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兜会とは、阪神地区で開催されているゲーム会のことです。
先日、山科会に参加したついでに、この兜会にも参加しました。

午前中だけの滞在だったのですが、プレイされているゲームは、エポック・スターリングラード(4人のチーム戦)、ASL、GDWの8th Army、同じくインペリウム、Decision in France等でした。
私は盟友w氏とCMJの付録となった「Victory at Normandy」をプレイ。2時間ほどのプレイで、全80Turn中32Turnまでプレイしました。以下はその簡単なレポートです。

ノルマンディの敗北

Victory at Normandy(以下、本作)は1992年に米コマンドマガジンで発表された作品で、コマンドマガジン日本語版(以下、CMJ)第5号で日本語版が発売されました。
基本的なシステムは、CMJ#82の「Second Front Now」と同じ。補給ポイントを使ってスタックを活性化させ、移動又は攻撃を行います。1スタックの移動に1ポイント、同じく攻撃に2ポイントの補給ポイントを必要とし、その一方で1Turnに使える補給ポイントは、独軍が一律3ポイント、連合軍が2~5ポイント(進出状況に依存)なので、1Turnあたりの活動量は微々たるものになります。そのため本作は全80Turn(1Turn=1日)の長丁場であるにも関わらず、4~5時間程度で完遂できます。

今回下名は独軍を担当しました。
結果から申し上げると惨憺たる敗北に終わりました。第1Turnにいきなりカーンが落城したのが痛かったですが、その後もまともな戦線を維持できずにズルズルと後退。7月初旬に早くもノルマンディ地区から連合軍による突破を許す始末です。その時点で戦線保持を諦めて投了しました。ひょっとしたらこの後も粘る策があるのかもしれませんが、ただでさえ苦しい状況なのに、ノルマンディ地区から連合軍が溢れだしたら戦線が広がってしまってどうしようもなし。そう思えたのです。

このゲーム、実は10年以上前に1度プレイしたことがあります。その時は独軍の防御が固く、連合軍は突破に苦慮。連合軍が攻撃する度に膨大な損害を被り、まるでシモニッチの「Decision in France」のような展開でした。その時とは打って変わって今回は独軍にとって苦しい展開となりましたが、前回とは一点だけルールを変えています。それは
「EZOCからEZOCへ直接移動するのを認める」
というルールです。
実の所EZOCからEZOCへの直接移動についてはルールに明記されておらず、前回のプレイ時には「EZOCからEZOCへの直越移動禁止」という形でプレイしていました。その場合、ドイツ軍はZOCで戦線を保持できるため、強力な防御スタックを組むことができます。ただでさえ強いドイツ軍がスタックしたら正に無敵。しかも防御側なので補給ポイント不要、地形効果による火力低下なし、さらには防御側なので先撃ちができるとまさにやりたい放題。連合軍としては
「どないせえちゅうねん」
といった心境だったのかもしれません(その時下名はドイツ軍担当)。

「どうも変だ」と思ったのかどうか。その時の対戦相手が色々と調べてくれた結果、どうやらEZOCからEZOCへの直接移動は「あり」がデザイナーの公式見解のようです。そこで今回はEZOCからEZOCへの直接移動を認めことにしました。これで状況は一変しました。
まず独軍が兵力を集中できなくなりました。拠点を固めても側面から浸透されてくるので、前線に沿ってベタッと駒を並べる必要が出てきます。そうなってくると1ヘクス当たりの部隊密度が薄くなり、1ヘクス当たり精々2~3ステップで前線を張るしかなくなる。ここにドイツ軍の弱点が生まれてきます。
対する連合軍は攻撃時に最大7ステップを集中できます。地形効果、防御側先撃ちのペナルティは健在ですが、ステップ数の優位で十分にカバーできます。例えば2-3-2の歩兵師団1個(2ステップ)が守っているボカージュヘクスを米歩兵師団(3-4-3)3個、砲兵1個で攻撃した場合、ドイツ軍の平均損害値は2.3ステップ、米軍のそれは0.4ステップで米軍が圧倒的に有利に立ちます。ここでドイツ軍守備隊のステップ数を2から3に増やしても、平均損害値は2.2対0.7で米軍の優位は動きません。
これでは遺憾。
ならば今度はドイツ軍を集結させ、浸透してきた連合軍に対しては反撃で撃破することを考えてみます。例えはドイツ軍が装甲師団(6-6-3)2個4ステップ、歩兵師団(2-3-2)1個1ステップ、砲兵(5-5-3)1ステップをボカージュヘクスの守りに就かせます。これに対して連合軍が直接攻撃を仕掛けた場合、例えば連合軍が先の例と同じような戦力の場合、平均損害はドイツ軍が歩兵1.4ステップ、連合軍が3.3ステップとなり、損害比は逆転します。
「よぉー、これぞノルマンディ戦」
とドイツ軍が喜んだのも束の間、連合軍はドイツ軍の戦線側面から浸透してくる策を採って来るでしょう。こうなってくるとドイツ軍はお手上げに近い状態となります。何故なら連合軍の浸透を放置しておけばこちらが包囲されて立枯れてしまう。かといって反撃するか、と思って期待値を計算すると、今度は攻防の優位が逆転してしまって先ほどのような独軍優位な結果は得られない。たとえば砲兵(5-5-3)1ステップと装甲師団(6-6-3)3個6ステップが、ボカージュを浸透してきた米軍歩兵(3-4-3)3個師団+砲兵(5-5-3)1個に対して攻撃を仕掛けたとすると、平均損害は独軍2.2ステップ、連合軍2.1ステップとなり、独軍が一転して不利になります。つまり装甲3個師団を投入しても歩兵師団1個を潰すのが精一杯で、その代償に虎の子装甲師団1個を失うという計算になるのです。なんたることか・・・・。

以上の計算はあくまでも独軍側の視点に立った計算であり、連合軍側から見た場合は別の制約条件が機能して計算通りには行かないのかもしれません。もう少しやり込んで見ないと見えてこないのですが、現時点ではVictory in Normandyで独軍が勝利を得るのはかなり困難に思えています。