YSGAの例会で「第2艦隊(2nd Fleet)」をプレイしました。「第2艦隊」は、フリートシリーズの1作で、1986年に米国Victory Games社から発表された現在海戦ゲームです。テーマは北大西洋からノルウェー近海におけるソ連海軍とNATO海軍の激突で、NATO軍は米英蘭加独伊が登場します。
この時点でVPを計算するとNATO軍202点とソ連軍192点で「NATOの実質的勝利」(3段階の勝利レベルの真ん中)になりました。ソ連側の敗因は損害が多すぎたこと(CVx1,CGNx1,CGx5,DDx5,SSNx11他を失った)とNATO側に与えた損害が小さ過ぎたことだと考えます。それでは上記の事態は回避できたのか、あるいは不可避だったのか。以下は個人的な意見になりますが、私は「可能」であったと考えます。
まずソ連側の損害については、潜水艦はある程度仕方がないとしても水上艦の損害はある程度回避できたのではないか、という思いが今でも拭えません。洋上航空兵力に劣るソ連艦隊が優勢なNATO海軍と戦うためには基地航空兵力との共同作戦が不可欠であり、そのためにも可能な限り味方基地航空兵力の傘の下に留まるべきだと考えます。それは一見消極的に見えるのですが、それが弱者の戦略と割り切って考えるしかないでしょう。今回に関して言えば、ソ連水上部隊は英艦隊に対する対艦ミサイル攻撃という誘惑に負け、有力な水上部隊を突出させたのが失敗だった思います。それよりは任務終了後は一目散にコラ半島近海に逃げ込み、NATO艦隊をコラ半島まで引きずり込んで、そこでの決戦に掛けるべきだったのでは・・・、と思います。仮にコラ半島近海にNATO艦隊を引き込み、そこで海空からの一斉攻撃を仕掛ければ、NATO艦隊としてもかなりの損害を強いられたことは想像に難くありません。
繰り返しになりますが、ソ連の水上部隊は基地航空部隊との共同行動が不可欠だと思います。フリートシリーズでソ連軍が崩壊する典型的なパターンとして、目の前の目標に拘り過ぎて有力な水上部隊を裸で突出させてしまい、強力な西側航空兵力の連続攻撃に晒されるというものがあります。そうならないためにもソ連水上部隊は可能な限り航空機の傘の下に温存し、ここ一番に備える必要があるのではないでしょうか。
NATO側に与えた損害については(あくまでもNATO側からの感想ですが)、ソ連軍はNATOの大物狙いに拘り過ぎたのではないでしょうか。米空母ならまだしも、英空母はVP的にも戦局に対する影響という面から見ても左程「美味しい」目標ではありません。それよりもガス欠で動けなくなっていた護衛艦(防御力が2とか1とかになっている)をまとめて始末した方がVP的には遙かに魅力的だったように思います。敵空母撃沈は確かに金星ですが、運に左右される上、外したら何も得られません。それよりは護衛艦を仕留めて敵空母の行動力を殺いだ方が遙かに確実かつ有益だったのでは、と思います。
以上、個人的な感想でした。


両軍の損害。完全に失われたユニットのみを列挙しました。
ゲームの感想
単体のゲームとして見た場合、「第2艦隊」はそれなりに楽しめるゲームだと感じました。フリートシリーズの中では比較的古い作品なので、後期の作品と比べるとルールやレーティングにかなり違和感があります。「第2艦隊」単体として見た場合、古いルールやレーティングでもそれなりに整合性が取れているのであえて新しい版に合わせる必要はありませんが、それでもいくつか理不尽に感じた点があるので列挙しておきます。 (1) NATO哨戒機の空戦力1は評価が高すぎると感じました。「第7艦隊」以降の作品のように防御力"N"が妥当だと思います(哨戒機の4スタックで空戦力4はちょっと・・・)。
(2) 上記も含めてNATO哨戒機の能力が全般に高すぎるように思いました。「第2艦隊」は4~5機で1ユニットでしたが、「第7艦隊」以降のように10機1ユニットの方が良いと思います。
(3) 基地航空機による基地変更は安易に実施出来すぎるように思います。「第7艦隊」以降の作品では、基地変更後は数ターン活動不能というルールがあるのですが、「第2艦隊」にはありません。このままでは基地機が主役のゲームになってしまいます。(バッカニアやニムロッドのファンにとってはたまらなく良いゲーム、になりますけど・・・)
(4) 対地爆撃が出来なさ過ぎます。巡航ミサイルも無能だし、爆撃能力も低い。特にソ連の長距離爆撃機が対地攻撃できないのは理不尽です。これも「第7艦隊」以降のルールが良いように思いました。
(2) 上記も含めてNATO哨戒機の能力が全般に高すぎるように思いました。「第2艦隊」は4~5機で1ユニットでしたが、「第7艦隊」以降のように10機1ユニットの方が良いと思います。
(3) 基地航空機による基地変更は安易に実施出来すぎるように思います。「第7艦隊」以降の作品では、基地変更後は数ターン活動不能というルールがあるのですが、「第2艦隊」にはありません。このままでは基地機が主役のゲームになってしまいます。(バッカニアやニムロッドのファンにとってはたまらなく良いゲーム、になりますけど・・・)
(4) 対地爆撃が出来なさ過ぎます。巡航ミサイルも無能だし、爆撃能力も低い。特にソ連の長距離爆撃機が対地攻撃できないのは理不尽です。これも「第7艦隊」以降のルールが良いように思いました。
全般として「第2艦隊」のシステムは、その後進化されたフリートシリーズのルールに比べて荒さが目つように思いました。先にも書いた通り「第2艦隊」単品として見た場合はそこそこバランスが取れているので難しい所ですが、できれば「第7艦隊」以降のルールで「第2艦隊」を作りなおしてみたい今日この頃です。
(おわり)







