Avalon Hill社のVictory in the Pacific(以下「VITP」)は、私が生まれた初めて購入し、プレイしたウォーゲームである。
当時は「ウォーゲーム」という未知の文化に対する期待が大きすぎたたのだろう。
購入して、ルールを読んで、プレイしてみたが、当時は正直期待外れだと思った。もっとリアルな内容を期待した私にとっては、VITPのシステムは余りにシンプルであり、マップは余りに抽象的であり、ユニットレーティングも大雑把だった。米空母に比べて日本空母の能力評価が低かったことも低評価に拍車をかけた節はある。
当時は「ウォーゲーム」という未知の文化に対する期待が大きすぎたたのだろう。
購入して、ルールを読んで、プレイしてみたが、当時は正直期待外れだと思った。もっとリアルな内容を期待した私にとっては、VITPのシステムは余りにシンプルであり、マップは余りに抽象的であり、ユニットレーティングも大雑把だった。米空母に比べて日本空母の能力評価が低かったことも低評価に拍車をかけた節はある。
その後約30年の時を経て、VITPに触れる機会があった。この時は対戦を目的としたプレイではなく、シナリオの検証のためのプレイだったのだが、これが意外に面白い。購入当時は「リアルじゃない」と思っていたシステムやマップについても、今改めてプレイしてみると、意外と史実に近い展開になることもわかってきた。
よし、それならVITPを一度通してプレイしてみよう。ルールは標準ルールのみ。当然キャンペーンだ(そもそもキャンペーンシナリオ以外用意されていない)。ゲームそのものは保有していなかったが、VASSALを使えばソロプレイは可能だ。ルールについてもこちらのサイトで公開されているので、困難を感じることはない。唯一欠落している情報は、ゲーム中に自主撤退する英艦隊に関する情報だが、これは別途入手した日本語ルールに書かれている。
こうしてプレイ環境を整備した私は、早速、この古典的名作にチャレンジしてみることにした。
よし、それならVITPを一度通してプレイしてみよう。ルールは標準ルールのみ。当然キャンペーンだ(そもそもキャンペーンシナリオ以外用意されていない)。ゲームそのものは保有していなかったが、VASSALを使えばソロプレイは可能だ。ルールについてもこちらのサイトで公開されているので、困難を感じることはない。唯一欠落している情報は、ゲーム中に自主撤退する英艦隊に関する情報だが、これは別途入手した日本語ルールに書かれている。
こうしてプレイ環境を整備した私は、早速、この古典的名作にチャレンジしてみることにした。
1Turn(1941年12月)
真珠湾攻撃
まずはお決まりの真珠湾攻撃である。日本軍が派遣した真珠湾攻撃艦隊は、正規空母6隻、軽空母2隻、高速戦艦4隻、重巡6隻、軽巡2隻に及んだ。第1波攻撃で「赤城」(1-4-6④)(火力-装甲-速度-空襲力、○付きはボーナス攻撃力、以下同じ)艦攻隊の攻撃を受けた「オクラホマ」(4-4-3)が大破着底。同様に「蒼龍」(1-2-8③)の攻撃隊が「ペンシルバニア」(4-4-3)を、「飛龍」(1-1-8③)が「アリゾナ」(4-4-3)を、それぞれ大破着底させていた。軽空母隊も活躍し、「瑞鳳」(0-0-5②)隊、「龍驤」(0-1-5②)もそれぞれ重巡1隻ずつを始末する。第2波攻撃では「瑞鶴」(1-3-8④)艦載機が「メリーランド」(5-5-3)を、「翔鶴」(1-3-8④)攻撃隊が「カリフォルニア」(4-5-3)を、「加賀」(1-4-5④)艦載機が「テネシー」(4-5-3)を、それぞれ大破着底させていた。
オアフ島各地に展開していた米陸軍第7航空軍(7AF)(2-4-*)も地上で壊滅。一連の攻撃で日本軍の戦果は、戦艦6隻大破着底、重巡2隻完全損失、基地航空隊壊滅という赫々たるものであった。真珠湾で唯一行動可能な2隻の戦艦((「ウェストバージニア」(5-5-3)、「ネヴァダ」(4-4-3)の2艦についても、雷撃による損傷で浮いているのがやっとという状況で、日本軍の再攻撃をうけた場合は心もとない状況であった。
2波にわたる空襲が終わった後、ハワイ近海にひょこり現れたのが空母「サラトガ」(1-3-7④)。伊号潜水艦(①-*-*)が「サラトガ」を発見、これに雷撃を試みたが、魚雷は「サラトガ」の舷側をかすめていった。1対8という劣勢ながらも「サラトガ」は勇敢にも日本艦隊に挑戦した。真珠湾で泥に沈んだ6隻の戦艦を守るためには、犠牲的な戦いもやむを得ない。とにかく1隻でも2隻でも日本艦を道連れにすべきだ。
戦いは壮烈な夜戦となった。「サラトガ」は日本巡洋艦6隻の集中攻撃を受け、魚雷1本によって中破しつつも、辛くも戦場を離脱した。戦艦「ウェストバージニア」と重巡2隻も沈没。生き残った「ネヴァダ」も翌朝日本空母機の航空攻撃を受けて撃沈されてしまう。しかし彼らの犠牲は無駄にはならなかった。真珠湾の泥に沈んだ6隻の戦艦は、日本機の追加攻撃を免れ、生存の機会を得た。
戦いは壮烈な夜戦となった。「サラトガ」は日本巡洋艦6隻の集中攻撃を受け、魚雷1本によって中破しつつも、辛くも戦場を離脱した。戦艦「ウェストバージニア」と重巡2隻も沈没。生き残った「ネヴァダ」も翌朝日本空母機の航空攻撃を受けて撃沈されてしまう。しかし彼らの犠牲は無駄にはならなかった。真珠湾の泥に沈んだ6隻の戦艦は、日本機の追加攻撃を免れ、生存の機会を得た。
インドシナ方面では、日本軍基地航空部隊の攻撃で巡洋戦艦「レパルス」(3-3-6)が轟沈。新鋭戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」も大破した。しかし在比米空軍(5AF 2-4-*)は取り逃がしてしまい、後の戦いに不安の種を残す結果となった。
中部太平洋では、ミッドウェー攻略を目指す日本艦隊と偶然同地方を航行していた米艦隊が激突した。日本艦隊の兵力は、戦艦2、軽空母1、重巡9、対する米軍は空母2、重巡2である。空母戦力では米軍が有利だが、隻数の差は如何ともし難い。どれだけ空襲を継続できるかが勝敗を左右するだろう。
果たせるかな第1ラウンドで昼戦を取った米軍は、日本の誇る高速重巡「最上」「三隅」(①-1-8)をそれぞれ撃沈。幸先の良いスタートを切った。しかし米軍は深追いせずに撤退を開始。対する日本軍も米空母機の空襲を恐れたために敢えて追撃戦には持ち込まなかった。その間ミッドウェーには海軍陸戦隊が上陸。同地を占領していった。
果たせるかな第1ラウンドで昼戦を取った米軍は、日本の誇る高速重巡「最上」「三隅」(①-1-8)をそれぞれ撃沈。幸先の良いスタートを切った。しかし米軍は深追いせずに撤退を開始。対する日本軍も米空母機の空襲を恐れたために敢えて追撃戦には持ち込まなかった。その間ミッドウェーには海軍陸戦隊が上陸。同地を占領していった。
このTurn、日本軍は日本本土、マリアナ、マーシャルといった戦前からの支配領域に加えて、アリューシャン、中部太平洋、南太平洋、インドシナといった領域を支配した。POCは計13点。一方の連合軍は、中部太平洋、インドシナを奪われ、ハワイ空襲によってハワイ海域の支配権も失ったため、残ったのは米委任統治領、珊瑚海、インド洋、ベンガル湾といった外郭領域だけとなった。獲得したPOCは5点。差分は8点で、累積POCも8点となった。
2Turn(1942年5月)
開戦劈頭のハワイ沖海戦で勝利した日本軍は、戦果拡大を図るべく行動を開始した。まず狙うのはハワイかその他かである。ハワイを狙う理由は十分にあった。すなわち真珠湾の泥に沈む6隻の戦艦である。旧式とはいえ、この6隻を始末できれば、その後の作戦に与える影響は図り切れない。しかし一方でハワイ作戦は不利な面もあった。1つは日本側が基地航空兵力を使えないこと。逆に言えば米側の基地航空兵力集中を招く恐れがあること。もう1つはハワイ作戦には海上機動兵力の大部を投入する必要があるため、他方面が手薄になることだ。日本軍は熟考の末、K2作戦。すなわち第2次ハワイ攻略作戦にGoサインを出した。
一方の連合軍である。このTurnの増援兵力としては、米軍が空母2隻、戦艦2隻、重巡6隻で、英艦隊も空母2隻、戦艦4隻、重巡2隻となる。既存の兵力と合計すると、太平洋・インド洋方面で作戦可能な艦艇数は下表のようになる。
これを見ると連合軍側にとって航空戦力の劣勢が著しく、互角の勝負は難しいと感じてしまう。水上戦力については一見すると互角だが、日本軍が兵力を集中運用できるのに対し、連合軍は分散運用を余儀なくされる点が不利といえる。果たせるかな、日本軍はその兵力の大部分をハワイ作戦に振り向けてきた。哨戒用に派遣された巡洋艦7隻を除く全兵力がハワイ方面に向けられようとしているのである。空母11、高速戦艦4、巡洋艦11がその戦力だ。足の遅い戦艦6隻は英艦隊の跳梁に備えてインドシナに向かう。
極端な重点形成を仕掛けてくる日本艦隊に対し、米艦隊は正面からの対決を避けた。その代りに空母2隻と巡洋艦数隻からなる機動部隊を2隊編成し、中部太平洋とマーシャル方面に出撃させてきたのである。その狙いはハワイとトラック島の間にある接近路を遮断することにあった。この接近路遮断に成功すれば、日本軍のハワイ方面への近接を阻止できる。そうなれば少なくと次Turnはハワイ方面が安泰になる。そういう判断からである。