Night Fighterは2011年に米GMT社が発表した空中戦ゲームです。
タイトル通りWW2期における夜間空中戦を扱った作品で、日独米英の夜間戦闘機、夜間爆撃機が登場します。
空戦ゲームとしてはシステムは単純な部類に属し、高度の概念は簡略化され、旋回も1ヘクスにつき1回までと単純化されています。スケールも1ヘクス1マイルと大き目のため、複雑な電子戦関連のルールもシンプルにまとめられています。
タイトル通りWW2期における夜間空中戦を扱った作品で、日独米英の夜間戦闘機、夜間爆撃機が登場します。
空戦ゲームとしてはシステムは単純な部類に属し、高度の概念は簡略化され、旋回も1ヘクスにつき1回までと単純化されています。スケールも1ヘクス1マイルと大き目のため、複雑な電子戦関連のルールもシンプルにまとめられています。
本作の特徴的な点は「プレイヤーとプレイヤーの戦い」ではなく、「プレイヤーは審判の動かす爆撃機と戦う」というスタイルをとっている点です。プレイヤーは夜間戦闘機を操作し、限られた情報の中で敵爆撃機を探しますが、審判は彼我の状況を把握し、プレイヤーに対して限定された情報を供給することになります。「プレイヤーと審判」ということではTRPGに似ていなくもないのですが、どちらかといえば潜水艦戦のゲームがより似ていると言えます。

プレイのイメージ。左側の禿頭がプレイヤーで、右側のゴリラが審判である。両方ともゼントラーディ人に見えてしまうのはなぜ?。
今回、このNightFighterをソロでプレイしてみました。ブラインドサーチゲームをソロでプレイするのは普通に考えれば不可能なのですが、そこはボードゲーマー。想像力を駆使してやってみましょう。
ツァーメザウ戦法とは、各種妨害手段によって地上レーダー網を大幅に無力化されたドイツ軍が考え出した夜間迎撃戦法である。詳しくは上図を参照して頂くとして、基本的にはラジオビーコン設備を利用して接敵した夜間戦闘機が、目視索敵と自らの機上レーダーを駆使して爆撃機集団(ボマーストリーム)を捕まえて攻撃する方式である。1943年8月以降終戦までドイツ複座夜間戦闘機の主要な迎撃戦術となっていった。
今回プレイするシナリオ6は、機上レーダーを装備した4機の夜間戦闘機(Ju88C-6,Me110G-4)が51機のイギリス夜間爆撃機(Lancaster Mk.3)を追うという本作の中でも最大規模のシナリオである。地上レーダーやサーチライトが存在しないため迎撃側は自らの目と機上レーダーが頼りだ。

Ju88C-6夜間戦闘機。1943年秋頃より登場してきた夜間戦闘機。元々が双発爆撃機なので全備重量12t以上と大型で(一式陸攻とほぼ同程度)、最大速度も約450km/hと戦闘機としては鈍足の部類に入る。その代わり火力や電子装備に優れ、リヒテンシュタイン機上レーダー、20mm機関砲3門等を装備している。
プレイする前にアップグレード装備の有無をチェックする。まずはSN-2bリヒテンシュタインレーダー。これの有無で捜索能力が段違いになるが、ルールを読んでもアップグレードのやり方が記載されていない。ここは「プレイヤーが望めば搭載可能」と勝手に解釈し(派手なシナリオの方が面白いですから)、全機SN-2b装備とした。
続いてシュレーゲ・ムジーク(上向き砲)装備の有無。こちらはルールに明記してあって、ダイス1-3で装備、4-6で未装備となる。ダイス判定の結果、Ju88C-6は全機シュレーゲ・ムジーク未装備、Me110G-4のみが装備となった。
続いて月の有無、視界、雲の有無を判定する。月なし、視界普通、雲なしとなった。
続いてシュレーゲ・ムジーク(上向き砲)装備の有無。こちらはルールに明記してあって、ダイス1-3で装備、4-6で未装備となる。ダイス判定の結果、Ju88C-6は全機シュレーゲ・ムジーク未装備、Me110G-4のみが装備となった。
続いて月の有無、視界、雲の有無を判定する。月なし、視界普通、雲なしとなった。
次に戦闘機と爆撃機を初期配置する。戦闘機は全てラジオビーコンボックスに初期配置することになっているので、指示に従って配置する。
爆撃機はシナリオ特別ルールに従って予め6機を配置する。下図は審判用マップで見た両軍の配置になる。ヘクスマップ上にある紫のユニットが爆撃機で、Game Turnトラックの左隣に4機並んだ機体が戦闘機である。なお実際のプレイでは、プレイヤーは爆撃機の位置を知らない。
爆撃機はシナリオ特別ルールに従って予め6機を配置する。下図は審判用マップで見た両軍の配置になる。ヘクスマップ上にある紫のユニットが爆撃機で、Game Turnトラックの左隣に4機並んだ機体が戦闘機である。なお実際のプレイでは、プレイヤーは爆撃機の位置を知らない。

では早速ゲームを開始する。
ドイツ軍はシュレーゲ・ムジークを装備した最強のMe110G-4を「アンカー」として温存し、Ju88C-6の3機を先鋒として送り込むことにした。今回は51機もの爆撃機が登場するので目標には事欠かないはず。
ドイツ軍はシュレーゲ・ムジークを装備した最強のMe110G-4を「アンカー」として温存し、Ju88C-6の3機を先鋒として送り込むことにした。今回は51機もの爆撃機が登場するので目標には事欠かないはず。
第1Turn。早くもJu88C-6のリヒテンシュタインレーダーが3マイル先に目標を捉えた。

しかし速度差があまり大きくないので夜戦が重爆を捕まえるのは容易ではない。Ju88がランカスターに追いついたのは第4Turnのことであった。Ju88の搭乗員は目を凝らして夜空を探す。どこに爆撃機がいるのか?。昼間でも大空から小さな飛行機を見つけ出すのは困難だが、それが夜間となると困難さは数倍になる。機上レーダーで捕まえたからといってすぐに敵爆撃機を攻撃できる訳ではないのだ。
Ju88の搭乗員達が夜空に敵爆撃機を見つけたのは第6Turnのことであった。「モニカ」後方警戒レーダーを搭載した英重爆は接近するドイツ夜戦に既に気づいていたが、度々誤警報を出す「モニカ」を警報をランカスターのクルーは無視していた。
絶好のチャンス。
しかしJu88の射撃は目標を逸れた。
何たる不運。いや未熟。
射撃を受けたことによってドイツ夜戦に気付いたランカスターは、慌てて防御砲火を開く。
命中。四散。
防御砲火をまともに浴びたJu88C-6は夜空に散って行った。
絶好のチャンス。
しかしJu88の射撃は目標を逸れた。
何たる不運。いや未熟。
射撃を受けたことによってドイツ夜戦に気付いたランカスターは、慌てて防御砲火を開く。
命中。四散。
防御砲火をまともに浴びたJu88C-6は夜空に散って行った。

その頃、既にボマーストリームに潜入していた後続のJu88C-6 2機は、それぞれ機上レーダーで目標を捉えていた。慎重に接近する2機の夜戦。1機の夜戦がランカスターの背後に接近した。しかしこちらの機は先ほどの機とは違って「モニカ」の警報を無視していなかった。ランカスターはコークスクリュー機動で夜戦をかわす。急激な機動に追随できなかったJu88は一瞬爆撃機を見失う。諦めたJu88は別の目標を探すべく右旋回を行う。
一度敵に気付いた爆撃機は「警戒状態」となり、攻撃に対する反応が鋭くなる。従って他に目標がある場合、別目標を探した方が効果的である。
別の爆撃機をレーダー見つけたJu88C-6は慎重に目標へ接近する。幸いこの機は「呑気」な機体で、「モニカ」の警報を無視しているのか、あるいは「モニカ」そのものを切っているのか。後方から接近したJu88C-6が夜空の中から爆撃機を見つけた。
必殺の一連射。
しかしなんたることか、またもや大外れ。
慌てて反撃したランカスターの防御射撃はまたもやクリーンヒット。
炎に包まれたJu88C-6は夜空を赤く染めていった。
必殺の一連射。
しかしなんたることか、またもや大外れ。
慌てて反撃したランカスターの防御射撃はまたもやクリーンヒット。
炎に包まれたJu88C-6は夜空を赤く染めていった。

ボマーストリームに最後に進入したのはシュレーゲ・ムジークを装備したMe110G-4であった。リヒテンシュタイン・レーダーで目標を捕捉したMe110G-4は目標下方に接近。夜空に爆撃機を見つけ出してシュレーゲ・ムジークによる射弾を放った。
今度は見事に命中。
翼の付け根に数発の20mm弾を受けたランカスターは2つに割れて落ちていった。
今度は見事に命中。
翼の付け根に数発の20mm弾を受けたランカスターは2つに割れて落ちていった。

しかしこれが独夜戦最後の戦果だった。
夜戦隊はさらに別の重爆機を捜索レーダーで捉えていたが、追撃するには時間がなさすぎた。
撃墜1、未帰還2。
独軍夜戦隊にとってこの日の戦いは苦いものとなった。
夜戦隊はさらに別の重爆機を捜索レーダーで捉えていたが、追撃するには時間がなさすぎた。
撃墜1、未帰還2。
独軍夜戦隊にとってこの日の戦いは苦いものとなった。
結果:撃墜1機でプレイヤー側の敗北
感想1
独夜戦隊のレーダーと火力は優れているが、速度面では悲しい。Ju88C-6、Me110G-4は共に速度3.5。これは英重爆の3.0に比べて0.5しか優越していない。例えば前方3ヘクスの距離で爆撃機をレーダー探知したとしても、追いつくまでに5~6Turnもかかってしまうことになる。夜間戦闘機にとって火力や電子装備も重要だが、速度もまた重要な要素であることを思い知らせてくれる。ちなみに同時期の連合軍主力夜戦であるモスキートNF.13は速度5.0で独夜戦よりも1.5優速。やや時代が先になるが、米軍のP-61A BlackWidowも速度5.0である。独軍の方でもTa154A-4 Moskitoは5.5で連合軍夜戦より優速、He219A-6は5.0なので連合軍機に匹敵するが、主力機ではないのであまり自慢にはならないだろう。Me262B-1aはさすがで、速度7.0を誇るが、これは次元の違う機体である。F4U-2は単発夜戦なのでレーダー等は今一つだが、速度5.5は使えるかも・・・。

夜戦型モスキート。その高速性能は独夜戦隊を大きく凌駕していた。
感想2
記録を取りながらのプレイでしたが、プレイ時間は2時間ほどでした。恐らく対人戦でも1~2時間で終えることができそうです。またルール面でも、本シナリオでは地上レーダーやサーチライトといったルールを使わないので取っつきやすいと言えます。本シナリオでは航空機の基本的な移動ルールと機上レーダーに関するルールを知っていれば良いので、NightFigihterを初めてプレイする人でも容易にプレイできます。NightFighterは細かいルールが多く、一見すると取っつきにくいのですが、個々のシナリオで使うルールは比較的少ないので、審判側プレイヤーがルールを熟知していれば、プレイヤー側が知らなければならないルールはそれほど多くありません。その場で説明を受けてもすぐにプレイできるレベルです。
また、ある程度慣れたプレイヤーが2人でルールを読みながら進めていくという方法もありです(私はこの方法でルールをマスターしました)。
いずれにしてもNightFighterはWW2期の夜間空中戦という今までにはなかったテーマを再現するシミュレーションゲームです。ルールは比較的平易であり(やや書き方が回りくどい部分はありますが・・・)、日米英独といったWW2に参加した主要国の夜戦が登場するという豪華さもあります。空中戦ゲームの複雑さに抵抗を感じている方でも比較的プレイしやすい作品といえます。広くプレイされることを期待したい作品です。
また、ある程度慣れたプレイヤーが2人でルールを読みながら進めていくという方法もありです(私はこの方法でルールをマスターしました)。
いずれにしてもNightFighterはWW2期の夜間空中戦という今までにはなかったテーマを再現するシミュレーションゲームです。ルールは比較的平易であり(やや書き方が回りくどい部分はありますが・・・)、日米英独といったWW2に参加した主要国の夜戦が登場するという豪華さもあります。空中戦ゲームの複雑さに抵抗を感じている方でも比較的プレイしやすい作品といえます。広くプレイされることを期待したい作品です。







