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某ゲーム雑誌のレビュー欄で「本作をプレイしない作戦級ゲーマーは引退を考えた方は良い」とまで言わしめた傑作ゲーム「Ardennes'44」。今回は「Patton's Counter Attack」シナリオをプレイしてみた。
参加者は3名(独軍1名、米軍2名)。私は米軍北翼を担当する。
選択ルールは全て採用した。ただしルール34「15攻撃力限界」は、15ではなく16攻撃力にした。これが結構効いたことは、後述する。

セットアップ

本シナリオは攻勢開始7日目から11日目の12月22日から26日にかけての期間を扱う。この時期パイパー戦闘団は孤立して連合軍に包囲されており、北部における独軍の攻勢は下火になりかけていた。一方、中央部を前進するマントイフェル・ドイツ第5装甲軍はバストーニュ包囲を完了し、さらに西へ向けて進もうとしていた時期でもある。史実におけるバストーニュの解囲が12月26日なので、本シナリオの焦点はバストーニュ包囲戦とそれの解放になるだろう。以下がセットアップ時の状況である。

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2枚目、3枚目はバストーニュ付近、サンビット付近の拡大図である。いずれも上方向が西側を示している。バストーニュはとにかく、この時期までサンビットで米軍が粘っていることについては、改めて驚かされる。


12月22日AM

攻勢開始から6日目の朝を迎えた。この時期、独軍の勢いはやや衰えたものの、まだまだその衝撃力は侮れない。それでもこの朝は攻勢主力たる戦車教導師団が燃料不足のために事実上立ち往生してしまったことは、独軍にとっては痛かったようだ。

独軍は攻勢開始4日目以降、毎TURNダイスを1~2個振って燃料切れを起こした師団を決定する。出目によっては燃料切れを起こさない場合もあるが、大抵は第5装甲軍、第6SS装甲軍から各1個師団がガス欠に泣くことになる。ちなみに選択ルール32「燃料基地」を使うと、独軍は燃料基地を占領することによってガス欠開始を1日遅らせることができる。たった1日だが、その効果は意外と侮れない。

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イメージ 13独軍は最先端のErezee(E3924)を守る米第3機甲師団「スピアヘッド」所属のCCR(6-4-6[3],攻撃力-防御力-移動力[戦車シフト]以下同じ)に対して独第116装甲師団の2個スタックが攻撃を仕掛けてきた。しかしCCRは奮戦(ENG)し、独軍の進攻を食いとめた。
その南、Manhay(E3626)南方のE3625でも、米第3機甲師団所属の戦車大隊(2-1-5[2],M5軽戦車装備)と空挺大隊のスタックが戦車歩兵連合による独軍の攻勢を食い止めていた。

やや南に下ってヴィエルサレム(Vielsalm E2826)周辺では、米第82空挺師団とその分遣隊が主要な通過点を守っていた。独第1SS装甲師団「ライプシュタンダーテ・SS・アドルフ・ヒトラー」(LSSAH)の攻撃を受けた彼らは、小さな単位に分散していたために劣勢は免れなかった。それでも彼らは奮戦し、多くの部分で独軍の攻勢を食い止めていた。

イメージ 14唯一独軍の進撃を許したのがサンビット(St-Vith E2125)北西のPoteau村落(E2487)で、同地を守る米第7機甲師団(6-4-6[3])が独軍第9SS装甲師団「ホーエンシュタウフェン」などの攻撃を受けて撃破されてしまった。スタボロ(Stavelot E2730)を守る米第30歩兵師団「オールドヒッコリー」所属の連隊(4-4-3)も攻撃を受けたが、こちらも持ちこたえている。

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写真は北から南に向けて見ている形になっている。写真右手が西側、つまり独軍の突破方向だ。

イメージ 15米軍はサンビットを放棄を決定。同地を守る第7機甲師団「ラッキーセブンス」、第9機甲師団「ファントム」、第106歩兵師団「ゴールデンライオンズ」の各部隊が独軍の包囲を免れるべく西方に向けて下がっていく。しかし第7機甲師団CCA(6-4-6[3])は独軍による拘束(ENG)を振りはらう事に失敗し、戦線に取り残されてしまう。また第106歩兵師団は、歩兵ゆえの足の遅さにより、後退速度が遅い。独軍の追撃が迫ってくる。

イメージ 16米軍もこのTURN、限定的な反撃を実施した。独第116装甲師団所属の偵察部隊(3-2-7)を撃破した他、シュトルム・ティーガー装備の独第217独立戦車大隊(2-1-5)を撃破した。

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12月22日PM

イメージ 17独軍は、La Gleize(E3031)にて包囲下にあるパイパー戦闘団(KG Piper)を救援すべく必死の救援作戦を実施する。その結果、独第116装甲師団の攻撃でManhgyが一時的に陥落してしまう。しかしパイパー戦闘団の前に立ちはだかる米第30歩兵師団や空挺大隊に対する攻撃はいずれも失敗。パイパー戦闘団自身による反撃が失敗するに及んで、彼らのの命運は尽きた。パイパー戦闘団はこのTURNの終了時点で降伏する。

イメージ 18Manheyでは、新たに登場してきた第3機甲師団所属のCCA(9-6-6[3])とM4シャーマン装備の戦車大隊(4-3-6[3])の部隊が反撃を実施。独第116装甲師団麾下の偵察大隊(3-2-7)を撃破しManhayを再占領するとともに、その北西地区に取り残された第116装甲師団所属第156装甲擲弾兵連隊(5-5-6)の退路を断った。
その東方、Elsenborn付近では、米第2歩兵師団「インディアンヘッド」麾下の部隊が反撃実施。戦闘結果DR3で東へ向かう突破口を啓開した。

南方では、このTurn終了時にバストーニュに向かう米軍の連絡線が回復した。

余りに早いバストーニュの解放。その原因は2Turn続いて独戦車教導師団が燃料不足で動けなかったことによるものらしい。

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12月23日AM

このTurnから天気が晴天になり、連合軍航空部隊が活動を開始する。その威力は凄まじく、ダイス目如何によってはドイツ軍による攻撃を殆ど大虐殺に変えてしまう。無論、ヤーボ攻撃は半分の確率で全く効果なしというのも御愛嬌か。
ドイツ軍は2箇所で攻撃をかけてきたが、ヤーボが猛威をふるって独軍の攻撃を頓挫せしめた。

イメージ 18連合軍の反撃。北方では5箇所で攻撃を敢行した。第3機甲師団のCCA/CCB(9-6-6)がMalrmpie(E3425)付近で戦線を突破した。独第50歩兵師団を撃破。第116装甲師団の東方を突破し、同師団の後方を脅威する。
マルメディ南方2232では第1歩兵師団「ビックレッドワン」、第30歩兵師団が駆逐戦車大隊の支援を受けて独第3降下猟兵師団の1個連隊(5-6-3)を撃破した。

戦線東部のbullingen(E1731)でも第1歩兵師団、第2歩兵師団の各部隊がM36駆逐戦車の支援を受けて南方に突破した。

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12月23日PM

イメージ 11ヴィエルサルム付近で大激戦。独軍がSS装甲師団の残存兵力を集めて反撃を仕掛けてくれば、それに対応して米軍も消耗著しい第9機甲師団が第3機甲師団と共に反撃を実施。独SS装甲師団と激闘を繰り広げる。
bullingen(E1731)から西のサンビットを目指す米第1,2歩兵師団は突破戦を戦い、突破口を啓開した。

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12月23日Night

イメージ 10第2機甲師団のCCRおよび駆逐戦車がHeppenbach(E1829)付近を攻撃し、突破口を開いた。
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12月24日AM

独軍が反撃を実施してきた。せっかく前進した部分を取り返されてしまう。
米軍も第2、3機甲師団を投入して反撃を実施。戦線は錯綜としてきた。

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12月24日PM

独軍が3箇所で反撃を実施してきたが、ヤーボの飛来で反撃は尽く失敗。Engx2、A1x1という結果に終わった。

本作のヤーボ効果は凄まじい。米軍は防御戦闘時にダイスを振って1~3コラムシフトをロハで得られる(期待値1シフト)。晴天時における独軍の攻勢が如何にリスキーであることがわかるだろう。

ヴィエルサレム付近で3箇所の包囲戦が終了。5~6ユニットの独軍を壊滅させた。
2029付近から南下してサンビットを狙う攻勢は独軍の抵抗を阻まれ失敗。それでもbullingen(E1731)で独軍装甲擲弾兵連隊と3号突撃砲装備の大隊を包囲した。

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12月25日AM

イメージ 22ヴィエルサレム南方では第3機甲師団が独軍を突破して前進。森林地帯外縁部まで進出した。
サンビットを目指す第2機甲師団、第1歩兵師団は、Ambieve(E2029)付近の独軍を攻撃して1歩前進。サンビットまであと3ヘクスに迫った。
bullingen(E1731)に包囲した独軍に対しては、砲兵を次ぎこんで3-1攻撃で潰しにかかったが、独軍の死守が効いて潰せず。
Wanne(E2728)では退路を断たれた6号重駆逐戦車(4-2-4[6d])が連合軍の攻撃により退路を断たれて壊滅した。
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12月25日PM

イメージ 23突然だが、このTURNでゲームが終了してしまった。時間的な問題ではなく、米軍が勝利条件を満たしてしまったからだ。本文中は殆ど触れなかったが、戦線北部を担当する米第5、第7、第8軍団がドイツ第6SS装甲軍、第5装甲軍と交戦している間に、戦線南部から反撃に転じたパットン将軍率いる米第3軍がドイツ第5装甲軍と第7軍を撃破し、ドイツ軍攻勢開始地点を押さえてしまったからだ。

感想

全般に独軍の攻勢が難しく、逆に米軍の攻勢が強力過ぎるように思えた。兵力差がモロに出た感じだ。まだ1回目のプレイなので即断は禁物だが、ヤーボと独軍の燃料制限ルールがやや厳しすぎるようにも思える。

攻撃力上限16のルールは上手く機能しているように思える。オリジナルの上限15だと、防御力4の場合に3-1しか立たず突破が難しい。16攻撃力上限の場合、防御力4(2防御力+2DCB 等)でも4-1が成立し、装甲効果を併用すれば5-1が成立する。5-1ならD1*の結果があり得るので、かなり有効な戦果が期待できる。他のシナリオでも16攻撃力上限が適切


バルジ大作戦 (ジャパン・ウォーゲーム・クラシックス第4号 第2版)
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