通信社に確認した所、上記の判断は(1)を除いて全て正解でした。(1)については「対装甲、対非装甲共にダイス目と同じ」だそうです。これで独軍盤外砲撃の凶悪さがより強烈になりました
初期配置
下名はドイツ軍担当。与えられた任務は赤軍の突破阻止である。しかし守備範囲は広大で兵力は十分ではない。強大な赤軍戦車部隊に対し、切り札になる我が対戦車砲部隊は計12ユニットのみ。その中で最強の「Pak88」88mm対戦車砲の配置が重要になってくる。今回は以下の点に留意して配置した。
(1) 対戦車砲は2ユニット以上をスタックする。
(2) 各対戦車砲スタック間は相互支援で切るように配置する。

左上は独軍自慢の「Pak88」88mm砲。この強力な火砲を以ってしても赤軍重戦車に対しては些か威力不足であった。
(2)については、物量を誇る赤軍戦車部隊に対して各拠点が防御力を発揮するためには、相互支援が不可欠であるという認識に基づいての配置である。仮に1ヶ所の対戦車陣地に赤軍の攻撃が殺到した場合、2ヶ所で相互支援できる態勢を占めていれば、敵の波状攻撃を阻止できるかもしれない、あるいは阻止には至らなくても多大な出血を強いるかもしれない、そう考えての配置であった。
下図が独軍セットアップ時の概要である。

第1ターン
このシナリオは赤軍の猛烈な支援射撃より開始される。しかし赤軍の支援射撃は数こそ多いものの命中精度が極端に低く、あまりアテにはならない。この時も30斉射という猛烈な量の鉄量が注ぎ込まれたが、いずれも目標に命中せず、徒に不毛の地を掘り起こしただけであった。ちなみに赤軍の盤外砲撃が目標ヘクスを直撃する可能性は9%である。だから撃っても殆ど当たらないのだが、それでも1発も命中しなかったのは赤軍プレイヤーにとっては不運であった。 (史実でもそんなに赤軍の砲撃ってアテにならなかったのかな・・・・???)

強引に突進してきたT34/76D戦車隊に対し、隠れていた88mm対戦車砲が不意の一撃を加えた。いきなり先頭のT34が直撃弾を受けて爆発・炎上する。突然の攻撃で狼狽した赤軍戦車隊に対して正確な射弾が降り注ぐ。次々と炎上する赤軍戦車。中隊長車も被弾し中隊長が戦死した。後を引き継いだ政治局員は何もわからずに突撃を命じた。政治局員に催促されて突撃するT34の群れ。しかしそれはドイツ軍にとって思う壺だった。突進するT34は次々と命中弾を受けて擱坐。こうしてT34/76Dの1個中隊(5ユニット)は、攻撃開始直後に早くも壊滅してしまった。
「東部戦線」の特徴的なルールの1つとしてソ連軍の指揮官に関するルールがある。これは指揮官が負傷・後送された場合に政治局員が後を引き継ぐというものである。政治局員が引き継ぐとその部隊は即座に「バンザイ突撃」を敢行することになるが、多くの場合その突撃は「無謀な突撃」となってしまう。このルールについては、負傷チェックのような「不運」によってゲーム全体が崩壊する危険性があり、個人的にはあまり賛同できないルールである。

T34/85、SU-100等の新鋭戦車を揃える赤軍部隊が突進してくる。陣地に守られた拠点の中からFlak88が火を噴く。忽ち炎上するT34/85戦車。それでも赤軍は突進してくる。距離による不利益も構わずに長距離射撃を敢行してくる赤軍戦車隊。弾切れを起こすSU-100重自走対戦車砲。反撃で炎上するT34/85戦車。直撃弾を受けて沈黙するFlak88。
このターンの戦いによって大損害を被った赤軍戦車部隊であったが、Flak88陣地を制圧することには成功。ドイツ軍防御陣地に小さな突破口を穿つことに成功した。ドイツ軍は突破口を塞ぐために左右に併置していた突撃砲と駆逐戦車の部隊を急遽戦線中央部の穴埋めに派遣した。


第2ターン

このターン、赤軍部隊は最前線の我が拠点1つを完全に壊滅させ、突破口を拡大すると共に、ドイツ軍砲兵陣地に猛撃を加えてこれをほぼ壊滅させていた。
ドイツ軍は増援部隊と合わせて2個機動打撃部隊を編成し、赤軍のさらなる突破に備えた。









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