今回紹介するゲームはWW2における北アフリカ戦を「レジェンド・ビギンズ」(The Legend Begins)です。
本作は1940年9月のイタリア軍によるエジプト進攻から1942年12月のエル・アラメインの戦い終了までを1ユニット=大隊、連隊、旅団、1Turn=半月のスケールで描きます。本作は1991年に米国Rhino Game Companyから出版され、その後Terran Game, Incで改定版が出版された後、2005年に国際通信社から日本語版が発売されました。
本作は1940年9月のイタリア軍によるエジプト進攻から1942年12月のエル・アラメインの戦い終了までを1ユニット=大隊、連隊、旅団、1Turn=半月のスケールで描きます。本作は1991年に米国Rhino Game Companyから出版され、その後Terran Game, Incで改定版が出版された後、2005年に国際通信社から日本語版が発売されました。
本作の特徴は詳細なルール群で、作戦級でありながら戦車の性能差は再現されているのみならず、戦車の性能が徐々にグレードアップされていく様も楽しむことができます。初期の連合軍戦車は88mm砲には敵いませんが、最後に登場するシャーマン戦車ならある程度88mm砲と互角に戦うことができます。他にも補給ルール(当然補給物資が駒になっています)、トラックに関するルール、海上輸送、さらにはマルタ島を巡る攻防戦もルール化されています。海戦ルールは省略されていますが、それでも両軍が船団護衛に戦艦を随伴させたり、伊軍が戦艦「リットリオ」を出撃させたり、英地中艦隊が沿岸に対して艦砲射撃を行うことができます。
システム的にはチット引きです。連合軍4枚、枢軸軍4枚の行動チット計8枚をカップに入れ、順番に7枚引いてそれぞれの陣営が移動・戦闘を行うシステムです。最後に残った1枚は使われずに残されるので、チット引きによる有利・不利は発生します。チット引きの有利・不利を緩和するため、連続3回で同一陣営のチットが続かないようにするルールがあります。
この度、「レジェンドビギンズ」を試してみることにしました。最初のプレイだったのでTURN数が短く、派手な展開の期待できるシナリオ4「クルセーダー作戦」を試してみました。これは1941年11月~12月に行われた同名の作戦を再現するシナリオで、長さが3Turnと短く、駒数が多いので激しい消耗戦が期待できるシナリオです。史実においても英軍はクルセーダー作戦で枢軸軍を上回る損害を被ったものの、兵力に物言わせて枢軸軍を圧倒。当初の作戦目的を達成できたとか・・・。
今回私は英軍側を担当しました。

セットアップ時の状況。緑はイタリア軍、灰色はドイツ軍、それ以外は連合軍です。
Turn1
英軍はハルファヤ峠(2545)付近の枢軸軍陣地帯を突破した後、Cupuzio(2646)からSide Azeiz(2744)方面へ向けて進撃する。そこで兵力を二手に分けた英軍は1/3の兵力でバルディア(2846)の永久要塞を攻撃、残り2/3の兵力で独第21装甲師団を攻撃した。前者は攻撃に成功したものの要塞効果によって実に8ステップもの大損害を被ってしまう。後者は兵力では敵を圧倒していたものの、88mm砲の射撃と独軍の優れた戦術能力のために攻撃は失敗に終わった。独軍は直ちに反撃に転じ、内陸部を迂回して後方の英第8軍司令部と補給基地を襲う。独軍装甲2個師団の攻撃に対し、精鋭ニュージーランド第2歩兵師団が必至の防戦。彼らの奮戦によって補給物資が敵に奪われるという最悪の事態だけは免れたが、ニュージーランドの歩兵師団は半身不随に近い状態となってしまう。

ハルファヤ峠に襲いかかる連合軍の図
Turn2
独軍の攻撃は留まる所を知らず、英第22機甲旅団は独軍の攻撃を受けて壊滅。さらに補給基地に迫るイタリア軍に対し、間一髪で補給物資を爆破することに成功する。英軍は機甲兵力を結集し、戦線左翼後方に入り込んできたイタリア軍トリエステ師団を包囲攻撃。これを撃滅した。第8軍司令部は危険の多い内陸部を離れ海岸地帯に移動。シディ・バラニ(2648)に新たな基地を築いた。英軍の歩兵部隊はバルディアからCupuzo、ハルファヤ峠、さらに東へ向かう道路上に陣地帯を築き、守りを固める。Turn3
最終TURNである。このTURNまで両軍とも激しい戦いによって多大な損害を被っていた。特に機甲兵力の消耗は激しく、両軍とも半数を遥かに超える損害を被っていた。このTURN、英軍がまずイタリア軍アリエテ機甲師団を攻撃。これを撃破した。続いて再編成された英第2機甲師団に対して独軍装甲2個師団が襲いかかった。しかし消耗激しいドイツ装甲師団は英機甲師団を撃破することができず、逆に保有戦車ステップの全てを失うという結果になってしまう。
結局ゲーム終了時に英軍はトブルク、バルディア、シディ・バラニの勝利条件ヘクス3ヶ所を支配したものの、トブルク解放には失敗したためトブルクの勝利条件ヘクスはカウントされなかったために勝利には届かなかった。一方の枢軸軍も勝利条件ヘクスを2ヶ所しか支配できなかったため勝利を得ることができず、この対戦は引き分けに終わった。

ゲーム終了時の状況
感想
3Turnの短いシナリオでしたが、プレイ時間は8時間近くかかってしまいました。1Turn平均2時間以上です。これは1Turnに7回動けるシステムのせいで、通常のゲームよりも負荷が大きいことは否めません。仮にキャンペーン・シナリオをプレイするとなると、TURN数が56Turnになりますから、まともにプレイしても100時間以上かかる計算になります!!。まあ激しい戦いと戦いの間は少し暇になるので、やや短くなるとして、さらにグラッツァーニ攻勢とかコンパス作戦は省略してロンメル登場から開始する手もあるので、その場合はTURN数が37Turn。この場合なら50~60時間でキャンペーンシナリオをプレイできる見通しが出てきます。いずれにしても現実的な数値ではないですね。キャンペーンシナリオの話が出たので余談ついですが、仮にキャンペーンシナリオをプレイする場合、日本語バリアントルールV2.0を導入した方が良いと思われます。そうしないと英軍はひたすらエルアラメイン付近に籠り、増援を待つ展開となるでしょう(実際にそのような例はあったそうです)。
今回本作については初めてのプレイでしたが、非常に面白かったです。細かいルールが多いものの、個々のルールは納得感があります。「戦場の霧」やイタリア軍ルールのため、満を持した攻撃が大虐殺になることもしばしば。英軍がその圧倒的な兵力をつぎ込んでの攻撃が逆に返り討ちに合った時などは、88mm砲によって大出血させられた英戦車部隊の姿を見るようです。戦闘結果表は非常にブラッディであり、僅か数TURNの戦闘で師団規模の戦車部隊が溶けてなくなる程です。今回のプレイでもドイツ軍装甲師団は全戦車ステップを失い、英軍も生き残った戦車ユニットが数えるほどといった状況でした。
いつかキャンペーンシナリオをプレイしてみたいですね。日本語版は現在でも入手可能なので、興味のある方は早めに入手されることをお勧めします。







