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Night Fighterは2011年に米GMT社が発表した空中戦ゲームです。
タイトル通りWW2期における夜間空中戦を扱った作品で、日独米英の夜間戦闘機、夜間爆撃機が登場します。
空戦ゲームとしてはシステムは単純な部類に属し、高度の概念は簡略化され、旋回も1ヘクスにつき1回までと単純化されています。スケールも1ヘクス1マイルと大き目のため、複雑な電子戦関連のルールもシンプルにまとめられています。

今回で4回目となるNightFighterのシナリオプレイ。今回は、我々にとっても馴染みの深い、太平洋戦域の戦いを扱います。タイトルは「高速空母部隊」。闇夜を利用して米空母部隊を狙う日本海軍陸攻隊と、それを迎撃するコルセア夜戦の戦いを追ってみます。

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右翼先端に直径18インチのAIレーダー(AN/APS-6)を搭載したF4U-2「コルセア」夜間戦闘機。空母搭載の夜間戦闘機としては最初期のモデルで、1944年、VF(N)-101の所属機が空母「エンタープライズ」「イントレピッド」に展開。マリアナ沖海戦にも参加している。

シナリオ9 ファストキャリア

イメージ 2このシナリオで特徴的なのは夜間雷撃戦術である。雷撃機は低空の限られた空間を空母に向けてただひたすら前進する。魚雷を積んだ雷撃機は鈍足で、本来の性能を発揮できない。1941年製の新鋭一式陸攻は、爆撃機としてならドイツのHe111やJu88よりも優秀な機体(とNight Fighterでは評価されている)なのだが・・・・。
雷撃機とは別方向から空母部隊に迫ってくるのが照明機である。照明機が大型の照明弾で米空母機動部隊を照らし出し、その光を利用して雷撃機が突入するという寸法だ。米軍の立場に立ったとき、雷撃機を追い払うことも大事だが、それと同時に照明機にも適宜対処する必要がある。日本側攻撃隊は10機の雷撃機と2機の照明機からなり、いずれも一式陸攻。

イメージ 3米軍の戦力はF4U-2「コルセア」夜戦が2機である。F4U-2は単発の戦闘機を改造した夜戦である。陸上基地より発進する夜戦の多くが双発機をベースとしているのに対し、空母という狭いスペースでの運用を余儀なくされる艦載夜戦の場合、単発機をベースにする場合が多かった。単発機をべースとしているだけに速度性能は双発機よりも優位で、例えばF4U-2の場合、モスキートの最終型やF7F「タイガーキャット」と同レベルの速度性能を発揮し、レシプロ夜戦としては世界最速クラスである。その一方で火力、防弾性、レーダー装備では双発機に劣っているため、夜戦としての総合戦力では双発機に見劣りするといえる。

今回米軍の任務は味方の空母群を敵雷撃機から守ること。そこで米軍は2機を2手に分けて、1機は前方に進出して雷撃機を狙い、もう1機は側方から近づく照明機を狙うことにした。

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ゲーム開始。日本軍は米軍の対応能力を飽和させるため、雷撃機をまとめて進入させることとし、3Turn目に3機を同時進入させた。米軍のGCIレーダーはそれでも3Turnに日本機の進入を探知し、4Turn目にはF4U-2のAIレーダーが1マイル前方に目標を捉えた。
次のTurn、半月の下を飛ぶ陸攻の姿を捉えたコルセアは、目の前の陸攻に対して射弾を見舞った。が、その射撃は目標を捉えることができず、かえって目標機に警告を与えただけであった。コルセアはなおも敵を追ったが、コルセアの接近に気付いた敵機が急激な回避旋回(コークスクリュー機動)を実施したため目標に対する追跡を失った。
別の1機が5マイル側方から接近してきたのでコルセアはそちらに目標を変更。後方から一連射を浴びせて手傷を負わせたものの、その機体もコークスクリュー機動で一度は失探してしまう。AIレーダーを駆使して再び目標を捕捉。今度は狙い違わず目標を粉砕した。バラバラになった陸攻の破片を避けるべくコルセアは急激な回避機動を行う。
1機撃墜。

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イメージ 6その時、米艦隊上空に数個の大型吊光弾が輝いた。雷撃隊の別方向から進入してきた照明隊が吊光弾の投下を開始したのだ。その照明機を追っていた1機のコルセアは、味方の対空砲に撃ち落とされる危険をものともせず、照明機の後方に接近。50口径機銃6丁の狙いを定めた。しかし敵もさるもの。コルセアの接近を察知した陸攻は、後方銃座から激しく反撃してきた。20mm機関砲弾がかすめていく。肝を潰すコルセアのパイロット。幸い機関砲弾は全てはずれ、狙いすましたコルセアの一撃が陸攻を引き裂いた。
1機撃墜。爆発の閃光に目が眩んだコルセアのパイロットは、そのまま味方の対空砲火の威力圏を急速度で離脱していった。

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敵雷撃機が米艦隊上空に進入。艦隊は激しい対空砲火を打ち上げるが夜間のためにあまり効果はないようだ。また照明弾はまだ輝いている。海上で大きな爆発が起こった。味方の艦がやられたのだろうか。
先に雷撃機を落としたコルセアは別の雷撃機を捕捉。気付かれることなく敵機に接近。一撃で敵機を葬った。と、そこまでは良かったのだが、なんと撃墜した敵機の破片に巻き込まれてしまい自らも墜落。貴重な夜間戦闘機1機が失われてしまう。

さらに大型の吊光弾数個が艦隊を照らし出した。別の照明機が艦隊上空に忍び寄ってきたのだ。しかし残ったコルセアは僅かに1機。照明機を追っている時間はない。コルセアは機首を巡らせ、未だ艦隊に近づいている敵雷撃機を追った。
いた。
AIレーダーが前方3マイルに陸攻を捉えた(コルセアが搭載するAN/APS-6はXバンドなので低空飛行のペナルティを適用されない)。慎重に後方から接近。気付かれずに目標後方から射弾を浴びせることができたが、非力な12.7mm機銃では陸攻に致命傷を負わせることができない。そうこうしている間に敵機に気づいた陸攻から猛烈な砲火を浴びせてきた。20mm機関砲弾数発がコルセアに命中。双発機に比べれば対弾性に劣るコルセアは、瞬く間に炎に包まれて落ちていった。

後の調査でこの日の戦いについての経過が明らかになった。日本軍は雷撃機10機と照明機2機を投入し、雷撃機2機、照明機1機を失った。残った雷撃機8機が魚雷発射に成功。その1発が軽巡「サンタフェ」に命中。「サンタフェ」は一時的に航行能力を失ったが、後に復旧してエニウェトク環礁へ引き上げていった。コルセアの損害は2機未帰還。

結果:2VPで米軍の勝利


感想1

VP的には勝ったとはいえ、戦闘機2機を失った状況ではとても勝ったとは言えない。まず問題点としてコルセアの火力が低すぎる。これは「史実通り」といえばそれまでなのだが、夜戦としてはやはり20mm装備は欲しい所だ。その一方でこのゲーム、何故か一式陸攻の評価が恐ろしく高い。防御火力はランカスターやハリファックス以上でB-17Eと同等。速度はJu88AやDo17Z、B-17Eと同クラス。対弾性こそ双発機としては標準だが、「一式ライターだから・・・」的な評価は一切ない。デザイナーのつける評価に文句を言っても仕方がないのだが、日本人としてはやや違和感を覚えてしまう。
ちなみに単発の艦載夜戦としては、F4U-2以外にF6F-3EとF6F-5Nが登場する。F6F-3EはAIレーダーの性能に不安があるのであまり美味しくないが、F6F-5Nはなかなか優秀で、F4U-2と比べると速度性能が若干見劣りするものの、火力で大幅に勝っているためこちらの方が夜戦としては使えそうだ。「グラマン鉄工所」製品なので防御力も3にして欲しかったが、NightFighterでは単発機の防御力を2で統一しているので、まあ仕方がない(同じくMe109GとFw190Aが同じ防御力というのも違和感を感じる所だ)。

感想2

今回のプレイは記録も含めて約2時間かかりました。対人戦では1~2時間といった所でしょうか。空母防空戦シナリオとしては、他にヘルキャット夜戦型や新鋭タイガーキャットが登場するシナリオも含まれており、こちらも機会があればプレイしてみたいです。

つづく


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