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Avalon Hill社のVictory in the Pacific(以下「VITP」)は、私が生まれた初めて購入し、プレイしたウォーゲームである。その後約30年の時を経て、久しぶりにVITPに触れる機会があった。改めてプレイしてみると、新たな発見があった。例えば勝敗ラインをゃんと計算し、日本軍をして「勝つために最適な手段」をゲーム上で実践してみる意外と史実に近い展開になることもわかってきた。
よし、それならVITPを一度通してプレイしてみよう。ルールは標準ルールのみ。当然キャンペーンだ。私自身の問題として、、ゲームそのものは保有していなかったが、VASSALを使えばソロプレイは可能だ。

第1回目-->こちら
第2回目-->こちら

5Turn(1943年6月)

イメージ 12連合軍に戦艦「マサチューセッツ」(⑤-6-5)、空母「ヴィクトリアス」(0-2-7[2])、重巡「ウィチタ」(1-1-7)が登場する。「ヴィクトリアス」はセイロンではなく真珠湾に登場する。「ヴィクトリアス」の登場は、史実において空母戦力不足に悩んだ米海軍が、英海軍に空母戦力の太平洋方面への派遣を依頼してきた結果である。しかし「ヴィクトリアス」は当時の米空母に比べると航空兵力が弱体で、米海軍を大いに失望させたという話もある。
今では広く知られるようになった英空母「ヴィクトリアス」の太平洋派遣だが、VITPが発売された1970年代後半では、日本では余り知られていなかった。今回のリプレイでしばしば登場する英艦隊の動向についても、1970年代当時は日本では余り知られていなかった。そういった意味においてVITPは、単なるゲームとしてではなく、ある種の教育メディアとしての意味もあったと考える。私自身、VITPから教えられたことは多々あった。

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イメージ 13英艦隊と言えば、このTurn、インド洋方面から戦艦4隻が撤収していった。ヨーロッパ方面での反攻作戦に備えた再配置なのだろう。日本側には「大和」級戦艦2番艦「武蔵」(6-9-5)が登場する。第5Turn開始時の稼働兵力を下表に示す。

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イメージ 14連合軍の狙いは南太平洋である。ガダルカナルの基地を築いた連合軍は、基地航空兵力を集中投入して南太平洋の制圧を図る。集中投入された基地航空兵力は非常に厄介であり、空母戦力でこれを排除しようとしても著しい困難が伴う。そこを狙った作戦である。

イメージ 15対する日本軍は連合軍の基地航空兵力を分散させて間接的な形で作戦の支援を図る。真珠湾とセイロン方面への強襲だ。連合軍の拠点である真珠湾とセイロンのどちらかを制圧することで、連合軍に基地航空部隊の分断を強いると同時に、真珠湾の場合は連合軍反攻部隊の釘付け、セイロン方面では安全な後背地の確保が狙いだ。

偵察巡洋艦の動きで日本軍の意図を察した連合軍は、基地航空兵力3隊をハワイ方面へ、2隊をセイロン方面に配備した。また虎の子である3隻の正規空母をハワイからサモア方面で出撃艦として待機させ、日本側の動きを伺う。

イメージ 16日本軍はセイロンへ主力を向けてきた。トラック島に集結している日本艦隊にとって、セイロン島は遠い。移動チェック失敗による兵力不足が懸念されたが、案の定戦艦3隻、軽空母3隻が移動に失敗。戦場に投入できたのは戦艦・高速戦艦7、正規空母2、重巡6だった。水上兵力は十分だが、空母がたった2隻なので、航空攻撃力不足が懸念される。対する英軍は戦艦2、重巡5、基地航空隊2、そこにオーストラリア方面から増援に現れた米重巡5が加わる。水上戦力だけはそこそこ充実しているよにも見えるが、日本軍に比べると劣勢は否めない。

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イメージ 17セイロン方面の戦いについて結果から言えば一方的な戦いだった。連合軍基地航空部隊2隊が、空母「赤城」(1-4-6④)、「加賀」(1-4-5④)の艦載機によって制圧された瞬間に「勝負あった」の感がった。優勢な日本艦隊の砲火によって連合軍は戦艦「ロイヤルザブリン」(4-4-3)他、重巡5隻を失った。日本軍の損害は高速戦艦「比叡」(4-3-6)が沈没した他、同型の「榛名」「金剛」がいずれも中破(2hit)、空母「赤城」が中破(3Hit)しただけであった。

イメージ 18これに対して真珠湾方面は悲惨だった。日本軍の重巡4隻に対し、米艦隊は実に戦艦8、重巡5、基地航空隊3を投入してきたのである。日本軍にとって望みの綱は速力を生かして逃げ切ることだが、夜間に米艦隊と遭遇してしまい、自慢の速度を発揮する間もなかった。前日の空襲で退避を余儀なくされた「鈴谷」(①-1-8)は幸運な例外であったが、それ以外の3艦「熊野」「利根」「筑摩」(いずれも①-1-8)は全て米艦隊の砲火によって撃沈されてしまう。米艦隊の損害はなし。まさに一方的な戦いだった。

イメージ 24マーシャル諸島では米英空母3隻と日本軍基地航空部隊の死闘が演じられた。潜水艦の雷撃で空母「ワスプ」(0-2-6④)が戦場離脱を余議なくされ、続いて空母「レキシントン」(1-3-7④)が航空攻撃によって同じく帰還を余儀なくされる。残った英空母「ヴィクトリアス」と日本軍基地航空隊の1対1の死闘は、お互いに一歩も譲らず、最後は両方とも壊滅、沈没という結果に終わった。しかし日本軍基地航空部隊を撃破したことによって連合軍は一応目的を達成し、マーシャル諸島における日本軍の支配権に風穴をあけることに成功した。また同時に海兵隊がマロエラップ環礁に上陸。同地の飛行場を占領した。

北太平洋では、新鋭戦艦「マサチューセッツ」が重巡「青葉」(①-1-7)を撃沈している。

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このTurn、日本軍は南太平洋とマーシャル諸島を失ったものの、アリューシャン方面を奪回。さらにベンガル湾を制圧下に置いたため、POCは11点となった。一方の連合軍は南太平洋を得たものの、アリューシャンとベンガル湾を失ったため、POCは9点。差は+2で累積POCは24点となった。

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6Turn(1944年1月)

イメージ 20いよいよ1944年に突入する。米新鋭艦隊空母「エセックス」(1-3-7④)が初登場。同じく軽空母「インデペンデンス」(0-2-7②)も大挙として艦隊に加わる。このTurnの増援だけで空母8、戦艦1、重巡2が米艦隊に加わった。下表に示す通り戦力のバランスは確実に米側に傾きつつある。

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イメージ 21ベンガル湾を制圧するために派遣された日本の重巡5隻であるが、その直後連合軍によるインドシナ直撃の恐れが高まったとして後続部隊との合流を得なかった。それでも彼らは優勢な夜戦能力を生かすべく戦い、英戦艦「プリンスオブウェールズ」(4-5-6)を大破(5Hit)させる等の戦果をあげたが、主に基地航空隊の反撃によって3隻の重巡「妙高」「足柄」「鳥海」(いずれも①-2-7)が撃沈され、残りは撤退を余議なくされた。

イメージ 19南太平洋方面では反撃に転じた日本基地航空部隊と米機動部隊(正規空母2その他)との間で死闘があった。日本側基地航空部隊がベテラン空母「ワスプ」(0-2-6④)を航空攻撃によって撃沈するも、残存部隊の反撃によって基地航空部隊は制圧されてしまう。またその時重雷装軽巡「大井」も砲撃戦に巻き込まれて沈没する。

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イメージ 22マリアナ方面では、正規空母1、軽空母4からなる米機動部隊が突如来襲。日本側基地航空部隊との間で死闘が展開された。日本機の攻撃によって新鋭空母「サラトガ2」(*1)が撃沈されるも、日本側基地航空部隊と哨戒中の重巡「鈴谷」(①-1-8)が米空母機の攻撃によって壊滅、撃沈されてしまう。

(*1)ゲーム上の呼称はCV-16で、これに該当する空母は「レキシントン2」である。今回のプレイでは「レキシントン」が健在で、代わりに「サラトガ」が失われていたため、艦名を「サラトガ2」とした。

イメージ 23中部太平洋では、日本の重巡「摩耶」(①-2-7)と米新鋭戦艦「アラバマ」(⑤-6-5)が一騎打ち。「アラバマ」が精確なレーダー射撃で「摩耶」を仕留めたが、「摩耶」も渾身の雷撃戦によって2本の酸素魚雷を「アラバマ」に命中させていた。「アラバマ」大破。

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このTurn、日本軍はベンガル湾、マリアナ、中部太平洋の3海域を失い、残ったのは日本本土、インドシナ、アリューシャンの3箇所となってしまった。POCも6まで減少。いよいよ退潮期に入った感がある。
一方の連合軍は、このTurn、ベンガル湾とマーシャル諸島の支配を得たので、POCは2点増えて11点。差はー5点で、累積POCは19点まで減少した。

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あと2Turn。あと2Turnで19点リードを守り切れるか、日本軍。