Struggle For the Middle Sea
Vincent O'Hara Naval Institute Press
第2次大戦期における地中海の戦いを扱った著作である。メインは水上戦闘で、有名なマタパン岬沖海戦、ダカール沖海戦、シルテ沖海戦等の他、ドイツの小艦艇(スループ艦、水雷艇等)と米英の駆逐艦との対決等、地中海における大小の水上戦闘がほぼ網羅されている。水上戦闘についてはかなり詳しく書かれているが、逆に航空戦闘や潜水艦戦闘についてはアッサリ書かれていて、タラント空襲や英装甲空母の被爆、「アークロイヤル」「イーグル」のUボート攻撃による損失等もアッサリと触れられている。本書の魅力は、まずその網羅性で、水上戦闘ゲームのシナリオが作れそうなデータが溢れている。細かい戦闘場面(火砲の命中率や消費弾薬等)については少しデータ的に物足らない面もあるが、価格を考えればまず十分だろう。水上戦闘に絞り込んだのも良い。
地中海の海戦について興味のある方には一読をお勧めしたい。
余談だが、同じVincent O'Hara氏による「The U.S. Navy Against the Axis: Surface Combat, 1941-1945」もお奨めしたい。日米水上戦について両軍の視点から詳細に記した良書である。
お奨め度★★★★