「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介
今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい。
米海軍戦艦概説
第2次世界大戦期における米戦艦群は、1920年代以前に整備された旧式戦艦と1940年代以降に整備された新戦艦に区分されます。前者は1912年就役の「アーカンソー」級を始めとした7クラス15隻(WW2開始時)のグループです。これらの戦艦は、搭載兵器こそ30cm、36cm、40cmとまちまちですが、いずれも低速重防御という特徴を持っていました。仮想敵であった日本海軍の戦艦群と比較した場合、これら旧式戦艦群は、砲力や装甲防御力ではやや優っていたものの、速力においては劣勢でした。また近代化改装についても日本の戦艦群ほど徹底したものではなく、相対的な戦力は同世代の日本戦艦に比べると劣っている点が多かったです。
第2次世界大戦期においてこれらの旧式戦艦群は、主に陸上に対する支援砲撃任務を担当しました。36cmや40cmといった大口径による陸上目標への砲撃は、極めて有効であったとされています。また一部の艦は日本の水上部隊とも交戦し、戦果を残しています。
一方新戦艦の方は、「ノースカロライナ」「サウスダコタ」「アイオワ」の3クラス10隻が相当します。これらの戦艦は従来の方針を踏襲しながらも速度性能向上にも力を注ぎ、27~33ktの最大速度を獲得しました。また砲力も40cm9門装備となり、列強の新鋭戦艦の中でも際立って優れた砲戦用戦艦になりました。さらに従来の副砲を排し、両用砲に統一したことも英断でした。
新戦艦は、その速度と対空火力を買われて主に高速空母群の直衛任務を担いました。新戦艦の強力な対空火力は直衛任務に極めて有効であり、多数の日本機を撃墜して空母を守りました。また時には陸上砲撃任務につくこともあり、さらには一部の艦は日本水上部隊と交戦したこともありました。
上記以外に「アラスカ」級と呼ばれる高速艦の整備も並行して行われました。正式には大型巡洋艦に類別される「アラスカ」級は、巡洋艦並みの速力と戦艦をやや下回る砲力、防御力を持った艦でした。計2隻が建造されましたが、登場時期が遅かったために大きな活躍はなかったです。
総じて第2次世界大戦期における米戦艦は、隻数、性能、さらにはその戦歴において世界最優秀の戦艦群といえます。特に新旧の戦艦を巧みに使い分けて戦局に貢献させたことについては、同じく有力な戦艦を有しながら有効活用できなかった日本海軍との対比において極めて象徴的だと言えます。
概説
米海軍で最初に36cm砲を搭載した戦艦です。1914年に計2隻が就役しました。戦時中は主に大西洋方面で行動していたが、1945年に入って太平洋方面に回航され、硫黄島及び沖縄攻略戦に参加し、陸上砲撃等に活躍しています。余談ですが、東京放送ではしばしば「テキサス級戦艦」が登場し、少なからぬ数の「テキサス級」戦艦が日本海軍によって撃沈されたことになっています。概説
「ニューヨーク」級に引き続いて整備された米海軍超ド級戦艦です。1916年に「ネヴァダ」「オクラホマ」の2隻が就役しました。前主砲数は前級と同じく10門のままですが、2連装x5、3連装x2、2連装x2に変更されています。
戦時中は真珠湾攻撃で「オクラホマ」が転覆して完全損失、「ネヴァダ」も中破しました。その後「ネヴァダ」は艦隊に復帰。アッツ島攻略戦に参加した後大西洋方面に回航され、1944年6月のノルマンディ上陸戦や8月の南仏上陸戦にも参加しています。1945年に入って再び太平洋に回航され、硫黄島攻略戦、沖縄戦等にも参加しました。
ゲームでの性能
ライバルは日本の「扶桑」「伊勢」級です。本級の一番の弱みは速度です。これは米旧式戦艦全てについていえることですが、その速度が日本戦艦に比べてかなり劣っていたため、戦術面で不利に働くことは否めません。主砲火力は36cm砲「5-10-5」で、この点もライバルより見劣りします。
装甲値は「9-12-9」で、「伊勢」「扶桑」よりも数値的には優れていますが、本質的な差異はあまりありません。安全圏の広さも両級とほぼ同じで、近距離側及び遠距離側は安全圏外になります。
「扶桑」「伊勢」と戦う際、手数で劣りさらに運動性能で劣る本級は、ライバル相手に苦戦を強いられることになりそうです。
シナリオでの扱い
本級が登場するシナリオはありません。「オクラホマ」は開戦早々に失われたため、「オクラホマ」が登場するシナリオを作成するとすれば仮想戦しかないです。一方の「ネヴァダ」はそこそこ多彩な戦歴を誇るので仮想戦まで視野を広げると色々なシナリオが想定できます。アッツ島沖での第5艦隊との戦い、沖縄沖での大和との対決、欧州戦線でのドイツ駆逐艦との交戦などが考えられます。概説
「ネヴァダ」級に引き続いて整備された戦艦で、1916年に「ペンシルヴェニア」と「アリゾナ」の2隻が竣工しました。前級に比べて主砲が3連装4基12門に強化され、これで日本戦艦と互角の砲力を持つことになりました。戦時中は「アリゾナ」が真珠湾攻撃の際に爆沈。「ペンシルヴェニア」も同攻撃で小損害を被りましたが、こちらはしばらくして戦列に復帰しました。「ペンシルヴェニア」は、その後アッツ島攻略戦、ギルバート、マーシャル戦、マリアナ攻略戦、レイテ戦、硫黄島攻略戦、沖縄戦等、太平洋戦争中後期における主要な作戦の殆ど全てに参加しました。またスリガオ海峡では日本の西村艦隊と交戦し、これを撃滅するのに(少しだけ)貢献しています。
ゲームでの性能
「ネヴァダ」級に比べて主砲火力が「5-10-5」から「6-12-6」に強化されました。これで「扶桑」「伊勢」と火力面で対等になりました。その他の面では「ネヴァダ」級とほぼ同じです。ただし耐久力が若干増しました。「扶桑」「伊勢」級と比較した場合、火力は同等、装甲値は若干優れているため、まともに撃ち合った場合は互角に戦うことができます。ただ運動性能は劣っているので、運動戦に持ち込まれると不利になります。
シナリオでの扱い
本級が登場するシナリオはありません。「ペンシルヴェニア」の場合、スリガオ海峡に参加した戦歴があるので、もし同海戦がシナリオ化された場合は間違いなく登場してくるでしょう。また「栗田艦隊レイテ湾に突入す」的なシナリオでも登場することが考えられます。(つづく)
コメント