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ソフトウェアでビジネスに勝つ

ワッツ・S・ハンフリー著 富野壽訳 共立出版

著者のワッツ・S・ハンフリー(W.S.Humphrey)はCMMの創始者であり、PSP(Personal Software Process)、TSP(Team Software Process)を作り上げた人物である。本書は、ソフトウェアプロジェクトを成功させるためのノウハウを記した著作であるが、筆者の主張はそれだけではない。筆者はソフトウェアプロジェクトの成否がビジネスの成否を左右するとしている。読者は本書に記されたIBM社とMicrosoft社の歴史を読んで筆者の主張に納得するであろう。
本書はソフトウェアプロジェクトを成功させる秘訣として、TSPの導入を勧めている。なるほどTSPを導入できればソフトウェアプロセスを改善させることはできるだろう。しかし現在の日本における状況を考えると、一般企業でTSPを導入することは現実的な解ではない。
では、本書が現在の日本では無価値か、というと、決してそうではない。
本書はソフトウェアプロジェクトがなぜ失敗するのか、なぜ品質を重視しなければならないのか、良いソフトウェアプロジェクトとは何か、そういった疑問に答えてくれる。本書のターゲットは一般企業の上級管理者だが、日本ではむしろソフトウェアエンジニアやその管理者達に読んでほしい作品である。

お奨め度★★★★★