主題のゲームは、WW2における戦闘機対戦闘機の空中戦を扱ったカードゲームです。とはいってドッグファイト専用のゲームではなく、爆撃機による対地対艦攻撃や対空射撃、戦闘機対爆撃機による戦いも再現できます。
この作品はかつてGMT社から発売されていたDown in Flamesシリーズの後継作にあたる作品です。GMT社のシリーズについては、"Zero!"や"Corsairs and Hellcats"等の作品が日本でも紹介されたことがありました。私のブログでも何度か記事を掲載したことがあります。(例えば-->こちら
どのような経緯があったかは存じませんが、GMT社のシリーズとは別の形でDVG社から類似の作品がシリーズ化されることになったようです。
どのような経緯があったかは存じませんが、GMT社のシリーズとは別の形でDVG社から類似の作品がシリーズ化されることになったようです。
コンポーネント
今回の記事はGMT社のシリーズとの比較という観点からDVG社のDown in Flamesを見ていくことにします。まずコンポーネントについてですが、基本的な構成は変わっていません。機体カードと行動カードがそれぞれ110枚づつ。他にカウンターシート1枚とキャンペーンシート6枚、そしてルールブック1冊が同梱されています。キャンペーンシートとルールブックについて、GMT社のものはモノクロでしたが、DVG社ではカラーに変わりました。
行動カードと機体カードは、GMT社の劇画的な感じからDVG社では3DCGっぽいものに変わりました。どちらが良いかは好みの問題でしょう。私的にはGMT社の絵柄も嫌いではなかったのですが、あのロケットみたいな零戦32型はどうにかして欲しかったなあ・・・。
空戦ルール
ルールはかなり変わりました。まず空戦ルールについてですが、こちらはGMT社のものに比べてやや詳しくなっています。まずエンジン出力が単一の数値から2つの数値に変わりました。それぞれターン開始時に獲得できるカード枚数とターン終了時に獲得できる枚数を示しています。1ターンに得られるカード枚数が増えたため、空戦がより派手になりました。
火力に関するルールも変更になり、今までは"Bursts"という数値だけで評価されていたのが、"Bursts"とFirepower"の2つに区別されるようになりました。前者が投射弾数、後者が1発当たりの威力を示し、例えば7.7mm機銃8丁装備のSpifireでは"B=2/FP=-1"となり、20mm機関砲2門の零戦では"B=0/FP=+1"となります。
またSpeedのパラメータも追加になり、Speedの大きい機体はポジショニングの際により有利になりました。ちなみにSpeed=1が97戦、I-16等、Speed=2が零戦、Bf-109E/F、Fw-190A、SpitfireMk1/5、F4F、F6F等、Speed=3がBf-109G/K、SpitfireMk14c、P-38L、P-47D、P-51D等です。
下の写真はGMT社(左)とDVG社(右)のカードを比較したものです。
空戦ルールもかなり変わりました。先に書いたSpeedの概念が持ち込まれた他、多対多の戦いについて概念が整理されました。GMT版では、空戦は原則として1編隊(1~2機)と1編隊との戦いでしたが、DVG版では、多対多の空戦が可能になりました。例えば零戦#1がF4F#1から追尾されている場合、零戦#1が中立状態のF4F#2に対して交戦することが可能になったのです。
また僚機に関するルールも変更になり、専門の"僚機カード"は廃止され、独立した2機が「編隊を組む」形で僚機が再現されることになりました。編隊を組んだ場合、攻撃や高度変更で制約がつきますが、その代り編隊を組んだ機体はカード取得で有利になります。
また僚機に関するルールも変更になり、専門の"僚機カード"は廃止され、独立した2機が「編隊を組む」形で僚機が再現されることになりました。編隊を組んだ場合、攻撃や高度変更で制約がつきますが、その代り編隊を組んだ機体はカード取得で有利になります。
Maneuveringカードの扱いが変更になりました。GMT版では専門のManeuveringカードが用意されていましたが、DVG版では原則として全てのカードがManeuveringカードとして使えるようになりました。無論Maneuveringカードとして使用する場合は、カードに記載された他の機能(例えばIn My Sight等)は使用できません。この結果DVG版では所謂「スカカード」が少なくなりました。
爆撃ルール等
全般に詳しくなった感のある空戦ルールに対し、爆撃や対空砲火に関するルールは大幅に簡略化されました。まず爆撃ですが、GMT版では爆撃力分だけカードを引く方式でしたが、DVG版では爆撃力に相当するヒット数を目標に与えるだけです。対空砲火も同じで、爆撃機に対して対空火力と同じ数のダメージを与えるだけです。対空火力や爆撃力は対空砲火の配置(散開、通常、密集の3種類)や爆撃編隊の構成(散開、通常、密集の3種類)によって増減されますが、それだけです。また爆撃そのものもGMT版では「空戦を戦いながら爆撃を行っ」でいましたが、DVG版では空戦が終わってから爆撃を行う方式に改められました。さらにはGMT版ではドーントレスや97艦攻のような軽爆撃機は戦闘機と同じルールが適用されていましたが、DVG版では軽爆撃機も他の爆撃機と同じ様式のカードになりました。
まとめ
全般的にはプレイヤーの視点をより戦闘機パイロットに特化したのがDVG版だと言えそうです。GMT版でプレイしている時、爆撃機の扱いや対空射撃で面倒に感じることは確かにあるので、そういった意味ではDVG版の改定は個人的には嬉しい所です。現時点での最大の問題点は日本語訳がないことです。私自身が一念発起して日本語訳を作る手もあるのですが、ルール自体がシンプルなので口頭説明でも良いかな、なんて思ったりしています。
ちなみにこんな作品も発売されているようです。こちらも機会があれば入手したいですね。
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