「武田遺領争奪戦争」は本能寺変後の天正壬午の乱を扱ったシミュレーションゲームである。天正壬午の乱といってもあまり知られていないが、本能寺の変によって軍事的空白地帯となった甲信越地域を巡る戦争である。「真田太平記」で描かれている第1次上田合戦は、この乱の戦後処理を巡って発生した戦いの一つである。
本作の特徴的な点は、相手プレイヤーが誰なのかが分からない点である。本作は、徳川、北条、上杉の3勢力が登場するが、2人のプレイヤーはその中から1つの勢力をランダムに引く。自分が引いた勢力については確認できるが、相手プレイヤーがどの勢力を引いたかは確認できない。従ってプレイヤーは本当の敵が誰なのかを推測しながらプレイする必要がある。
第1回戦
下名が引いてきた勢力は「上杉」であった。従って相手プレイヤーは、「徳川」「北条」のいずれかになる。相手プレイヤーが早い段階で正体を明かし(確か「北条」だったと思う)、さらに調略チットを使って信濃、上野に一気に勢力拡大に出てきた。窮地に立った「上杉」陣営は真田家と同盟を結んで対抗。強力な真田を使って北信濃で逆転攻勢に出る。さらに調略によって北条陣営を崩した結果、「上杉」が勝利を得た。第2回戦
プレイヤーを変えて再びプレイ。今度も下名は「上杉」を引いた。当初は両プレイヤーとも慎重に身分を隠して盤面の推移を見る。途中で頃合ヨシと見た我が陣営が立場を明らかにし、「上杉」で「北条」領内で攻勢に転じする。さらに「調略」チットを使って北信濃、中信濃の北条領内に調略戦を仕掛ける。相手プレイヤーはまだ立場を明かさないが、多分北条だろう。そこで徳川を使って側面から北条に嫌がらせを仕掛ける。さすがに両面攻勢を受けた北条は耐えられずに立場を明らかにし、真田との同盟等によって上杉の攻勢をストップさせる。上野や北信濃での進攻を阻まれた上杉勢は、南信濃に目を向けたが、こちらは本国との距離が遠くて届かない。そんなこんなしている間に直江兼次が小諸城で北条勢の大軍に囲まれてあえなく討死。さらに南信濃平定に当たっていた上杉景勝公も北条主力野戦軍によって捕捉され、あえない最期を遂げた。
感想
担当プレイヤーが誰かわからない、というアイデアは面白いと思う。プレイ時間も手頃で、1時間もあればフルターンプレイできる所も良い。第3勢力を使って相手プレイヤーの足を引っ張るというのも良い。シミュレーションゲームとして見た場合、もう少しディテールが欲しい所だが、このあたりは好みの問題と言えるかもしれない。これぐらいアッサリしている方がプレイする上で楽なことは確かだ。プレイしていて疑問に感じた所は、相手プレイヤーが誰なのかという疑心暗鬼と、そのことがプレイに与える影響についてである。別の言い方をすれば、相手プレイヤーがわかならいことがゲーム上の利益・不利益と余り関係ないように思えた、ということである。もっとハッキリ書くと、自らの立場を隠しておくことのメリットを余り感じなかった、といえるかもしれない。むしろ好機と見れば自らの立場を早めに表明した方が、ゲーム上では有利ではないか、と、思えた。
まあそのあたりはもう少しプレイしてみれば、別の答えが見えてくるかもしれないが・・・。
まあそのあたりはもう少しプレイしてみれば、別の答えが見えてくるかもしれないが・・・。