
「装甲擲弾兵」シナリオ3「サン・メール・エグリース」
コマンドベストの「東部戦線」にすっかりはまっています。そこで姉妹品ともいうべき「装甲擲弾兵」についても試してみたくなりました。シリーズ的にはこちらの方が先行している作品であり、ルール的にも「特別ルールの塊」のような「東部戦線」よりも整理されています。初心者の方がプレイする場合は、こちらの方がとっつきやすいかもしれません。

最初に選択したシナリオはシナリオ3「サン・メール・エグリース」。米第101空挺師団の降下兵が守るサン・メール・エグリース。それを突破してユタビーチへ向かおうとするドイツ軍降下兵達と、それを阻止する米第101空挺師団との戦いを描いたシナリオです。このシナリオは、両軍とも戦車が登場せず(増援で登場する可能性あり)、歩兵と支援火器だけで行われます。
「装甲擲弾兵」について詳しくは-->こちら
セットアップ
米軍は歩兵と工兵のハイスタックを町A(ドイツ軍の進入路を扼する要域)に配置、その後方2ヘクスに40mm機関砲2ユニットからなる支援火器グループを配置した。その後方には迫撃砲と降下兵からなる予備部隊を配置し、さらにサン・メール・エグリースの町には別の部隊を配置した。総兵力は降下兵等の兵員部隊17、支援火器5の計22ユニット。2個大隊程度の兵力である。
第1ターン
マップ南端からドイツ軍が進入する。その兵力は降下兵13、迫撃砲3の計16ユニットである。正面兵力では米降下兵よりも弱体だが、兵力の分散を余儀なくされる米軍に対し、兵力集中できることが独軍の強みである。兵力の優越を見越して強引に突破を図るドイツ兵に対し、町Aに潜む降下兵が突然射撃を開始した。サプライズアタック。先頭を走るドイツ兵はバタバタと打ち倒される。さらに後方の40mm機関砲陣地からは正確な射撃がドイツ兵に降り注ぐ。パニックに陥るドイツ兵。結局このターン、ドイツ兵達は町にとりついたものの、降下兵2ユニットが失われ、4ユニットが混乱状態になるという大損害を被ったのである。早くも半数の歩兵戦力を無力化されたドイツ軍は、町Aに隣接したまま身動きが取れなくなってしまう。
40mm機関砲の射撃もさることながら、ドイツ兵にとって脅威だったのは、米降下兵の大火力である。対歩兵火力3。これはドイツ軍降下兵の対歩兵火力2を大きく上回る値である。米降下兵がスタックして射撃してくると、さすがのドイツ兵も出血を免れなかった。

第2ターン
このターンは米軍が主導権を握った(確率20%)。チャンスと見た米軍。後方に隠れていた迫撃砲が射撃を開始した。目標は戦線後方で射撃準備を整えているドイツ迫撃砲である。密集隊形のドイツ軍迫撃砲中隊に対して81mm砲弾が降り注ぐ。3ユニットのドイツ軍迫撃砲は、1ユニット壊滅、1ユニット混乱の大損害を被った。生き残った独迫撃砲の射撃は効果なし。ドイツ軍降下兵達も支援射撃を得られないままその場に踏みとどまるしかなかった。第3ターン
このターンの主導権はドイツ軍。先ほどの射撃から立ち直ったドイツ軍迫撃砲部隊は、今まで降下猟兵達を悩ませ続けていた米40mm機関砲陣地に対して間接射撃を開始した。歩兵には強い支援火器も砲兵に対しては脆い。忽ち40mm機関砲1ユニットが混乱状態に陥った。殊勲のドイツ迫撃砲部隊は、その直後の米迫撃砲による対砲兵射撃によって殆ど壊滅状態に陥ったが、それでもその役割は果たしたことになる。弱体化した40mm機関砲陣地に対し、降下猟兵が迫る。火力の激減した40mm機関砲にそれを阻止する力はなかった。接近戦に持ち込まれたら火器は脆い。降下猟兵の近接突撃を受けて40mm機関砲部隊は壊滅。ドイツ軍は前進への足がかりを築くことができた。
「装甲擲弾兵」シリーズは、兵科別の性格の違いが上手く表現されている。特に歩兵と砲兵の描き分けが絶妙であり、プレイヤーは戦場における諸兵科連合効果の実態を盤上で確かめることができる。

第5ターン
主導権はドイツ軍。降下猟兵達は米軍第2戦線に差しかかった。隠れていた米降下兵達のサプライズアタックが突然火を吹く。打ち倒される降下猟兵。しかし接近戦に持ち込んだ降下猟兵達は、恨み重なる米81mm迫撃砲中隊を、近接突撃により一撃で撃破した。米軍は浸透するドイツ軍を追う形で部隊を再展開する。

第6~8ターン
このままでは時間切れで負けてしまうドイツ軍は、大胆な突撃を敢行した。降下猟兵を集めて米降下兵に対し1-1のオッズで近接突撃を敢行したのである。乾坤一擲のこの突撃は、しかし結果は無残にも「A2」。降下猟兵は2ユニットを失った。この突撃は勝敗を決定付けた。降下猟兵達は最終ターンに再び自殺的な近接突撃を敢行したが、最早勝機はなかった。米軍はサン・メール・エグリースの町を守り抜き、ユタビーチへの突進を見事に阻止したのである。
感想
独軍の敗因は第1ターンに攻撃を急ぎすぎたことだと思います。敵の抵抗が予想される地点に対しては遠巻きに接近し、囮の斥候隊を前に出してサプライズアタックを吸収。正体のバレた敵に対しては間接射撃で痛めつけて、その後突撃で制圧、という手順が宜しいのではないかと思いました。このシナリオはターン数が少なく、主力が足の遅い歩兵なので焦ってしまいましたが、重火点に対しては慎重なアプローチが必要だったのかもしれません。このシナリオはマップ1枚、ユニット数も手頃なので、比較的気楽にプレイできます。プレイ時間も1~2時間程度とお手頃。面倒な特別ルールもなく、遠距離射撃も回数が限られているのでサクサク進みます。戦車が出てこないので敬遠する向きもあるかもしれませんが、戦車なしの戦術級もなかなか味があって良いです。
本文中にも触れましたが、本シリーズの魅力の1つに諸兵科連合効果があります。間合いがあれば歩兵に対して圧倒的に優勢な支援火器群。その支援火器を潰すための迫撃砲や盤外砲撃。
「砲兵が耕し歩兵が刈り取る」
そういったイメージを盤上で再確認することができます。
「砲兵が耕し歩兵が刈り取る」
そういったイメージを盤上で再確認することができます。
ユニットレーティング等にはやや「旧エポックらしい」味付けを感じることがあります。その「臭い」が個人的にはあまり気に入らないのですが、作品全体としての出来具合は良好です。他に問題点をあげるとすれば、主導権のダイスによる影響がやや過大に思われる点と、ルールブックに曖昧な記述が見られることでしょうか。
今度はもう少し大掛かりなシナリオを試してみます。
追記:プレイを終えた後、シナリオシートを確認してみると、ドイツ軍の盤外砲撃をすっかり失念していました。どうもドイツ軍に苦しいシナリオだな、と思っていたのですが、盤外砲撃が入ってくると展開は一変すると思います。
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