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Night Fighterは2011年に米GMT社が発表した空中戦ゲームです。
タイトル通りWW2期における夜間空中戦を扱った作品で、日独米英の夜間戦闘機、夜間爆撃機が登場します。
空戦ゲームとしてはシステムは単純な部類に属し、高度の概念は簡略化され、旋回も1ヘクスにつき1回までと単純化されています。スケールも1ヘクス1マイルと大き目のため、複雑な電子戦関連のルールもシンプルにまとめられています。

前回の記事でプレイの概要と本命である英独夜間航空戦を紹介させて頂いたので、次はちょっと毛色の違ったシナリオを紹介しましょう。とはいっても日本人なら決して忘れられないあの「本土防空戦」です。NightFighterで本土防空戦を扱ったシナリオは2本。シナリオ3B"HOME ISLANDS"とシナリオ4K"GEKKO"です。前者は警戒レーダーとサーチライトを頼りにB-29を追うキ45改「屠龍」の戦いを描いたシナリオで、後者は機上レーダーFD-2(16式空6号)を装備したJ1N1-S「月光」の戦いを描いたシナリオです。レーダー装備の「月光」も魅力的なのですが、ここはリアルさを重視し、シナリオ3Bを選びました。

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シナリオ3B 本土にて

今回プレイするシナリオは、闇夜に紛れて本土侵入を試みる3機のB-29Aとそれを迎え撃つ「屠龍」1機の戦いを描いたものである。日本側には一応早期警戒レーダーが登場するが、元々性能が悪い上、米軍のジャミングによってその能力はかなり殺がれている。従ってB-29Aの位置を早期に確定するのは至難の業であろう。むしろレーダーよりも探照灯の方が遥かに使えそうだ。
日本側に朗報が1つ。このシナリオに登場する「屠龍」は、飛行第4戦隊所属の木村定光少尉の機体とされている。木村少尉といえば、B-29 8機撃墜の記録を持つエースで、本シナリオでも当然の如く"Expert"パイロット扱いになっている。

木村少尉の愛機「屠龍」については、前回登場したMe-110GやJu-88Cに比べると速度がやや勝っている。とはいえ相手はやはり速度性能の良いB-29なので、追いつくのは困難だろう。火力では「屠龍」はドイツ機に劣っているが、一応斜銃を装備しているので、対爆撃機戦闘ならばぬかりはない。機上レーダーを装備しないのが最大の欠点といえるが、当時の日本の基礎工業力を考えれば贅沢は言えまいよ。

次に天候を決定する。このシナリオは天候は固定されていて、半月、良好な視界、雲なしとなっている。目視に頼る日本側にとって晴天は有難い。

では早速ゲームを開始する。
今回はソロプレイなので捜索レーダーによる探知確率を一律2/9とした。これは捜索レーダーの捕捉範囲(半径3ヘクス)とB-29Aの存在確率分布(最大162パターン)を割り算して求めた概算値である。勿論状況に応じてその値は適宜変化させては行くつもりだが・・・。ちなみに対人戦においては、捜索レーダーによる索敵は「レーダー作戦ゲーム」の要領でプレイヤーが夜空にB-29を探すことになる。

「屠龍」はサーチライトエリアの前半分付近で周回しながらB-29を待つことにした。前に出過ぎるとB-29の高速によって振り切られてしまう可能性が高いからだ。

最初の6Turnは何事もなく過ぎ去った。日本側捜索レーダーは闇夜を必死に敵影を求めたが、運悪く捕捉できずにいた。

第7Turnに盤の左隅にあるサーチライトが夜空を飛ぶ怪しい影を捉えた。B-29だ。ただし位置が悪い。このままでは追いつかない可能性がある。兎に角「屠龍」は最大加速で目標との会合点を探った。

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しかしどう考えても追いつかない。はてさてどうしたものか。と木村少尉が思案したのも束の間、今度は別のB-29をサーチサイトが捉えた。今度は位置的にも手ごろであり、十分に接敵のチャンスはある。
「こっちのカラスを食ってやるか」
そう考えた木村少尉は「屠龍」の機首を左に向けた。1Turn後木村少尉はサーチライトに照らされた巨大なB-29の姿を視認した。木村少尉は慎重にB-29の腹部に回り込み、斜め銃の照準を定めた。
敵はまだ気付かない。
「いまだ」
彼は発射ボタンを押した。20mmの曳光弾がB-29に吸い込まれていく。狙いたがわず射弾はB-29の急所である翼の付け根を貫いた。炎を発したB-29は火炎に包まれて落下していく。
「1機撃墜」

3機目のB-29がサーチライトに捉えられたのは13Turnのことであった。しかしこのB-29はすぐにサーチライトから逃れ、以後捕捉されることはなかった。

結果:1機撃墜によりプレイヤー側の勝利

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捜索レーダーが全く有効に機能しなかったのはアンラッキーだったが、予めサーチライトに期待をかけた後退配備は正解だった。サーチライトは妨害されない上、敵機の概略位置は確実に教えてくれる。さらに運が良ければ敵機の位置も特定してくれる。今回のように夜戦側パイロットがExpertでかつ天気が良ければ、サーチライトの警戒網も結構使えるなぁ、と感じた。

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感想2

記録を取りながらのプレイでしたが、プレイ時間は1.5時間ほどでした。恐らく対人戦なら1時間はかからないでしょう。前回紹介したシナリオ6に比べると、プレイヤー側は早期警戒レーダーやサーチライトのルールをある程度理解しておく必要があるので、やや難易度は高いと言えます。とはいえ口頭説明でも十分対応可能な上、プレイ自体も勘所を掴めばそんなに困難ではありません。
少数機同士の戦いなのでやや運に左右される面は否定できませんが、簡単にプレイできるので、このシナリオもお奨めです。


MILITARY CLASSICS-Vol89:特集-二式複座戦闘機 双発戦闘機「屠龍」 日独夜間戦闘機