「真珠湾強襲」はGame Journal誌39号の付録ゲームで、太平洋戦争全域を扱ったシミュレーションゲームです。太平洋~東インド洋がいくつかのエリアに分割され、エリアには陸上エリアと海上エリアの2種類があります。雰囲気的には、AH社の傑作「Vicory in the Pacific」に似ていますが、ジャワ、バリクパパン、レイテ等といった領域も含まれている分「真珠湾強襲」の方が詳しいです。

基本システムは所謂「強襲システム」で、各ユニットは毎TURN攻撃か移動かのいずれかを選択できます。攻撃又は移動を実施したユニットは裏返しになり、耐久力が低下します。従って後先考えずに移動又は攻撃を実施すると、敵側の反撃で手痛い損害を被ることになります。しかし本作の場合、裏面と表面の防御力の差はそれほど大きくはなく、先手の不利は同システムにおける他の作品と比べるとかなり緩和されています。

「強襲システム」のもう一つの特徴は、いわゆるカードドリブンシステム(CDS)を採用していることです。行動を行うためにはカードが必要。また「強襲システム」の特徴として、「独立部隊」や「共同攻撃」「急襲作戦」といった特殊なカードが含まれており、これらのカードを使うことによって通常行動よりも効率的な作戦が可能です。さらにGMT系のCDSゲームとは違って、「強襲システム」では使用するカードをプレイヤーが自分で選ぶことができます。GMT系のCDSではカードが通常ルールでは表現し切れない特殊なイベントを示すのに対し、強襲システムのカードはプレイヤーの戦略方針なり、作戦方針を示しているようです。

今回ソフィアゲームクラブというゲーム会にて「真珠湾強襲」をプレイしてみました。最初、下名は日本軍を担当しました。

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1Turn(1941年冬)

このゲーム、他の太平洋戦争ゲームと同じく開戦奇襲から始まる。真珠湾攻撃では戦艦3ユニットを撃沈、1ユニットを大破せしめた。また南シナ海では英戦艦プリンスオブウェールズ/レパルスを大破せしめた。開戦奇襲で撃沈した戦艦は、そのままVPに直結するので、この段階で2VPを獲得したことになる。
その後は日本軍は済々と作戦を遂行。海路でラバウル、タラワを占領し、バンコクを陸路占領したのを皮切りに、マニラ、シンガポール、バリクパパンを占領し、シンガポールでは英東洋艦隊の残存部隊を撃破した。
VP=20(注)

注:30VP以上を達成した時点で日本軍のサドンデス勝利となる。


2Turn(1942年春)

米軍の空母戦力が珊瑚海に集中してきた。裏面のままなのでこれはチャンス。空母10隻(5ユニット)を集中した南雲機動部隊を内地から出撃させて南洋に向かう。必殺の「空母機動部隊」カードを使って珊瑚海で米機動部隊を奇襲。米空母2ユニット(4隻)を撃沈して同方面の制海権を握った。
その間陸路ではラングーンを制圧。ビアクには陸戦隊が上陸して支配を広げる。
VP=23


3Turn(1942年夏)

前のTurnに空母戦力を減殺したので、このTurnは地歩を広げる。基本的な戦略はカルカッタを狙うふりして豪州を狙う。フェイントの意味でラングーンの陸軍2個師団を「急襲作戦」によりカルカッタに進出せしめるが連合軍は反応なし。それならば、と、南雲機動部隊で珊瑚海に進出してきた米艦隊に対し連続空襲を加える。この攻撃が功を奏し、米空母1ユニット他を撃破。ソロモン海~珊瑚海一帯の制空・制海権を握った。
ラバウルを進発した2個旅団がヌーメア、フィジーに上陸。さらにラエにも上陸し、それぞれ制圧した。
VP=28


4Turn(1942年冬)

先のTurn、カルカッタに進出していた2個師団が英基地航空隊を攻撃。1発当てれば撃破の所で見事に外れの結果を出して最初の攻撃は失敗に終わった。しかし「補給」カードで復活し、さらに航空機の支援を得た第2次攻撃は見事に成功。カルカッタを支配下に置いた。
その間、南太平洋方面でも南雲機動部隊が猛威を奮い、空母を持たない米艦隊を一方的に攻撃、これに重大な損害を与え得ていた。事ここに到り、豪州、インド両方面で日本軍の猛威を感じた米英首脳は日本との講和交渉に動き、ここに約1年続いた大東亜戦争は終結を迎えることとなった。
VP=34

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感想

ごめんなさい。日本軍がジャワを取っていなかったので、3Turn以降日本軍の獲得できるカード枚数は5枚でした。間違えて6枚使っていました。私のルール適用ミスです。そういう意味で今回の勝ち負けはなしです。
まあそのことに目を瞑って今回の勝因を探ってみると(勝ってないって・・・)、米軍の空母戦力を早期に無力化したのが勝因といえよう。陸軍の行動が主役であるというコンセプトは理解できるが、陸軍の活動を生かすためには航空機の支援が不可欠であるということも教えてくれる。



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