Panzer(GMT)は2012年に発表された戦車戦ゲームである。この度、エクスパンションキットの第3弾である"Drive to the Rhine"が発表されたので、早速プレイしてみた。本作はタイトル通り1944-45年における西部戦線の戦車戦が舞台である。同時期における米英独の主要な装甲戦闘車両はほぼ網羅されている。

今回選んだシナリオは、シナリオ25「Chance Encounter: Mortain, August 1944」である。これはノルマンディ戦線における米独両軍のボカージュ地帯での遭遇戦を描いたシナリオである。米独の中隊規模の戦車部隊同士が激突するシナリオで、米軍にはシャーマン、同76mm型等、計18両の装甲戦闘車両が登場し、独軍には4号戦車H型/J型計16両が登場する。独軍側にパンター、ティーガーといった猛獣戦車は登場しない。また両軍とも歩兵、砲兵、航空兵力等は伴わない。純粋に戦車同士の撃ち合いである。

今回の地形は低地にヘッジロウ(生垣)が縦横に走る典型的なボカージュ地形である。このような地形では両軍とも視界が効かず、遭遇した瞬間に致命的な接近戦になる。このような場合、先に射撃を行う方が有利なことは明らかなので、両軍とも自分から顔を出さず、機動によって相手を翻弄するような動きを行うことになる。
そんなこんなで序盤は両軍とも生垣を利用して姿を隠しつつ、お互いの側面や背後に回り込もうと機動を行う。しかし地形的に錯綜しており、さらに両軍の戦車とも機動力はそれほど高い訳でもないので、なかなか自らの意図通りにはいかない。



さらに応援に現れたシャーマン戦車が計5両。4号戦車の前後から挟み込む。2両の4号戦車は、3倍の敵に囲まれてあえなく撃破されてしまう。




感想

シャーマン75mmについては、火力面で4号戦車H/J型よりも劣位にある。装甲については4号H型よりは優秀で、4号J型とほぼ同等。機動力は4号H/J型とほぼ同等である。総じてシャーマン75mmは、4号J型には劣り、4号H型とほぼ互角といった所か・・・。




ゲームシステムについては、徹甲弾による砲撃戦はそれなりに詳細であるが、主導権ダイスの影響が大きく、ダイス目勝負になりやすい。特に今回のシナリオのように近距離の撃ち合いなら、命中率が最大90%にも達する上、至近距離から発射された徹甲弾を装甲が耐えられる可能性がかなり低い。戦力に大きな違いがない場合、主導権ダイスで優位に立った方が圧倒的に有利であろう。
とはいえ、それに対する対策も無きにしも非ずで、兵力で相手の2倍以上で挑めば、最悪の場合でも相互相殺に持ち込める。主導権ダイスで勝てれば相互相殺以上の結果も期待できる。今回のシナリオで米軍が勝利した背景には、米軍が各地で局所的な優勢を確保し続けたことが大きかったと思われる。
次回は歩兵の登場するシナリオにチャレンジしてみたい。







