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イメージ 11「箱館湾海戦」はウォーゲーム日本史#6に付属している海戦ゲームである。1ユニット1艦の海戦ゲームで、システムは至ってシンプル。移動、砲撃、回復の繰り返しに過ぎない。特徴的なシステムは、移動、砲撃、回復の手順がチットによるランダムシークエンスになっている点で、移動が先か砲撃が先かはチット引きに左右される。また主導権値といって、指揮統制や練度に優れた側は予め主導権値に等しいチットを引いておくことができる。予め引いておいたチットは好きなタイミングで使用できるので、ある程度計算したプレイが可能となる。

今回、「箱館湾海戦」をソロプレイしてみた。シナリオは最後の「箱館湾海戦」。新政府軍は「甲鉄」以下5艦、旧幕府軍は「回天」以下3艦が登場する。海上兵力では新政府軍有利だが、旧幕府軍には強力弁天台場が登場するのでバランスは微妙な所だ。取りあえずはプレイしてみよう。

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1-3 Turn

イメージ 7旧幕府軍は「回天」以下3艦を単縦陣で移動する。速力に劣る「蟠龍」「千代田型」に合わせる形になるのであまり速力は出せない。対する政府軍は足の遅い「甲鉄」と速力に勝る「春日」「朝陽」を先行させて旧幕府海軍を射程内に捉えた。
先に砲火を開いたのは新政府海軍で、「甲鉄」「春日」が共同で「回天」を狙う。新政府海軍の射撃は「回天」に損害こそ与えられなかったものの、「回天」を混乱状態に陥れた。しかしその直後に共和国海軍の「回復」が出て「回天」はあっさり回復した。対する旧幕府海軍は3艦共同で「春日」を狙ったが、有効打はなかった。

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4-5Turn

イメージ 9不用意に弁天台場の射程距離に入った新政府海軍「春日」「朝陽」の2艦に対して旧幕府海軍の諸艦と弁天台場が集中砲火を浴びせてきた。「朝陽」は命中弾を受けて小破する。一方の新政府海軍は「春日」「朝陽」「甲鉄」の3艦で弁天台場に砲撃を加えた。この砲撃で目標を混乱させることには成功したもの、損害を与えることはできなかった。

新政府海軍は弁天台場に損害を与えておかないと勝利条件上負けになってしまう。弁天台場は火力5、装甲値2となかなか手強い存在なので、損害を与えるのは容易ではない。

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6-7 Turn

イメージ 8弁天台場と「回天」の集中砲火が新政府軍艦「朝陽」に降り注いだ。至近距離からの猛砲撃によって「朝陽」は轟沈。旧幕府海軍にとっては久々の大戦果であった。(史実通り?)
次いで「回天」と弁天台場は接近中の新政府軍艦「甲鉄」を狙ったが、こちらは「甲鉄」の重装甲に阻まれて戦果はなかった。その後旧幕府海軍は3度連続で「甲鉄」にダイス5個の最大攻撃を加えたが、「甲鉄」の重装甲はそのいずれもに耐えた。

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8Turn

イメージ 10旧幕府海軍は特別ルール座礁によって全艦を弁天台場前面に意図的に座礁させた。これによって旧幕府海軍の諸艦は移動できなくなるが、1Turnに2度射撃できるようになる。それが奏功した。不用意に砲台の射程に入った新政府海軍に対し、弁天台場と座礁した諸艦が集中砲火を浴びせる。目標は「第二丁卯」。「甲鉄」とは比較にならないほど脆い。このような艦がダイス5個の最大射撃を2回連続で浴びたのだからたまらない。「第二丁卯」は轟沈した。
この時点で勝利を諦めた新政府海軍は投了。箱館湾海戦は旧幕府海軍の勝利に終わった。

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感想

イメージ 12新政府海軍の敗因は弁天台場の威力を軽視して、不用意にその射程内に飛び込んだことにつきる。弁天台場は動けないのだから、下手に接近するのではなく、射程外からじっくりと接近すべきであった。単縦陣を崩して「春日」「朝陽」を突出させたのも失敗だった。重装甲の「回天」を前面に押し出し、その装甲を生かした戦いをすべきだったと思う。

プレイ時間は記録をつけながらでも1時間強。フルTurn(14Turn)プレイしても多分2時間程度で終えられるだろう。ルールはシンプルでわかりやすく、好ゲームだと感じた。
「上手い」と思ったのは、砲撃チットと「右舷砲撃」と「左舷砲撃」に分けている点。これは単に当時の舷側火器搭載艦の特性を再現しただけのルールかもしれないが、このルールのために陣形の重要性が再現されている。つまり不用意に陣形をバラしてしまうと、砲撃フェイズがバラバラになってしまう危険があり、その場合火力集中に支障を来す。本ゲームの砲戦システムはある程度火力を集中しないと効果が出難いシステムになっており、特に新政府軍の「甲鉄」は生半可な砲撃では全く効かない。そのあたりと良くマッチした砲戦システムと言えよう。