GMT社のFor the Peopleは、南北戦争全域を扱ったキャンペーン級のゲームです。マップには南北戦争の主戦場となった南部連合諸州とその周辺地域がポイント・トウ・ポイント描かれ、1ユニットは軍、軍団、師団、騎兵旅団を示します。
今回、For the Peopleのキャンペーンシナリオを対人戦でプレイしました。選択ルールはすべて有り。下名は北軍を担当しました。「目指せ、人民の人民による人民のための政治」
[For the Peopleについて詳しくは-->
こちら
1~6Turnの動き-->
こちら
7~12Turnの動き-->
こちら
13Turn(1865年春)
終末は唐突だった。北軍の海上封鎖が功を奏して南軍のSWがゼロになったのである。南部連合は崩壊。戦争は合衆国の勝利に終わった。
ゲーム終了時のSW:北74/南0
感想
結果的には勝利したが、いくつかのルールミスがあったことを白状しなければならない。そのうちの最大のものが本文中にも触れた軍規模の海上輸送制限である。北軍のグラント、シャーマン、マクレランの3将は、通常は認められていない軍規模による海上輸送が特例的に認められている(ルール6.15)。それは良いのだが、問題はこの時に北軍プレイヤーはMajor/Minor Campaginカードを使用しなければならないという点を失念していた。そのために北軍の河川進攻が強力になり過ぎ、南軍の河川防御を著しく弱体化させてしまった。このルールが正しく適用されていれば、9~11Turnに実施されたグラント将軍によるリトルロック、ヴィックスバーグ攻略戦は失敗していたか、あるいは著しく遅延していた可能性が高い。
もう1つは上陸戦闘時の戦闘結果についても誤って適用した可能性がある。上陸戦闘の場合、もし守備側にSPが1以上あり、守備隊が1以上の戦果を挙げた場合、攻撃側が勝利するためには1*以上の結果を出さなければならない。結果が1ならたとえ防御側が全滅しても上陸進攻は失敗してしまうのだ。このルールを一部適用し忘れていたため、ひょっとしたらいくつかの上陸進攻は失敗に終わっていた可能性がある。
余談だが、防御側全滅時における戦闘後前進はFor the Peopleのややこしいルールの1つである。通常は他のゲーム同様防御側全滅時は結果に関係なく攻撃側が戦闘後前進できるのだが、例外が2つあり、1つが上記に記したように上陸戦闘時。もう1つが防御側が要塞を築いていた場合である。この場合、戦闘結果で勝利を得ない限り、例え防御側が全滅しても戦闘後前進できない。
このように陸海共同作戦についてはFor the Peopleでは細かいルールや例外が多く、少しとっつきにくい感じは否めない。それでも上陸侵攻や河川移動は北軍にとって勝利の決め手になる作戦なので、疎かにできない点が辛い。
今回のプレイでは、南軍側プレイヤーの要塞構築の巧みさに舌を巻いた。今回のプレイまで南軍の要塞は役立たずだと思っていた。というのも、北軍は1OCで要塞構築できるのに対し、南軍は要塞構築に3OCが必要なのだ。また南軍要塞が陥落すると、それだけで両軍のSWが南軍が不利な側に1ずつ上下する。「作るだけ無駄」というのが南軍要塞に対する筆者のイメージであった。しかし適切に構築された要塞、特に河川沿いに築かれた要塞が難攻不落の拠点になり得ることを今回のプレイで知らされた。
それにしてもFor the Peopleは難しい。ソロプレイも含めると今回で5回目の対戦になるのだが、まだまだ完全なルールで対戦できていない。今回の対戦における最大の収穫は「For the Peopleは今一度キャンペーンを戦わなければならない」という決意を得たことかもしれない。