イメージ 1

「ソロモン夜襲戦」登場艦艇紹介

今回は「ソロモン夜襲戦」に登場する艦艇について紹介したいと思います。実際の性能や戦歴は他の史料等を見ればわかる話なので、ここでは「ソロモン夜襲戦」におけるこれらの艦(フネ)の扱いについて書いていきたいと思います。

 (注)「ソロモン夜襲戦」とは、自作の水上戦ボードゲームです。詳しくはこちらをご覧下さい

登場艦列伝 - 連合軍戦艦バックナンバー

連合軍戦艦(1)
連合軍戦艦(2)
連合軍戦艦(3)

「サウスダコタ」

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/c/a/caf6e140.jpg

概説

「ノースカロライナ」に続いて整備された米新鋭戦艦の第2陣です。1942年4月~8月にかけて「サウスダコタ」「インディアナ」「マサチューセッツ」「アラバマ」の4隻が就役しました。「ノースカロライナ」級ではやや不足気味であった装甲防御力を強化し、増加した重量は機関出力の増加によって補うという方式によってほぼ前級と同じ運動性能を維持しました。その結果、火力、防御力、速度のバランスが取れた優良な戦艦となり、40cm砲搭載艦としては極めて完成度の高い艦となりました。
太平洋戦争初期には米戦艦群の中でも最も有力な艦として活躍し、特に「サウスダコタ」は南太平洋海戦で空母「エンタープライズ」を守って獅子奮迅の働きを見せた他、第3次ソロモン海戦にも参加し、奮戦しました。「マサチューセッツ」はカサブランカ沖で仏新鋭戦艦「ジャンパール」と砲撃戦を行い、これを撃破しています。その後「インディアナ」「アラバマ」も艦隊に加わり、ギルバート攻略戦、マーシャル攻略戦、トラック島攻撃、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄戦、日本本土攻撃等、太平洋戦争中後期における主要な作戦の殆ど全てに参加しています。
米戦艦の中では比較的高速であった本級は、主に高速空母群の直衛艦として活躍しましたが、本級の速度をもってしても高速空母群の中にあっては最も低速であり、しばしば空母群に随伴する際に不便を感じることがあったそうです。また強力と言われる対空火器についても、艦自体の完成度の高さゆえに搭載スペースに余裕が乏しく、従って戦時中の対空火器増設に苦心したという話もあります。

ゲームでの性能

「ノースカロライナ」級よりも装甲値が強化され、前級の「8-12-11」から「9-13-11」となっています。その他の点では前級から大きな変化はありまん。
本級と「長門」を比較した場合、基本的には「ノースカロライナ」の項で記載したことと同じです。ただ本級の方が中距離帯での装甲値が強化されているため、「長門」との対戦をより有利に進めることができます。
「大和」との比較においても「ノースカロライナ」と同じことが言えます。装甲が強化された分だけ「大和」との性能差が心持ち緩和されましたが、本質的な面で劣勢であることは前級と同じです。

シナリオでの扱い

「サウスダコタ」が「ワシントン」と同じように登場します。また「インディアナ」が半仮想戦シナリオであるシナリオ15,16に新型レーダーを搭載して登場してくる可能性があります。「アラバマ」「マサチューセッツ」は仮想戦シナリオであるシナリオ13に登場してきます。
シナリオ化されていない所では、カサブランカ沖での「マサチューセッツ」対「ジャンパール」というのも面白いかもしれません。


「アイオワ」

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/a/8/a8333965.jpg

概説

米海軍新鋭戦艦の第3弾は、現在に至るまで最良の戦艦と言われている「アイオワ」級です。しかしこの「アイオワ」級は、元々日本の「金剛」級戦艦を撃破すべく整備された高速戦艦であり、重防御中速を旨とする米戦艦の流れにあってはやや異質な存在でした。本来的な意味で究極の米戦艦は続く「モンタナ」級になるはずでしたが、航空兵力の急速な発展によって「アイオワ」級が米海軍史上最後の戦艦となったのです。
本級の火力は前級である「サウスダコタ」と同じ40cm砲9門ですが、砲身長が45口径から50口径に延伸されました。その結果、SHS(大重量砲弾)の使用に適した口径となり、本級の火力増大に貢献しています。また速度が巡洋艦並みの33ktとなり、高速空母群に随伴可能な最初で最後の米戦艦となりました。
1943年~44年にかけて「アイオワ」「ニュージャージ」「ウィスコンシン」「ミズーリ」の4艦が就役し、さらに2隻の建造が予定されていましたが、戦局の進展に伴いキャンセルされました。余談ですが、キャンセルされた2戦艦の主機は、後に高速補給艦「サクラメント」級の主機として流用されています。
1943年末より戦列に加わった本級は、当初は独戦艦「ティルピッツ」の脅威に対抗するために北大西洋に配備されていましたが、1944年に入って太平洋方面に回航され、マーシャル攻略戦を皮切りに、トラック攻撃、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦、沖縄攻略戦、日本本土攻撃等の諸作戦に参加しました。その任務は主に空母部隊の直衛でしたが、トラック沖やレイテ湾口においては日本水上部隊との交戦機会もあり、「アイオワ」「ニュージャージ」の2艦はこれらの戦闘において少なからぬ戦果を残しています。

ゲームでの性能

最大速度「6」は巡洋艦並みの高速で、「ソロモン夜襲戦」に含まれる戦艦クラスの艦艇では、本級以外は「金剛」「レパルス」「フッド」「アラスカ」といった巡洋戦艦クラスと未成に終わった英戦艦「ライオン」ぐらいなものです。
主砲は40cmB砲「6-9-3」。主砲の砲数は「ノースカロライナ」「サウスダコタ」と同じですが、主砲威力が増しています。46cm砲並み、とまではいかなくても、46cm砲に迫る性能になりました。
装甲値は「9-13-11」で、サウスダコタと同じです。
本級のライバルは言うまでもなく日本の「大和」級です。本級と「大和」を比較した場合、「大和」の主砲はほぼ全ての距離で本級に致命傷を与えることが可能なのに対し、本級の主砲は近距離帯でなければ「大和」に致命傷を与えることはできません。ただ本級の優秀な射撃用レーダーは、特に遠距離砲撃戦において本級に有利に働きます。また夜間や悪天候時の交戦では、レーダーの優劣が決定的な要因になりえます。従って本級が「大和」と対峙する場合は、可能な限り夜間や悪天候を利用し、叶わぬ場合は遠距離砲戦に徹して命中弾数で相手を圧倒する、というのが望ましい戦い方です。
相手が「長門」以下の日本戦艦の場合、本級の主砲はほぼ全ての距離帯でこれらの戦艦に対して致命傷を与えることができます。一方「長門」の40cm砲は遠距離と近距離で本級に致命傷を与える可能性を有し、「扶桑」「伊勢」「金剛」といった36cm砲搭載艦の場合は近距離において辛うじて致命傷を与える可能性を有しています。従ってこれらの諸艦を相手にする場合は、敵の主砲が脅威となりにくい中遠距離で交戦するのが望ましいと言えます。

シナリオでの扱い

史実シナリオでは登場機会のない本級ですが、さすがに米海軍のエースだけあって、仮想戦シナリオでは登場機会が多いです。ます最初にシナリオ1「戦艦『大和』を撃沈せよ」。これは「大和」「武蔵」と「アイオワ」「ニュージャージ」の対決を描いた仮想戦シナリオですが、このシナリオは戦艦同士の撃ち合いの基本や間合いの取り方を理解するのに最適のシナリオです。プレイ時間も短めなので、機会があれば是非。
他にはシナリオ13,14といったレイテ沖海戦を巡る仮想戦シナリオがあります。特にシナリオ14は「アイオワ」「ニュージャージ」が「大和」「長門」「金剛」「榛名」といった日本戦艦と対決するシナリオで、隻数こそ2対4ですが、夜間という有利な条件下での戦いとなるため、本級の活躍が楽しめるシナリオになっています。

「モンタナ」

https://livedoor.blogimg.jp/mk2kpfb/imgs/2/6/260601f5.jpg

概説

当初の計画であれば「アイオワ」級に引き続いて整備される予定であった戦艦群で、高速を誇った「アイオワ」級からは一転して中速重防御という米戦艦の伝統的なスタイルに戻ったクラスです。ある意味「究極の米戦艦」となるはずであった本級ですが、戦局の進展は本級を必要とはしていませんでいした。
未成に終わった本級なので、その性能はあくまでも推測の域を出ないのですが、排水量は約65,000トン。ほぼ「大和」と同重量です。主砲は「アイオワ」級と同じ50口径40cm砲を12門搭載。火力は「アイオワ」よりも33%増しです。速度は約28ktで、「ノースカロライナ」や「サウスダコタ」とほぼ同じ。装甲防御力は「大和」と同等かやや勝っている、とされています。

ゲームでの性能

速度は「5」。主砲火力は40cmB砲「6-12-6」。装甲防御力は「11-15-14」。
ライバルは言うまでもなく日本の「大和」級です。速度面は互角なので、本級と「大和」の比較は、純粋に攻防能力に限定して行うことができます。「大和」と本級が対峙した状況を想定すると、両者とも中距離以遠の比較的広い範囲に安全圏を持っています。「大和」の方が搭載火砲が強力な分やや広い安全圏を持っていますが、装甲防御力で「モンタナ」がやや勝っているため両者の違いは小さいです。一方で単位時間当たりの投射重量では「モンタナ」が勝っているため、両者の優劣は殆どゼロだと言って良いでしょう。
「モンタナ」が有利な点として、射撃用レーダーの優秀性があります。単なる火力比べでも「大和」に比肩し得る「モンタナ」は、射撃用レーダーを加味した場合、間違いなく「大和」を凌駕する戦艦になります。夜間や悪天候は言うに及ばず、昼間においても遠距離射撃で確実に「大和」を先に制圧することが可能になります。

シナリオでの扱い

本級が登場するシナリオは、シナリオ1「戦艦『大和』を撃沈せよ」のバリエーションだけです。未成艦なのですから当たり前ですが・・・・。

(つづく)