ラビリンス(Labyrinth)はGMT社が2010年に発売した「テロとの戦い」を題材にしたシミュレーションゲームである。ポイントトゥポイントで描かれた地図は、環太平洋地域と南アフリカ、ラテンアメリカを除く世界の主要地域が描かれてる。マップ中央にはアフガニスタン、パキスタン、イラン、イラクといったホットポイントが位置している。一つのポイントは1国家又は1地域を表し、1Turnは1年、1ユニットのスケールは不明だが、恐らく数百~数万名の兵員又はテロリストを示していると思われる。
この度、ラビリンスをソロプレイする機会を得た。選んだシナリオは"Let's Roll"。2001年9月11日の同時多発テロ直後から開始されるシナリオである。
2001年(1Turn)


2002年(2Turn)

一方の米国政府はこれまでの強硬路線を転換。国際社会と協調して非軍事的手段でテロを封じ込めるソフト戦略に切り替えた。この戦略は功を奏し、湾岸諸国が親米政権で安定化し、レバノンも中立政権で安定化した。前年やや不安定さを見せていたサウジアラビアの政治情勢も、この年は安定化に向けて前進した。欧州各国も米国の政治路線に協調姿勢を示し、米国の国威は上昇。ブッシュ大統領の支持率はこれまでになく好転した。
イスラム原理主義者は富裕な湾岸諸国、イラク、湾岸諸国、サウジアラビアを伺う姿勢を見せてイランに集結しつつあった。しかし湾岸諸国とサウジアラビアには米軍部隊が常駐し隙を見せていない。残るはイラクあたりが狙い目か・・・。

2003年(3Turn)

それでもテロリストはなおも陸続としてイラクへ集結している。ここにいたり、遂に米国は羊の皮を脱ぎ棄てた。ブッシュ大統領は一般教書演説でパキスタン、イラン、アフガニスタンの3国を「悪の枢軸(Axis of Evil)」として非難。これまでの協調路線から一転して強硬路線に切り替えた。動員準備の整った米軍部隊はパキスタンに向けて出撃。インド洋に展開する米機動部隊からは攻撃隊が発進していく。パキスタンのタリバン政権は一瞬にして崩壊。残ったテロリストは地下に潜伏していった。
同じ頃イラクではイスラム革命が勃発。イスラム原理主義者達は新たな拠点を手に入れた。

2004年(4Turn)

イスラム原理主義者は次の目標を中央アジアに定め、テロリスト集団を中央アジアに向けて移動させる。米軍はプレデター無人攻撃機を使ってそれを阻止せんとするが・・・・。

2005年(5Turn)
中央アジアに集結したテロリストがイスラム革命を実行した。アッサリ成功。アフガニスタン、パキスタン、イラクに続く4つ目のイスラム原理主義国家が誕生した。この時点でイスラム原理主義国家のリソースが6ポイントに達し、また中央アジアとアフガニスタンが隣接しているので、イスラム原理主義者側の勝利が確定した。
感想
プレイ時間は3時間弱である。記録を取りながらなので、記録なしならもっと早く終わっただろう。ただ、慣れないうちは「何をして良いかわからない」ゲームなので、初心者同士ならもっと時間がかかると思われる。今回は米側のカードがあまり良くなかったが、全般的に米側の方が難しいと感じた。米国が勝利をおさめるためには、合計12リソース以上の国家が"Good"にならなければいけない。政権を安定化させるためには"米国の国威"(US Prestige)を高い値に維持する必要がある。しかし米国の国威はいとも簡単に低下する。戦争をしてはいけない。世界は平和を望んでいるのだ。だから米大統領も平和を目指さなければならない。平和を目指せば米国の国威は回復する。
しかし平和だけでは戦争には勝てない。テロリストどもは世界中に革命の火を灯すことにより勝利を目指している。テロリストどもの野望を阻止するためには大規模な軍事行動が不可欠だ。しかしそれは世界が望んでいる方向とは異なる方向へ歩むことになる。結果、米国の国威は低下する。・・・・。
しかし平和だけでは戦争には勝てない。テロリストどもは世界中に革命の火を灯すことにより勝利を目指している。テロリストどもの野望を阻止するためには大規模な軍事行動が不可欠だ。しかしそれは世界が望んでいる方向とは異なる方向へ歩むことになる。結果、米国の国威は低下する。・・・・。
米国としてはテロリストが革命を広げる前に富裕な諸国を仲間に引き入れて逃げ切るのが得策と思われる。そのためには時には強硬路線、時には協調路線と政治姿勢を巧みに使い分けることが必要ではないかと思われる。
今回はソロプレイだったので、ラビリンスの本質に迫れたかどうかは疑問である。機会があれば対人戦をプレイし、本作の本質に迫ってみたい。
それにしても・・・・、難しいゲームである。