アメリカ海兵隊の太平洋上陸作戦(上中下)
河津幸英 アリアド出版
ガダルカナルから沖縄戦まで日本本土への推進力となった米海兵隊を中心に太平洋戦争における水陸両用作戦の進展と実戦での戦いについて描かれている。上中下の3巻構成だが、上巻でガダルカナルからテニアン攻防戦までを描いている。つまりタラワやサイパンといった激戦区も含めて上巻で全て収まっているのだ。中巻ではグアム戦から硫黄島戦の半ばまで、下巻で硫黄島の陥落と沖縄戦までを扱っている。本書の特徴は水陸両用作戦という難しいテーマについて読者の理解を助けるために数多くの図表を挿入している。その中に描かれている米海兵隊は、数多くの実戦の洗礼を受けながらも逞しく成長し、新たな装備や戦術を取れいていく姿である。しかし米海兵隊だけが成長してきた訳ではない。ライバルである日本軍もまた成長していた。日本軍の戦術についてマリアナ戦の時期までは原始的なバンザイ突撃が主流だったが、その後は水際陣地を捨て内陸部での抵抗持久戦に軸足を移してきた。そして硫黄島における地下陣地、沖縄戦における巧妙な防御戦は、島嶼防御における1つの完成系となっている。
太平洋戦争に興味のある方であれば、機会を見つけて入手してみてください。
お奨め度★★★★