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Paths of Glory GMT社の傑作ゲーム、Paths of Glory(以下、PoG)をプレイしました。下名は連合軍(英仏露側)を担当しました。
ルールは2004年発表の第2版で、以下の選択ルールはすべて採用しました。
 4.2.4:ロシア及びオーストリアに関する初期配置のオプション
 9.1.4:カードを7枚ではなく8枚引くオプション
 11.2.10:塹壕構築に失敗した際に、次ラウンド以降-1DRMを適用するオプション

前回までのあらずじ --> こちら

7Turn(1915年秋)(章前)

イメージ 9連合軍は中欧軍によるイタリアへの圧力を少しでも緩和するため、中近東方面へ圧力をかけることにした。狙いはトルコ。昨年秋の段階で中欧側に立って参戦していたが、これまでは戦争に巻き込まれることはほとんどなかった。
まずロシア軍がユーデニッチ将軍率いるカフカス軍を編制し、トビリシ南部に展開。Erzerumのトルコ要塞に対する攻撃に着手した。さらに英軍も地中海派遣部隊(MEF 1-2-3)を編制し、キプロス島に上陸。トルコの南側面を伺う。

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海でも異変が起きていた。客船ルシタニア号がドイツUボートの攻撃を受けて撃沈。1000名以上の犠牲者を出す大惨事となった。ルシタニア号の遭難は中立国であった米国世論を沸騰させただけではなく、連合軍の戦争体制をより推進させた。ゲーム的に言えば、ルシタニア号遭難を契機とし、連合国は限定戦争から総力戦体制に移行していったのである。

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8Turn(1916年冬)

イメージ 10連合軍はイタリア戦線をテコ入れするために西部戦線からの兵力引き抜きを決定した。やや遅きに失した感はあるものの、手当てをしなければイタリアが崩壊する。まず英本土で待機中であった新編成の英第4軍(4-3-3)がイタリア戦線に送られることとなった。フランスに上陸した彼らは鉄道によってイタリア北部ミランに進出。現地のイタリア第1軍(2-2-3)と合流。反撃体制に入った。またフランス南部からは仏軍1個軍団(1-1-4)も後続してきた。
反撃はイタリア半島の付け根を横切る形で行われた。ミランからヴェローナを経てヴェニスに進出。イタリア半島北部を遮断すると共にヴェローナに進出している独軍部隊の背後を絶つ。阻止線形成後はフランス第9軍その他も増援としてイタリアへ投入。阻止線の強化を図るとともに、北東へ向けて進撃してイタリア全土から中欧軍を駆逐する。
作戦命令を受けて攻撃の先鋒たる英伊連合軍がヴェローナに進出し、ヴェニス攻撃の機を伺う。またローマからはイタリア第2軍(2-2-3)を主力とする部隊がフローレンスに進出し、ボローニャの南側から気を伺う。

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イメージ 11連合軍のヴェローナ進出は、中欧軍にとって重大な脅威であった。中欧軍は決断を迫られた。退却するか、反撃するかだ。
中欧軍が選んだのは「反撃」だった。ボローニャに展開中の独第12軍(5-3-3)を主力とし、ヴェニス、トレントの兵力も加えた兵力でヴェローナの連合軍を叩き出しにかかった。得意の側面攻撃が決まれば連合軍の機先を制して撃破できる。その可能性は2/3。勝機は十分にあるはずだった。

しかし運命の女神は連合軍に微笑んだ。側面攻撃のダイスは「2」。側面攻撃失敗。戦史風に言えば、側面を突こうとして旋回運動中のドイツ軍を側面から連合軍が奇襲した、という感じが。
ドイツ第12軍は散々に叩かれ、引き続き行われた中欧軍による攻撃も殆ど不発に終わった。
中欧軍の反撃を切り抜けた連合軍はそのままヴェニスを占領。背後を絶たれたボローニャのドイツ第12軍に壊滅の危機が迫る。

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この段階で精鋭ドイツ1個軍を失った中欧側が戦意を喪失してゲーム終了。連合軍側の勝利に終わった。


感想

イメージ 15結果的には勝利(というよりも盗んだ勝利に近い)に終わったが、まだまだ不味いプレイが目立った。
まずイタリア戦線。こちらはゲーム途中に気づかなかったが、参戦のタイミングが見誤った。トレント要塞のインスブルックに独軍が集結中の場合は参戦を見合わせた方が良いと思う。何故なら参戦直後にドイツ軍の攻勢を受けて折角のトレント要塞が陥落してしまうからだ。ドイツ軍がインスブルックに十分な兵力を配置していないタイミングがねらい目である。その場合はドイツ軍の機先を制してトレント要塞を固めることができるので、トレント要塞は難攻不落になる

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イタリア軍の初期配置。肝心のトレント要塞に兵力がないので、インスブルックから攻撃を受けた場合、容易に陥落してしまう。

イメージ 12ロシア戦線も難しい。選択ルール4.2.4を採用することで初期段階はかなり楽になったが、それでも戦線を張るには1駒足りない。ワルシャワまで線を伸ばせないのだ。あと1個軍あればワルシャワを防衛ラインに含めることもできるが、それでもいくつかのポイントで軍団ユニットが守っているため脆弱になっている。そこを突かれれば防衛ラインは全面崩壊の危機が迫ってくる。とはいってもワルシャワの大要塞を何もせずに放棄するのは勿体ない。
初期に適用される特別ルールも曲者で、これをしっかり理解し、使いこなせるようにならないと勝利は覚束ない。うーん、なんとも初心者泣かせなゲームなことか・・・

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東部戦線の両軍初期配置。ワルシャワからブレスト・リトブスクにかけて大穴が空いているようにも見えるが、そう簡単な話ではない。

イメージ 13戦術面では、セルビアの早期陥落が痛かった。もう少し注意深く動いていたら、あと数Turnぐらいは粘れた可能性がある。なんせセルビア奥地は山が深い上、セルビア軍はセルビア国内では補給切れにならないのだ。最終的にはセルビア陥落は避けられないが、その持久戦が他の連合軍部隊に与える利益は計り知れない。

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バルカン戦線の初期配置。セルビアとオーストリア以外の国は、この時点では中立のままである。

イメージ 14今回のプレイで、動員から限定戦争への段階についてはある程度理解できたと思う。この先、限定戦争から総力戦段階に入り、ロシアの崩壊、アメリカの参戦といった全く未知の世界が開かれてくるかと思うとワクワクする。さらにはアラビアのロレンス以外には殆ど知られていない中近東の戦い等、まだまだ見てみたい世界が沢山ある。

早く続きをプレイしたいものだと思う。


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