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旧Game Journal#55「大日本帝国の盛衰」は太平洋戦争全体を扱ったシミュレーションゲームである。今回、その「大日本帝国の盛衰」をソロプレイで試してみた。

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第13Turn(1944年10-12月)

米軍は空母戦力が充実してきたのでいよいよトラック諸島に対する進攻を決意。空母7ユニット(大型4、小型3)、戦艦6ユニット等を含む大艦隊でトラック諸島へ攻めよせた。乾坤一擲の決戦を目論む日本軍は空母6ユニットを含む機動部隊と基地航空部隊で航空決戦を企図。トラック諸島近海で激しい航空戦が繰り広げられた。
トラック沖海戦。
この海戦でも日本軍は強さを見せ、米正規空母2ユニットを中破、軽空母1ユニットを中破させて戦力の過半を撃破した。しかし米軍も今回は意地を見せ、大型空母1ユニット(翔鶴・瑞鶴)を大破(1年間使用不能)、別の1ユニット(大鳳・龍鳳)を中破せしめた。
地上戦闘は戦艦、巡洋艦多数の支援を受けた米軍と基地航空兵力の援護を受けた日本軍が一歩も譲らず、トラック戦線は膠着状態になった。

現在13VP

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トラック近海で激突する日米艦隊。ヘクスに入りきらないので艦艇ユニットが溢れている。


第14Turn(1945年1-3月)

日本軍は空母戦力と基地航空兵力を結集してトラック環礁を攻撃。トラック沖海戦で空母戦力の多くを失っていた米軍にとって対応することはできなかった。トラック環礁で見捨てられた形となった米第2海兵師団は日本軍の猛攻を受けて壊滅してしまう。
連合軍はラエ、ガダルカナルで攻撃を続ける一方、戦線後方に残されたウェーク島に対する奪回作戦を実施した。ラエ、ガダルカナルでは連合軍の勝利に終わり、両地は連合軍の奪回する所となった。しかしウェーク島では日本軍の守備隊が奮戦し、連合軍の上陸部隊は海岸に釘付け状態になった。

そしてこのTurn、連合軍は最大規模の空母攻撃作戦を実施した。大型空母2ユニット、軽空母2ユニットからなる空母機動部隊がマリアナ諸島東方海上を北上し、呉軍港一帯に対して奇襲攻撃を加えてきたのである。当時日本海軍の空母戦力はトラック環礁に進出しており、米艦隊を要撃することはできなかった。呉軍港一帯では水上部隊主力が在泊していたが、米艦載機の攻撃によって駆逐艦3ユニット沈没、戦艦1ユニット(大和・武蔵)、駆逐艦2ユニットが中破した。

現在11VP

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第15Turn(1945年4-6月)

米軍は全戦力を結集して再びトラック環礁を襲った。今度は日本艦隊は劣勢を意識して決戦を回避。トラック環礁は圧倒的な米軍の攻撃により瞬時に陥落した。米艦隊はそのままトラック環礁に入港。これまで「太平洋のジブラルタル」と呼ばれ、日本艦隊の最重要基地であったトラック環礁は、今や米艦隊にとっての最重要前線基地として機能し始めた。

現在9VP

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第16Turn(1945年7-9月)

最早VPで勝利を収めることは不可能になった連合軍。最後の意地という訳で空母機動部隊による二度目の呉空襲を実施する。正規空母5ユニット、軽空母3ユニットからなる4群の高速空母部隊が呉軍港に向けて出撃した。航空戦力の合計は26戦力。瀬戸内海に待機していた聯合艦隊は、空母5ユニットを3群に分けて迎撃。さらに基地航空部隊を含めて計21航空戦力で米機動部隊を迎え撃つ。
土佐湾沖海戦。
今まで日本空母に痛めつけられ続けた米機動部隊は、この戦いで漸く意地を見せた。航空戦に勝利して航空優勢を得た米艦載機は、3群に分かれて航行している日本空母群を叩いた。トラック沖海戦の損傷から復旧した大鳳・龍鳳が爆撃を受けて沈没した。開戦以来日本機動部隊の主力として活躍し続けていた赤城・加賀・蒼龍・飛龍も次々と撃沈された。一連の攻撃で日本空母は計4ユニットを失い、1ユニット(隼鷹・飛鷹)が大破しながらも何とか生還した。他に駆逐艦1ユニットが沈没。米軍は正規空母1ユニット(エセックス・バンカーヒル)沈没、1ユニット(ハンコック・タイコンデロガ)中破の損害を受けた。

しかし連合軍の奮戦もここまでだった。同じころニューギニア西端ホーランディアで日本軍の抵抗は終わりを告げようとしていた。この段階で連合軍はホーランディア、トラック、マーシャル諸島、ウェーク島のラインにまで進出していたが、日本本土はまだ遙かに遠かった。

現在8VP

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結果:勝利条件を満たせなかったので連合軍の敗北

感想

連合軍としては「前半耐えればなんとかなる」と思っていましたが、日本軍の前進をストップさせるだけでは不十分でした。連合軍は母艦戦力を温存し、優位を確保しなければならない点が難しい所です。今回、米軍側は第7Turnに行ったギルバート進攻作戦が失敗でした。航空戦力で確実に優位に立てない場合、航空決戦に持ち込むのは無謀です。逆に時間は連合軍の味方なのですから、母艦戦力が充実して航空戦力で相手を圧倒するまでは相手の弱点部を狙うことに専念すべきでした。

旧GJ#55と新版を比較した時、米本土と盤端との距離が新版の方が1ヘクス遠くなりました。その分新版の方が連合軍にとって難しくなったと思います。例えば戦争前半南太平洋方面で米機動部隊の主要基地となるフィジー・サモア諸島について、旧版では米本土から1回の海輸で到達可能でした。しかし新版では2回の海輸が必要になりました。つまり必要な海輸ポイントが旧版の2倍になった訳です。このことはすなわち南太平洋方面に展開可能な米艦隊が、旧版と新版では大きく変化した訳です。新版の方が連合軍にとってよりシビアなプレイが要求されることになりました。

今回本作をVASSALでソロプレイしてみましたが、プレイ時間は記録を含めて1ターン1~2時間、全16Turnの所要時間は20時間前後でした。対人戦で記録時間を無視し、双方とも慣れたプレイヤー同士であれば、10~15時間程度でキャンペーンをプレイし終えることができそうです。

太平洋戦争を扱った作品としては、HJ/SSGの「太平洋艦隊」(PF)、GMTの「Empire of the Sun」(EoS)等があります。PFと前者と比較した場合、本作の方が全般的にルールが簡単でかつプレイ時間が若干短時間です。戦術面でのディテールではPFの方が優れていますが、「太平洋艦隊」は一部にバグがあり、その点本作の方が安心してプレイできます。
EoSとの比較では、本作の方がルールが簡単です。また戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦が全てユニット化されている本作の方が、海上戦闘のディテール再現では優れています。ただ国際政治や中国戦線、宣伝戦、戦略爆撃戦等も含めた総合面での再現性はEoSの方が優れています。またゲームとしても面白さでは圧倒的にEoSに軍配が上がり、さらにプレイ時間についてもEoSの方がやや短いと思われます。総合的な面ではEoSの方が優れた作品だと言えそうです。

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Pacific War Carrier Battle - Philippine Sea The Doolittle Raid A World at War: Second World War in Europe and The Pacific
運命の夜明け 太平洋の試練(上)-真珠湾からミッドウェーまで Pacific Carrier War Rising Sun in the Pacific: 1931 - April 1942 - Volume 3