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「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

登場艦列伝 - 連合軍戦艦バックナンバー

連合軍戦艦(1)


「ニューメキシコ」

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概説

「ペンシルヴェニア」級に引き続いて整備された米海軍の戦艦群で、1917~19年にかけて「ニューメキシコ」「アイダホ」「ミシシッピ」の3隻が就役しました。36cm砲12門という砲力は「ペンシルヴェニア」級と同じですが、その36cm砲が45口径から50口径に砲身長が大きくなりました。その結果、1門当たりの能力は、「ペンシルヴェニア」に比べて向上しています。
本級は1930年~34年にかけて近代化改装が行われ、その際に古色蒼然とした篭マストは撤去され、近代的な塔型艦橋を持つ艦に生まれ変わりました。
本級3隻は、開戦時いずれも大西洋艦隊に配備されていたため真珠湾攻撃の被害を受けることはなく、そのため開戦後しばらくは太平洋方面における数少ない米戦艦戦力の主力として運用されました。1943年以降は「アイダホ」がアッツ島攻略戦に参加したのを皮切りに、ギルバート攻略戦、マーシャル攻略戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄攻略戦等の諸作戦に参加しました。

ゲームでの性能

主砲火力は36cmB砲「6-12-6」。主砲の砲身長が大きくなった関係上、砲の威力と射程距離が向上しました。本級の主砲は、性能的には38cm砲に匹敵するものになっています。強力な36cm砲を12門も備えた本級の火力は、列強の戦艦の中にあっても際立って優れたものでした。同格である36cm砲艦を制圧できるのは勿論、本来ならば格上であるはずの38cm砲搭載艦や40cm砲搭載艦であっても、本級相手に苦戦を強いられることになるかもしれません。
装甲値は「9-12-10」で、「ペンシルヴェニア」からさらに強化されています。
本級のライバルは日本海軍の「扶桑」「伊勢」の各級と、より強力な「長門」になります。「扶桑」「伊勢」と本級を比較した場合、速力面では「扶桑」「伊勢」が優りますが、砲力と装甲厚では本級が確実に優っています。安全圏の広さを比較しても、本級は「扶桑」「伊勢」に対して中距離から遠距離にかけて広い安全圏を有しているのに対し、「扶桑」「伊勢」の安全圏は中距離帯の狭い範囲に過ぎません。中距離又は遠距離の砲戦において、1対1の戦闘であれば、本級は間違いなく「扶桑」「伊勢」級を圧倒できます。
相手が「長門」級の場合、安全圏の広さは(若干ではありますが)より威力の大きい16インチ砲を搭載した「長門」の砲が優ります。また1発当たりの破壊力でも「長門」が優りますが、しかし砲数は12対8なので本級が有利。総じて本級は「長門」相手に互角に戦うことができる戦艦であると言えそうです。

シナリオでの扱い

「ソロモン夜襲戦」で旧式戦艦が活躍するシナリオは少ないのですが、その中でシナリオ16「ソロモンキャンペーン」で「ニューメキシコ」が登場する可能性があります。運次第ですが、ひょっとしたら「ニューメキシコ」が自慢の砲撃力で「大和」「陸奥」「扶桑」「比叡」といった日本戦艦と相対することになるかもしれません(さすがに「大和」相手では分が悪そうですが)。他には本級が登場するシナリオはありません。「ミシシッピ」がスリガオ海峡海戦に登場しているので、その辺りが登場できるチャンスかもしれません。あとは大和迎撃戦、アリューシャン近海での「アイダホ」と我が第5艦隊との交戦等が考えられます。

「カリフォルニア」(a)

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概説

「ニューメキシコ」級に続く36cm砲搭載艦の第5代目です。1920~21年にかけて「テネシー」「カリフォルニア」の2隻が就役しました。前級に比べて水中防御の面で強化されています。「ニューメキシコ」級が戦前に大規模な改造を施されて性能が向上しているのに対し、本級は戦前における改造が徹底したものではなかったため、第2次世界大戦開戦時における性能は前級よりも劣っていました。
戦時中は「カリフォルニア」「テネシー」が2艦揃って真珠湾攻撃で被害を被り、「カリフォルニア」大破着底、「テネシー」も中破しました。その後両艦は修理を兼ねた近代化改装を行い、全く新しい戦艦に生まれ変わっています。

ゲームでの性能

殆ど「ニューメキシコ」と同じですが、近代化改装が不徹底なため遠距離帯における耐弾性が劣ります。装甲値が「ニューメキシコ」の「9-12-10」に対して本級は「9-12-9」。たった1差に過ぎないのですが、この差は意外と効き目が大きく、「ニューメキシコ」では遠距離からの36cm砲で致命傷を食う可能性はないのですが、本級はその危険性があります。従って「扶桑」「伊勢」といった日本の36cm砲艦と対峙した時、遠距離砲戦における圧倒的優位は失われています。

シナリオでの扱い

本級が登場するシナリオはありません。「テネシー」「カリフォルニア」両艦とも真珠湾攻撃後に改装され、データ的には「カリフォルニア」(b)に生まれ変わっています。従って「カリフォルニア」(a)が活躍する場面は、「聯合艦隊vs太平洋艦隊」的なシナリオしかないと言えます。

「カリフォルニア」(b)

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概説

真珠湾攻撃で損傷した「テネシー」「カリフォルニア」の2艦は、損傷修理の機会を利用して徹底的な近代化改装が行われました。古色蒼然とした篭マストは撤去され、新鋭戦艦を思わせる近代的な塔型上構が設置されました。各所に最新型のレーダーが搭載され、中でも新たに搭載されたマーク8型射撃管制用レーダーは、後にスリガオ海峡海戦で目覚しい威力を発揮することになります。副砲や対空火器も一新され、艦の中心部に配置された8基の5インチ連装両用砲を初めとし、40mm機関砲、20mm機関砲で武装した彼女らは、新型戦艦すら凌駕する対空火力を与えられることになりました。また不足気味であった装甲も強化され、特に水平装甲が強化された結果、遠距離からの砲撃や爆撃に対する抵抗力がより強化されました。
1943年に「テネシー」が、続いて1944年「カリフォルニア」が戦列に復帰し、両艦は共に太平洋戦域で行動することになります。ギルバート、マーシャル攻略戦を皮切りに、マリアナ攻略戦、レイテ戦、硫黄島攻略戦、沖縄攻略戦等いった太平洋戦争中後期における主要な作戦の殆どすべてに参加しました。特にレイテ沖海戦では、「カリフォルニア」「テネシー」の2艦が揃って参加し、新型レーダーを装備した両艦が日本側西村艦隊撃滅の際に大きく貢献しました。

ゲームでの性能

速度の遅さは相変わらずですが、その他の点では「ニューメキシコ」を上回る性能を附与されました。
まず防御面では装甲値が改造前の「9-12-9」から「9-13-11」と大幅に強化されました。この数値は「ニューメキシコ」をさらに上回る値であり、新型の「サウスダコタ」級や「アイオワ」級に匹敵する値です。その結果本級の日本の36cm砲搭載艦に対する優位は揺るぎないものになりました。
また火力面では、主砲火力こそ変化がないものの、新型レーダーが装備された結果、暗夜や悪天候時のみならず晴天下においても今まで以上に精確な砲撃が可能となったのです。元々本級の搭載する36cm砲は、遠距離戦で我が「長門」を撃破し得る潜在的能力を持っていましたから、レーダー装備による遠距離射撃精度向上により、本級は「長門」級以下の日本戦艦を遠距離からほぼ確実に撃破できる能力を有することになりました。

シナリオでの扱い

ある意味「米旧式戦艦の究極形態」とも言うべき本級戦艦なのですが、残念ながら史実シナリオの中で本級が活躍するものはありません。仮想戦シナリオではシナリオ1のバリエーションに本級2隻が「ウェストバージニア」と共に登場します。相手はあの「大和」「武蔵」。夜間、しかもこちらはレーダー装備ということで有利であることは間違いないのですが、勝利条件が厳しい上に相手が相手だけに苦戦は免れないでしょう。
もし本級が活躍するシナリオを想定するとした場合、史実戦の中で間違いなく候補に挙がるのはスリガオ海峡海戦です。他に仮想戦まだ範囲を広げると「栗田艦隊レイテ湾突入す」的シナリオとか、スリガオ海峡戦の仮想設定(例えば西村艦隊と志摩艦隊が合同でスリガオ海峡突破を図る等)になりそうです。

(つづく)