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Campaign to Stalingrad(以下「キャンスタ」)は、Rhino Game Company社が1992年に発売したシミュレーションゲームである。テーマはスターリングラードを巡る2つの大きな戦闘、青作戦とウラヌス作戦である(キャンペーンシナリオも存在するが、実質的にはプレイ不可能)。デザイナーはマーク・シモニッチ(Mark Simonitch)氏。

この度、キャンスタをの青作戦シナリオを3人でプレイする機会を得た。シナリオは青作戦。下名は枢軸軍を担当し、残り2人でソ連軍を担当する。

前回までのあらすじ --> こちら

10Turn

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快進撃は続いている。ドン回廊では装甲集団が突進。その先鋒はチル川の線に到達。ドン回廊部にソ連軍歩兵部隊を追い詰めつつある。

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ボロネシ方面でも小包囲が成立。戦車師団1個、狙撃兵師団3~4個を包囲せん滅した。

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11Turn

ボロネシ方面ではソ連側の防御努力に対してドイツ側の攻撃力がそろそろ底が見えてきた。現有兵力で突破はもう無理か・・・。装甲兵力を過半を南に向けてスゥイングさせるのも手かもしれない。時間がないが・・・。

ドン回廊では、チル川を渡河した装甲部隊の先鋒がカラチの渡河点に向けて猛進撃を続ける。その主力は第13装甲師団(15-6)と第29自動車化歩兵師団(10-6)、第14装甲師団(12-10-6)の3個戦車・自動車化部隊部隊である。度重なる戦闘によって損耗著しいドイツ軍機械化部隊にあって、比較的戦闘力を保持している数少ない部隊であた。カラチ渡河点まであと3ヘクス。

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12Turn

ボロネシ戦線ではソ連軍の強化が著しく、残念ながらほとんど前進が望めない状況になってきた。それでも前面の歩兵を撃破しつつ前進を図るが、歩兵の海をかき分けて前進しようとしたが、やはり無理だった。ソ連騎兵2個師団を撃破し、戦線に小さな穴を空けるのが精一杯である。

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ドン回廊では目の前にカラチの渡河点が見えてきたが、そこで目標を右に変更。ソ連歩兵の包囲に目標を切り替える。
「目的はパリ、目標はフランス軍」
使い古された戦場のセオリーだが、実際の場面で「土地か部隊か」という判断はかなり難しい。今回もプレイでも度々このような決断を強いられ、迷い、そして失敗してきた。今回の決断はどうだったのだろう?。
ともあれ、目標を南に向けた装甲部隊はソ連軍歩兵の後退路を遮断すべく運動する。しかしドイツ軍の突破力もかなり衰え、最早今までのような大規模な包囲せん滅は望めなくなってきた。不完全な包囲輪を形成するドイツ軍であったが、ソ連兵達は包囲輪の隙間を抜けて後方に下がっていくだろう。

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13Turn

戦場に雨が降った。確率1/6なのでこれまでに出なかったのが不思議な程であったが、独軍の幸運もここにきて漸く陰りが見えてきた。雨に足を取られたドイツ軍。そんな中でドン川西岸地区で逃げ遅れたソ連歩兵を攻撃し、3個師団を包囲し、その他数個師団を撃破した。またソ連軍飛行場を1箇所撃破。これまで散々煮え湯を飲まされたソ連空軍に対して、ようやく一矢報いた。

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ボロネシ戦線ではグロスドイッチュランド自動車化師団、装甲師団2個、歩兵師団1個が戦線から引き抜かれた。最早ボロネシ戦線では攻勢継続は不可能である。

14Turn

再び戦場には雨が降った。雨の中、ボロネシ戦線では少し後退し、ソ連軍の反撃に備える。
ドン戦線では戦線背後に残存しているソ連軍歩兵を相当する。ほぼ完全に掃討を完了し、次のTurnでのステップアップに備える。

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15Turn

最終Turnである。最後なので戦果を求めて大攻勢に出る。まずボロネシ方面ではなけなしの装甲2個師団を投入して反撃を実施。ただしこちらは最初の突破が決まらなかったために攻撃が頓挫してしまう。

ドン回廊では一旦南に向いていたドイツ軍が再びカラチ方面へ最後の大攻勢をしかけていった。歩兵と戦車、さらにはKV-1重戦車大隊のスタックに対し、装甲、自動車化等計5個師団、他1個師団で攻撃加えて突破口を啓開。その突破口を利用してソ連軍戦線の後方に回り込み、別のスタックを包囲する作戦だ。作戦は上手く行き、ソ連軍狙撃兵スタック1つを包囲せん滅した。またドン川北岸で逃げ遅れていたソ連軍狙撃兵3個師団に対しても掃討戦を実施。これを完全に撃滅した。

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結果

枢軸軍のVP

ソ連軍基幹:歩兵師団37個、連隊8 = 20.5
ソ連軍壊滅:歩兵師団29個、戦車軍団2個、司令部2個、旅団5個 = 35.5
合計:56点

ソ連軍のVP

大都市占領:40点(4ヵ所、スターリングランードx2、ロストフ、サラトフ)
小都市占領:10点(2ヶ所)
合計:50点

その差は枢軸軍+6点。勝利条件は枢軸軍+20以上なので、ソ連軍辛勝か?


感想

全15Turnをプレイし、所要時間は合計23時間ぐらいであった。今回は3人でプレイしたが、もし2人ならもっと時間がかかっただろうし、逆に4人ならもう少し短時間でプレイし終えることができるだろう。いずれにしても一番簡単な筈の「青作戦」シナリオでさえ、20時間以上のプレイ時間を覚悟しておいた方が良い。

勝敗からいえば点数的には独軍の負けであるが、実質的には惜敗又は引き分けと考えて良いと思っている。ロストフを取れなかった上、スターリングラードに接敵することもできなかったので、その点から言えば惨敗と言えるが、ソ連軍歩兵師団60個以上を葬り、その約半数を永久除去に追い込んだ戦果は大きい。
ただ途中まではイニシアティブを握れず、ソ連側のペースで戦わされていたのはのが悲しい。ロストフ陥落せず、カラチの渡河点にすら到着しなかった。ボロネシについても史実からかなり遅れて陥落した。

上記のうちまずロストフについては、数で押し切る戦法をとるべきでったのかもしれない。枢軸軍歩兵のようにやられても痛くない部隊で「断固たる攻撃」を行い、短時間でロストフ制圧を狙うべきであった。装甲部隊が吸引されるのを嫌がってロストフから手を引いたが、やはりロストフは要衝なので、損害を顧みずに落とすべきだったと思わざるを得ない。

ボロネシについては、まあこんなものかな。仕掛けるのがやや遅すぎたきらいはある。ソ連軍の防衛部隊が集まる前にボロネシを包囲しておけば、もっと早い時期にボロネシを制圧できただろう。その点、判断の迷いがあったことは否めない。

戦術レベルでは、空軍の使い方を最後まで把握し切れなかった。かなり無駄な使い方をしていたと思う。攻撃宣言時に空軍支援を宣言するシステムではなく、移動前に宣言する方法なので、どこを狙うのか決めておく必要がる。そこで間違えて無駄な支援や必要な支援を回さなかったことなど、失敗してしまった。

実際問題、キャンスタ空軍ルールはかなりテクニカルである。以下にドイツ軍から見た場合のテクニックをいくつか紹介させて頂きたい。
 1.装甲部隊や機械化部隊のように重要な部隊は必ず高射砲から3ヘクス以内に配置すること。
 2.可能ならば装甲部隊は歩兵とスタックしておくこと。高射砲の射程内ならあまり意味はないが、そうでない場合は弾よけになってくれる場合がある。
 3.空軍基地は必ず他のユニット(司令部とか歩兵とか)とスタックしておくこと。爆撃で潰されたら目も当てられないから。
 4.可能な限り味方重要部隊は戦闘機の傘の下に置くこと。

機械化部隊を利用した装甲突破の仕方等もプレイ途中で漸く勘所が掴めてきた。装甲部隊を集中して戦線を突破し、前線の背後に回り込んで前線部隊を包囲殲滅するやり方もゲーム途中から掴めてきた。前半は都市攻略戦に拘ったので上手くいかなかった。ただ都市を放置していると、そこから先に鉄道補給が伸びないとか、いつかは掃討しなければならないとか(包囲で飢え殺しを狙う手もあるが・・・)、色々面倒なことがあるので、難しい所である。

最後に総括。
下名にとってキャンスタをプレイするのは2度目である。キャンスタは基本システムが比較的平易である。基本的には移動、戦闘の繰り返し。ZOCボンド、鉄道移動、大都市戦闘、戦闘後前進中のオーバーラン等、特殊なルールはいくつかあるものの、それほど難しいものではない。ただしマップが広い上にユニット数もかなり多いので、プレイ時間はそれなりに覚悟が必要であろう。普通にプレイして1プレイヤーターンが1時間弱。1Turnの所要時間1.5~2時間が目安だが、長考型ならもっと時間がかかるかもしれない。
いずれにしても比較的簡単なルールで、重厚なゲームをじっくり楽しむという魅力は捨てがたいものである。機会があれば再戦してみたい。

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