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以前に紹介したGMT社の新作戦術級ゲーム「Fighting Formation」をプレイしてみました。3本のシナリオを計4回プレイし、最初の2回は練習、次の2回が本番でした。対戦成績は1勝1敗。所要時間は全て合わせて10時間強でした。

システム概要

Fighting Formationのシステムはかなり独特です。一言で言えばイニシアチブを重視したシステムで、1ターンは10個の命令に分割されていますが、イニシアチブを有している側のみが命令を実行できます。命令を実行する毎に一定量のイニシアチブを失うことになるので、一方のプレイヤーのみが命令を実行し続けるという状況にはなりません。また命令を実行する毎に同じユニットが何度も活性化できます。

プレイの結果

今回最後にプレイしたシナリオ7「Operation Herbstwind」の展開を紹介します。これはドイツ軍による限定的な攻勢を扱ったシナリオで、ドイツ軍の登場兵力は約1個大隊の歩兵と中隊規模の3号戦車J型からなる戦闘グループ。対するソ連軍はやはり大隊規模の歩兵兵力と僅か2両のT-34/76B戦車、そして増援部隊として中隊規模の歩兵部隊と2両のKV-1B重戦車です。

序盤はドイツ軍優勢で展開。最初の2ターンでソ連軍左翼に陣取る微弱なソ連軍歩兵部隊をほぼ掃討。2ヶ所の目標ヘクスを占領し、12VPを確保しました。さらに不用意に前線に残っていたソ連軍指揮マーカー1個を排除することにも成功します。ただしソ連軍狙撃兵の活躍によりドイツ軍も指揮マーカー1個を失いました。

3ターン目にドイツ軍はソ連軍右翼に攻撃を指向しました。しかしこちらはT-34/76B中戦車2両を含む強力な部隊が布陣しています。果たせるかな、河川と森に挟まれた狭い回廊を抜けようとしたドイツ軍に対し、待ち構えていたソ連軍は集中砲火を開きました。T-34/76BがAPCR弾をつるべ撃ち。さらに迫撃砲や砲兵支援、さらには戦闘爆撃機までが上空に姿を表します。なんせここまで「やることがない」ソ連軍は、支援カードを貯めまくっていたので、支援カードには事欠きません。3号戦車3両が忽ち炎上。独軍歩兵部隊も砲爆撃を受けて狭い道路上で右往左往します。独軍3号戦車もAPCR弾を使って対抗しますが、APCR弾の備蓄量が少ない(支援カードが少ない)上、T-34/76Bの正面装甲が厚い厚い。3号戦車の火力では側面に回り込むか、あるいは余程接近しないとT-34/76B相手に有効打は期待薄です。

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そうこうしている間にソ連軍増援部隊がマップ南端から登場。先ほど独軍が奪った村落を再びソ連軍が奪回します。慌てて独軍は兵力をマップ南端に向かわせますが、結局時間切れ。VPでソ連軍の勝利となりました。

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感想

雰囲気はコンフリクトヒーローズに似ていると言えば似ています。コンフリに比べると規模がやや大きめで(1ヘクス75m、1ターン5分)、かつシステム的にもマクロな動きを重視したものになっているので、より大規模な戦闘を再現するのに向いています。コンフリが中隊規模同士の戦闘を再現するのに主眼を置いたゲームだとすれば、こちらは大隊規模同士の戦闘を再現するのに向いたゲームと言えます。基本システムはシンプルで、迷う部分は少ないです。細かい部分では「おやっ?」と思う点もあり、特に戦車戦闘ではどんな戦車であっても「一撃撃破はありえない」等、ミクロな部分にこだわるとやや気になる部分もあります。苦言をもう1つ追加すると、射撃システムはやや煩雑かな、と思いました。もう1つ。活性化する際にユニットを裏返す必要があるのですが、部隊が密集している場合やヒットマーカーを受けている場合に、ユニットを裏返すのがやや煩雑に感じました。
基本システムのアイデアは面白く、使い方のコツがわかると色々な応用が効きそうです。システムとしてはまだ発展途上な部分も多いので、今後の発展に期待したいです。

次回作はクルスク戦以降の新型戦車か西部戦線が良いなぁ。

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