ドイツ夜間戦闘機
渡辺洋二著 朝日ソノラマ
今は亡き朝日ソノラマ「新戦史シリーズ」。その第69巻が本書「ドイツ夜間戦闘機」です。本書はWW2期におけるドイツ夜間戦闘機隊の発足から終末までを描いたノンフィクションです。夜間爆撃機と夜間戦闘機の戦いは太平洋戦線でも繰り広げられ、例えば米空母機動部隊の夜間防空戦等は見るべきものがありますが、そのスケールや技術水準からいえば欧州戦線における夜間戦闘に遠く及びません。欧州戦線の夜間戦闘は、両軍ともレーダー使用は当たり前、機上邀撃レーダーは当たり前、電波を使った誘導システムや対地レーダー、電場妨害や欺瞞、チャフといったECMまで使用され、それはまさに現在戦のさきがけとも言えるべき内容でした。ウェリントン、スターリング、ハリファックスといった爆撃機が夜空を舞い、それをレーダー装備のBf-110、Ju-88が追う。Bf-109GやFw-190Aも夜間戦闘に駆り出され、新鋭のHe-219は火力と速度性能を生かして重爆を落とす。対する英軍はモスキート夜戦を投入してドイツ夜間戦闘機掃討を図る。これら一連の戦いが本書では生き生きと描かれています。現在光文社NF文庫で再販されているので、機会があれば御一読頂きたい作品です。
お奨め度★★★★
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