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Carrierは1990年にVictory社が発表したシミュレーションゲームである。テーマは1942~43年において発生した(又は発生し得たであろう)日米空母機動部隊同士の戦いである。本作の特徴はソロプレイ用のゲームであること。プレイヤーは米機動部隊を率いる提督となり、ゲームシステムが操る日本艦隊と戦う。

ゲームスケールは1Hex=33海里、1Turn=80分、1ユニット=1艦、4~8機。一見するとFlat Top(AH)より大雑把で、日本機動部隊より細かい。しかし実際にプレイしてみると、プレイの感覚はFlat Topよりも遙かに「重く」感じることに気づく。というのも、1Turnが実際には4つの航空セグメントに分かれており、航空機の移動や運用は航空セグメントの中で実施されるからだ。実質的には1Turn=20分と考えて良い。

このスケールなので、大局的な視点からの空母戦というよりも、空母同士の決戦そのものに焦点を当てたデザインとなっている。ゲームに含まれるシナリオもその殆どが1日のみの空母決戦を扱ったもので、空母戦に関連する輸送任務や砲撃任務は、空母戦から見れば脇役に過ぎない。

今回Carrierをプレイするにあたり、3人による協力プレイというものを試してみた。これがプレイヤー1人1人が空母1隻づつを持ち、それに護衛艦を割り当てて空母機動部隊を編成。それぞれの空母機動部隊をプレイヤー1人1人が指揮するというもの。今回参加兵力とプレイヤーの割り当ては以下の通りである。

TF16(w氏):空母「エンタープライズ」、重巡1、防空軽巡2、駆逐艦6
TF17(k氏):空母「ホーネット」、防空軽巡2、駆逐艦6
TF18(私):空母「サラトガ」、戦艦「サウスダコタ」、重巡1、駆逐艦6

下名はTF18(「サラトガ」他)を担当した。

1942年8月、仮想東ソロモン海戦

第1Turn(0520)

この日の索敵担当は「サラトガ」だ。「サラトガ」から索敵機が発進していく。
その索敵機が米機動部隊北方100海里以内の至近距離に敵艦隊を捉えた。すわ、敵空母か。
しかしその後さらに索敵機から報告が入り、この敵艦隊が戦艦を中心とする水上部隊であることが明らかになってきた。空母ではないので取りあえず一安心だが、さてどうしたものか。敵空母を見つけるまで索敵を続けるか、あるいは発見した敵戦艦をまずは叩くか。
こちらが考えている間にK.ナーカー提督率いる「ホーネット」が動いた。第1次攻撃隊が発進していく。戦爆連合40機の大編隊だ。16機のF4F艦戦、16機のSBD艦爆、8機のTBF艦攻が飛び立っていく。

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第2Turn(0640)

空母から発進した索敵機、さらにヘンダーソン基地から発進した索敵機からも未だに日本空母発見の報はない。そこで各空母からは敵戦艦を攻撃すべく攻撃隊が次々と飛び立っていく。「エンタープライズ」からは32機(SBD,TBF各16機)、「サラトガ」からも32機(同左)の攻撃隊が発進していく。先に発進していた「ホーネット」隊と合わせて計104機の大攻撃隊が日本戦艦部隊を襲ったのだ。
攻撃を受けたのは、日本海軍水上部隊。その戦力は高速戦艦2隻、重巡2隻、駆逐艦5隻の中規模な打撃部隊だった。先に到達したホーネット隊がまず殺到。高速戦艦「比叡」に数発の命中弾を与えてこれを中破した。続いて「サラトガ」「エンタープライズ」の攻撃隊も攻撃に加わる。
一連の攻撃で高速戦艦「比叡」と重巡「愛宕」が重大な損害を被り、高速戦艦「金剛」も被弾により小破していた。

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第3Turn(0800)

先に発進した攻撃隊が各空母に帰ってきた。各空母の艦上では攻撃隊を収容し、次の攻撃に備えて準備が進められる。索敵機の方は艦隊周辺240海里の海域を捜索していたが、未だに敵空母発見の報がない。

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第4Turn(0920)

どこから飛んできたのか不明だが(後にルール適用ミスであることが判明)、日本空母から発進した攻撃機がヘンダーソン基地を襲った。ヘンダーソン基地は軽微な損害を被った。
一方米空母による攻撃の方は、「ホーネット」が再び2波に渡る攻撃隊を日本高速戦艦部隊攻撃のために発進させていた。彼らの半数は航法ミスのため敵を発見し得ずに空しく引き上げたが、残り半数が攻撃を実施。「比叡」と「愛宕」が命中弾を受け、両艦とも沈没寸前の状況になった。

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第5Turn(1040)

「エンタープライズ」と「サラトガ」の第2波攻撃隊計64機が日本高速戦艦隊を襲った。これらの攻撃で「比叡」と「愛宕」が沈没。「金剛」も大破し沈没寸前の状態となる。

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第6Turn(1200)

「ホーネット」の第3次攻撃隊が日本艦隊を攻撃した。この攻撃で「金剛」が沈没、重巡洋艦「高雄」も大破した。

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第7Turn(1320)

これまで鳴りを潜めていた日本空母群がようやくその猛威を振り向けてきた。空母から発進したと思われる約40機の日本機が「サラトガ」を中心とする機動部隊を襲ったのである。上空援護に当たっていた32機のF4Fと各艦の対空砲火がこれを迎え撃ち、30機以上の日本機を撃墜した。しかし生き残った日本機が「サラトガ」に3発の命中弾を与えた。「サラトガ」中破。「サラトガ」の飛行甲板は一時的に発着艦不能の状態となる。

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感想

ここで中入りが入ったので、ここらでお開きにした。これまでで全体の約40%が終了。後半1/3は夜間Turnで動きが少ないので、実質的には半分ぐらいは終わったと思う。ここまでの所要時間は約4時間。日本空母が姿を現し、さあこれからが本番だという感じだったので、このまま続けても良かったように思ったが、日本軍役のGMがどうも乗り気ではなさそうなので終了した。

先にも書いたが、予想以上に「重い」ゲームだと思った。まずスケールが細かい。実質1Turn=20分なので、Flat Top等よりも遥かに細かい運用が要求される。空母艦内での航空機の整備は細かい規定が色々あり、そのすべてを理解して使いこなすのは結構大変である。
そのくせ航空機の整備ぺースが実際よりもかなりハイペースで、着艦した航空機に再爆装して発進させるまでの所要時間は80分に過ぎない。今回のプレイでも(目標となる日本艦隊が至近距離に位置していたことも考慮する必要があるが)、8時間の間に各空母は計3波の攻撃隊を目標に向けることができた。今回のプレイで空母1隻あたりの攻撃ソーティー数で数えれば、96~120に達している。1時間平均12~15ソーティということになる。
これを史実の例と比較すると、史実ではミッドウェーの「飛龍」が76ソーティ/日、同海戦での「エンタープライズ」が81ソーティ/日、南太平洋海戦の「瑞鶴」が61ソーティ/日となる。従って史実と比べても本作の整備ペースの早さが伺える。

1980年代~90年にかけてソロプレイゲームが一種のブームになった。「アンブッシュ」「RAF」「パットンズ・ベスト」「トーキョーエクスプレス」等。この「キャリア」もそれらの作品の1つで、ルール的には最上位に位置している。この種のソロプレイゲームの価値について現時点で評価するのは難しいが、少なくとも当時はそれなりの需要があったのであろうことは理解できる。ただ現時点でこの種のソロプレイ用ゲームに価値があるかどうかは疑問だ。今なら電脳ゲームをプレイすることで、もっと容易にソロプレイが楽しめるのだから。

とはいえ、「キャリア」のプレイを今回で打ち止めにするのは惜しい。折角ルールを覚えたのだから、機会があればもう一度ぐらいはチャレンジしてみたいとも思ったりする。

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