感想
巡航ミサイルについて
今回のプレイでは、補給ルールを取り入れてプレイした。そのため巡航ミサイル(以下CM)の搭載数が増えたために韓国本土の損害が増えた、という意見が中韓側から出された。そこでCMの搭載数について考察してみたい。まず補給ルールを入れない場合、シナリオ特別ルールによっCM搭載艦は其々3発のCM搭載していることになる。本シナリオでは米潜水艦4隻、水上艦9隻がCMを搭載しているため、CM合計数は39発(13x3)になる。
一方補給ルールを取り入れた場合、CMは米原潜4隻で計6発、水上艦が9隻で計58発を搭載している。合計すると64発となる。やはり多い。
気になるのは水上艦の搭載数で、アジアンフリート(以下、AF)の場合、バンカーヒル級(タイコンデロガ改級)ミサイル巡洋艦で8発、アーレイバーグ級ミサイル駆逐艦で6発のCMを搭載している。これはオリジナルの7th Fleet(VG)(以下 7F)よりも遥かに多い。7Fの場合は両級共CM搭載数は2発に押さえられている。ちなみにCMの攻撃力はAFと7Fで両方とも12で違いはない。つまり実質的な攻撃力でAFの米水上艦は、7Fに比べて3~4倍のCM攻撃力を有している計算になる。うーん。どうしたものか・・・。
現実の姿を見てみよう。
バンカーヒル、アーレイバーグ両級ともトマホーク巡航ミサイルは、Mk41垂直発射システムに搭載されている。このMk41には、トマホークの他に対艦用トマホークミサイル(現在は退役)、SM-2/3対空ミサイル、アスロック対潜弾等が搭載されている。従って対空ミサイルや対潜ミサイルを減らすことによって巡航ミサイルの搭載数を増やすことは可能である(湾岸戦争等で実際にトマホーク巡航ミサイルを大量装備した例はある)。フリートシリーズの場合、搭載ミサイルの積み替えはルール化されていないので、デフォルトの搭載数に従うことになる。そこでAFと7Fのでデフォルトの搭載数がどのように変化しているのかを比較してみた。
バンカーヒル、アーレイバーグ両級ともトマホーク巡航ミサイルは、Mk41垂直発射システムに搭載されている。このMk41には、トマホークの他に対艦用トマホークミサイル(現在は退役)、SM-2/3対空ミサイル、アスロック対潜弾等が搭載されている。従って対空ミサイルや対潜ミサイルを減らすことによって巡航ミサイルの搭載数を増やすことは可能である(湾岸戦争等で実際にトマホーク巡航ミサイルを大量装備した例はある)。フリートシリーズの場合、搭載ミサイルの積み替えはルール化されていないので、デフォルトの搭載数に従うことになる。そこでAFと7Fのでデフォルトの搭載数がどのように変化しているのかを比較してみた。
上表を見ると、AFでは7FからのSSM搭載数の減少分がそのままCM搭載量の増分になっている。
しかしこれはやや乱暴な方法だと言わざるを得ない。フリートシリーズではCM1発とSSM1発で実際に表現している弾数に違いがあるのだ。フリートシリーズにおけるCM1発は、現実におけるトマホーク4発程度を表している。これに対してSSM1発は現実における対艦ミサイル2発を表している(7Fにおけるミサイル巡洋艦ロングビーチや駆逐艦レフトウィッチを見て欲しい)。だからフリートシリーズにおけるSSMとCMは1対1ではなく2対1で交換すべきなのである。だからSSM減少分をCM増加分とするのであれば、バンカーヒル級、バーグ級のCM搭載数は、前者は+3~4の計5~6発、後者は+2で計4発とするのが正しい。
しかしこれはやや乱暴な方法だと言わざるを得ない。フリートシリーズではCM1発とSSM1発で実際に表現している弾数に違いがあるのだ。フリートシリーズにおけるCM1発は、現実におけるトマホーク4発程度を表している。これに対してSSM1発は現実における対艦ミサイル2発を表している(7Fにおけるミサイル巡洋艦ロングビーチや駆逐艦レフトウィッチを見て欲しい)。だからフリートシリーズにおけるSSMとCMは1対1ではなく2対1で交換すべきなのである。だからSSM減少分をCM増加分とするのであれば、バンカーヒル級、バーグ級のCM搭載数は、前者は+3~4の計5~6発、後者は+2で計4発とするのが正しい。
さらに単純にCM攻撃力をハードウェアの評価だけで決めてしまった良いものかどうかも疑問を感じる。7Fの例では、例えばスプルーアンス改級である駆逐艦ファイフ(実際のトマホーク搭載数は45発)がSSM8発、CM2発となっている。これだと上述の計算に従えば、現実のミサイル数に換算すると対艦用トマホーク16発と対地用のトマホーク8発の合計24発にしかならない。本来ならばCM搭載数をもっと増やしても良い筈なのに、デザイナーのバルコスキー氏は敢えてCM2発に押さえている。その意図は不明だが(単なるリサーチミスの可能性もあるし、あるいは換算率が私の判断とは異なっているのかもしれない)、穿った解釈すればゲームバランスを考慮してハードウェアスペックを無視してCM搭載数を押さえたのかもしれない。AFについても、バランスを考慮した設定にしても良かったのではないか(それでなくても米艦隊は強過ぎる)。
対案を提示させて頂く。
AFにおける米水上艦の巡航ミサイル搭載数は、一律4発(あるいはCGのみ5発)にする。リアルな設定に拘る人のためには「ゲームバランスが崩壊する恐れがあります」という但し書きをつけた上で、選択ルールとして対空ミサイルの弾薬を一定割合で巡航ミサイル弾薬に置き換えることを可能とする。
ルールについて
私の個人的な意見では、フリートシリーズの完成形は第4作目5th Fleet(以下、5F)だと思っている。実際には次の3rd Fleetで若干のルール改定が行われいるが、マイナーチェンジや実験的なルールが多いため、それほど重視する必要はない。ところがAFは、第3作目7Fをベースにしている。この点、私が非常に残念に感じる点である。7Fと5FとではCRTの内容自体が異なっており、5Fの方が細かい性能差を表現できるシステムに改良されている。そのくせAFは部分的に5Fや3Fのルールを取り入れているので、ベテランほどプレイして迷ってしまう。さらにAF独自の追加ルールがあるので、より混乱してしまう。元々のフリートシリーズが非常に完成されたシステムなので、追加ルールは必要最小限で良いと思うのだが・・・。
コンポーネント
今回、補給ルールを使ってプレイしたが、LogSheetについて苦言を述べさせて頂く。AFのLogSheetは艦のクラス別に並べられている。例えば海自について言えば「はるな級」「しらね級」「こんごう級」「あたご級」「はたかぜ級」・・・・、という感じである。対する7Fは、アルファベット順になっている。Akgmo、Asgmo、Asgri・・・・、という感じである。どちらが良いか・・・?。
見た目はAFのスッキリしていて綺麗だ。しかし使い勝手では7Fの方が圧倒的に使いやすい。第一余程の軍艦マニアでない限り、登場艦の全てのクラスを識別することは不可能だ。しかも海自や米軍は兎に角、中国や韓国の艦名とクラスを誰が完璧に識別できるのか。「余程の軍艦マニア」を自認する下名でさえ、海自の艦艇をLogSheetから探し出すのは苦労した。いわんや中国、韓国、台湾については「何をかいわんや」である。
あと細かい話で恐縮だが、探知マーカーの色遣いがオリジナルとは逆になっている。オリジナルのフリートシリーズでは、ソ連側の探知マーカーが緑、西側の探知マーカーが赤になっている。AFでは逆の色遣いだ。意図的な変更なのか、あるいは単なるミスなのかは不明だが、意図的な変更だとすればやや理解に苦しむ。
まとめ
AFは同人ゲームとして見れば破格の完成度を持った作品である。これまで色々と苦言を述べさせて頂いたが、限られたリソースしか投入できない同人ゲームとして見た場合、AFが標準以上の完成度とプレイバリューを持った作品であることは間違いない。さらには現在戦という難しいジャンルに果敢に挑戦する姿勢に共感を覚えると共に敬意を表したい。ただし商業作品として見た場合、AFの完成度はオリジナルのフリートシリーズには遠く及ばないと評せざるを得ない。先に書いたLogSheetや巡航ミサイルについてもそうであるが、フリートシリーズには豊富なデヴェロップとテストプレイに裏付けられた信頼度がある。用意されたシナリオについても両陣営にそれぞれ見せ場と目的が明確に与えられており、両軍がそれぞれ楽しめる内容になっている。ユニット数についてもプレイヤーが管理できる数に押さえようとしている形跡があり好感が持てる。対するAFは、リサーチの結果をそのままシナリオに流し込んだ感があり、ゲームとしての調整が不十分に思える。両軍の艦艇数も多過ぎて管理が苦痛に感じる。
AFは実に「惜しい」作品である。元々のフリートシリーズが素晴らしい作品であり、その資質を引き継いで作品をデザインすることは間違いではない。しかしルールの追加や変更、コンポーネントの変更でフリートシリーズの「良さ」がかなり失われてしまっている感がある。下手にルールをいじらずにオリジナルを重視していれば、もっと良い作品になったのではないか、と思わざるを得ない。