無謀かもしれないが、GMT社の大型現代戦ゲーム"Next War Korea"の上級ルールシナリオに挑戦してみた。選んだシナリオは16.2.3 Tactical Surpriseである。以下はそのレポートである。
5Turn
Weather Phase
曇り(Overcast)
Initiative Phase
北朝鮮軍が主導権を保持した。
Electronic Detection Phase
この期に及んで漸く連合軍の電子諜報網が威力を発揮した。前線で活動中の北朝鮮軍司令部を3ヶ所捉えた。
1st Special Operations Forces Phase
北朝鮮軍は特殊部隊の温存を図った。
Air/Naval Phase
悪天候故に連合軍が4ユニットを制空任務に上げたが、北朝鮮軍は不利と見て対決を回避した。結果的に連合軍が制空権を確保する。
2nd Special Operations Forces Phase
連合軍は特殊部隊攻撃において早期警戒網攻撃に1部隊、位置標定任務に5部隊、打撃任務に1部隊、交通阻止に2部隊を投入する。成果は標定成功3ヶ所のみ。トラックコンボイ襲撃に期待がかかったが、結果は失敗に終わった。
1st Strike Phase
ステルス戦闘爆撃機4ユニット(F-22x1、F-35x3)も含めた計10ユニットを攻撃任務に投入する。まずお決まりのWW機によるSEAD(防空網制圧)攻撃。この攻撃で北朝鮮軍早期警戒網と統合防衛システムは一時的にせよ機能を麻痺した。攻撃隊に損害はなし。さらにF-15E/K「ストライクイーグル」が長距離侵攻任務で北朝鮮奥深くに侵入。航空基地1箇所を破壊し、1ヶ所に2ヒットを与えた。
北朝鮮軍が突破口を広げようとする東海岸地区では、F-22、F-35等のステルス攻撃機が阻止攻撃任務を敢行する。目標が飛行場や化学兵器工場のような大型目標の場合は、中高高度からのスタンドオフ爆撃が有効であり、AAA(対空火器)の脅威は小さい。しかし低空飛行を強いられる阻止攻撃の場合はAAAの脅威が無視できなくなる。そのような脅威度の高い任務では、対空火器からの生存性が格段に高いステルス機の投入が有効なのだ。そして、そこはさすがにステルス機。防空網などは歯牙にもかけずに易々と目標上空に到達。狙ったポイント全てで任務を完遂した。これで東海岸からの北朝鮮軍の勢いは削がれたことになっただろう。
Initiative Movement and Combat Phase
DPRK Movement/Combat Segment
大兵力を誇った北朝鮮軍も、ここへ来て漸く兵力不足が見えてきた。その現れとして、西海岸地区の西部では攻勢スタックを構築できずに攻撃は頓挫し、戦線は臨津江(Imjin River)を挟んで対陣戦の様相を呈してきた。また攻勢の先鋒となる北朝鮮軍特殊軽歩兵部隊(2-2-5)も兵力不足。全戦線に行き渡らない。
東海岸地区では、先の連合軍機による阻止攻撃によって海岸道路の前進を阻まれた北朝鮮軍は、2個機械化軍団のうち1個を中央戦区(春川付近)へシフトさせた。残り1個機械化軍団と、元山方面から南下してきた自動車化軍団により攻撃を続行する。しかし山岳地帯における攻撃は凄惨を極めた。Taebaek(S4808)を守る韓国軍第20軍団の生き残り(5-5-8)に対して、北朝鮮軍第108機械化軍団(紫)の3個機械化旅団(いずれも5-5-8)が襲いかかった。しかし峻険な地形と空軍機の支援を拠り所として守る韓国軍の守りは固く、北朝鮮軍は機械化旅団3個がステップロスするという大損害を被った。
西部戦線ではHoecheon(N3117)を守る韓国軍に対して北朝鮮軍が3正面から猛攻を加えた。韓国軍の兵力は損耗した海兵師団の他に独立歩兵旅団と司令部のみ。対する北朝鮮軍は最強を誇る第105戦車師団(14-9-8)を筆頭に戦車旅団2個、機械化旅団4個、歩兵師団3個で攻め立てる。兵力比は6-1にも及んだ。米空軍のF-16Dが飛来し、地上支援を試みたが、SAMの反撃によりステップロスを食らってしまう。韓国軍も奮戦したが、遂に衆寡敵せず撤退。Hoecheonは北朝鮮軍の支配する所となり、ウィジョップ(議政府 Uijeongbu N3118)への攻勢拠点を北朝鮮軍が手に入れた。
中央戦線では、チュンチョン(春川 Chuncheon N3820)付近に現れた韓国軍本国防衛師団(3-4-4)が北朝鮮軍の猛攻を受けて壊滅。北朝鮮軍の一部がチュンチョン南方に進出し、チュンチョンを包囲する構えを見せている。
ROK/US Elite Reaction Movement Segment
米第2機械化歩兵師団と韓国軍第30機械化歩兵師団(9-11-8)をチュンチョン付近に戻す。こちらが危ないと踏んだ。
DPRK Exploitation Movement/Combat Segment
北朝鮮軍の攻撃は中央戦線のみ。いずれもチョンチンを包囲する動きである。
まず南からはHangseong(N3922)を守る韓国軍第12歩兵師団(6-8-4)を北朝鮮軍が三方から攻め立てる。しかしこちらは韓国軍の奮戦と韓国空軍KF-16戦闘機の支援などもあり、なんとかHangseongを死守した。
一方でチョンチン北翼からは北朝鮮軍歩兵師団4個と軽歩兵部隊が弱体化した韓国軍歩兵師団が守るGapyeong(N3620)を攻撃する。Gapyeongは漢江中流の水源地帯の要域。ここを突破されると漢江中流部の北岸と南岸が自由に行き着てきてしまう。韓国軍は善戦したが数に勝る北朝鮮軍を食い止めることはできなかった。Gapyeongは陥落。突破した北朝鮮軍の一部は漢江を渡って南岸に進出。チョンチンを半包囲する態勢を固める。
ROK/US Reaction Movement/Combat Segment
チョンチン付近が危ないと見た連合軍は、同方面に反撃の矛先を向けた。Hangseong(N3922)に進出してきた約2個師団の北朝鮮軍に対し、連合軍は米第2機械化歩兵師団の連隊戦闘グループ(5-5-8)、韓国軍第30機械化歩兵師団(9-11-8)等を投入し、四方から包囲攻撃を試みた。空からは米空軍のA-10攻撃機が支援する中、連合軍の攻撃は成功し、連合軍はHangseongを奪回。防衛線を安定化させることに成功した。
2nd Strike Phase
韓国空軍のF-15K、米海軍のF/A-18F、そして巡航ミサイルが北朝鮮中部にある化学兵器工場を叩いた。事前に標定済の目標であったために攻撃は成功。化学兵器工場は灰燼と帰した。
Basic Movement and Combat Phase
DPRK Movement/Combat Segment
北朝鮮軍は連合軍の弱点部に対してたたみかけて攻撃を仕掛けてきた。
中部戦線では、これまで攻防の焦点であったHangseongが北朝鮮軍の攻撃を受けて陥落。その際、米第2機械化歩兵師団の連隊戦闘グループが壊滅した。しかしチョンチンを包囲すべく仕掛けた北朝鮮軍の大攻撃は、韓国軍本土防衛師団(3-3-4)の驚異的な粘りによって阻止された。
西部戦線では、北朝鮮最強の第105戦車師団を先鋒とする機甲部隊が連合軍防衛線を突破し、国境防衛地帯の背後を抜けてウィジョップ(議政府 Uijeongbu N3118)の左側面を突いた。
東部戦線では新たに前線に立った北朝鮮第8軍団所属の自動車化歩兵師団(7-5-6)2個が軽歩兵旅団の支援を受けて再攻撃を実施した。東部戦線を守る韓国軍は本土防衛師団の第2線級部隊である。海岸付近のUljin(S4909)、山間部のTaebaek(S4708)が相次いで陥落し、韓国軍は後退を余儀なくされる。
ROK/US Movement/Combat Segment
各戦線で危機的状況が続いている。さらに戦線を後退させるか、それとも守るかだ。
増援表を見ると、第6~7Turnにかけて大規模な増援部隊が期待できる。つまりこの辺りが潮目だ。しかも次Turnは「競合Turn」となる見通しだ。競合Turnは両軍とも動きが緩慢になる。従って時間稼ぎが期待できる。大きく下がる必要はない。兵力の無駄な損失を避けつつ、その一方で可能な限り現戦線を維持する。それが現時点でのベストオプションだ。
西部戦線では、ウィジョップを軸としつつソウルの北西部から北部、北東部を経て東部に至る円弧状の防衛ラインを敷く。漢河を挟んで南岸地区では、首都防衛戦よりはやや薄い戦線が敷かれる。一線でガッチリ守るのではなく、縦深性を持たせた配置になっている。そして縦深後方には韓国軍機械化師団2個が展開。反撃兵力として待機する。そのような戦線がウォンジュ(原州 Wonju S3501)までつながり、そこから山岳地帯へ伸びている。
一番弱体なのが山岳地帯東側の日本海岸地区。こちらは損耗著しい韓国軍予備自動車化師団(2-2-6)が2個と、司令部部隊数個が前線を支えるのみであった。上記のうち司令部部隊数個は山岳道を押さえて北朝鮮軍の前進を阻止し、予備自動車化部隊はスタックして海岸を守る。いずれにしても彼らだけで戦線を支えるのは困難なので、特殊部隊や航空兵力による援護を必要としよう。
Reinforcement and Replacement Phase
ここで連合軍にとって予想外の事態が起こった。増援で登場するはずの韓国軍自動車化予備が初期配置ヘクスを北朝鮮軍に押さえられているため、登場できなかったのである。それだけならまだ良い。問題は増援部隊が除去扱いとなり、VP2点を北朝鮮側に献上してしまったことだ。この2点が大きかった。これがなければ、北朝鮮の獲得VPが23VPとなり、次Turnは競合Turnとなっていた所を、このVPのため次Turnはまたまた主導権Turnとなってしまい、北朝鮮の電撃進攻が継続されてしまうことだ。既にサドンデスまで後がなくなってきた連合軍にとって、このアクシデントは痛い。
Victory Determination Phase
北朝鮮=140VP
連合軍= 62VP