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レッドアーミー侵攻作戦

ラルフ・ピーターズ 小関哲哉訳 二見書房

いわゆる第3次世界大戦モノだが、本書は主人公が西側陣営ではなくソ連側だという点が他の作品と一線を画している。ソ連側から見た西側陣営の優れている点や劣っている点についての評価が面白い。また本書は、所謂近未来モノにも関わらず、「兵器」が殆ど出てこないのが特徴である。もちろん戦争モノなので「兵器」そのものは登場するが、それは「戦車」であり「攻撃ヘリ」であり「戦闘機」であり「歩兵戦闘車」なのであって、決して「T-72戦車」や「Mi24ハインド」や「Su-27フランカー」や「BMP歩兵戦闘車」ではないのだ。本書で兵器の固有名詞が登場するのはたったの2箇所。それ以外は徹底的に兵器の個性を殺して描いている。その代わり本書では登場人物の人物描写を丹念に描いており、いわゆるステロタイプのソ連軍兵士、ソ連軍将校を思い描いていると、モノの見事に裏切られる。
一風変わったWW3モノを読みたい方にはお奨めしたい作品である。

お奨め度★★★