
組込みシステムの設計手法
平鍋健児他 技術評論社
組込みシステムといえば、家電製品や携帯電話等で動作するソフトウェアのことである。エンタープライズ系と呼ばれているPC上で動作するソフトウェアに比べると、ハードウェアの制約や開発環境の問題等、制約条件が厳しいといえる分野である。本書は組込みシステムにおける設計手法について、基本知識、アーキテクチャーについて、プロダクトライン開発、UMLベースの設計、ユーザビリティ、アジャイルの適用という6つの観点から取り上げている。組込みシステムの特殊性や技術的な話題を知るには良い著作である。組込みシステムについての基本的な概念を網羅しているので、組込みシステムの開発者やテスト担当者であれば、読んでおきたい著作と言える。ただし個別の技術的な課題は掘り下げがやや浅いので、専門書で補う必要があろう。個人的に興味をひいたのは、ユーザビリティの評価方法についてだ。ユーザビリティの重要性については幅広く理解されていると思われるが、ユーザビリティ評価のついての実践的な知識はあまり普及されていないように思う。そういった点で本書では様々な実例を用いてユーザビリティ評価の進め方について説明してあるので、ユーザビリティ評価を改善するための取っ掛かりとなった。
またユーザビリティ以外ではアーキテクチャーの作り方についても参考になった。組込みシステムの開発現場では、ドキュメンテーションが不十分であり、品質面での課題になっているが、その原因の多くは「設計書の書き方がわからない」ことにある。本書では具体的な事例を上げてアーキテクチャーの表現方法を紹介している。
繰り返しになるが、組込みシステムの基本的な知識はおさえてあるので、組込みシステム開発スタッフ及びテストスタッフには読んで頂きたい著作である。
お奨め度★★★★★