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猿遊会でGulf Strike(VG)をプレイした。

Gulf Strikeは1980年代前半に米国Victory Games社から発表されたシミュレーションゲームだ。テーマはイラン・イラク周辺における軍事衝突で、4つの仮想戦シナリオと1つの半仮想戦シナリオ(イラン・イラク戦争)を含む。当時はイランイラク戦争が継続中であったため、本作のシナリオもイランイラク戦争の結果と連動した形になっている。実際の歴史はご存じの通りで、イランイラク戦争終結とその後の湾岸危機から湾岸戦争、裏で進行していた冷戦構造の終結とソ連の崩壊、そして21世紀に入ってからの対テロ戦争、イラク戦争へと続いていくのだが、本作のシナリオは実際の歴史とはかなり異なった「過去における未来」を扱うことになる。

今回取り上げるシナリオ2は、イランイラク戦争終結後のソ連と米イラン連合との戦いを描く。イラクとの間で停戦協定を結んだイランが北の大国ソ連に対して挑発行動を仕掛ける。それに怒ったソ連がイランに侵攻。それに対して米軍が介入する、というストーリーだ。

今回の参加者は3名。下名は米イラン連合を担当し、残り2名がソ連軍を分割担当する。

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1Turn(1985年6月6日)

戦争が始まった。ソ連軍が国境を越えてイランに侵攻を開始したのだ。
カスピ海の西側のアゼルバイジャン地方からは、ソ連邦陸軍第7軍団と第4軍団の計7個師団が南下する。またカスピ海東岸のトルクメニスタン地方からはソ連邦第1トルクメニスタン軍団の3個師団が南下する。いずれも目指すは革命イランの首都テヘランだ。
さらにアフガニスタン地区からはソ連邦アフガニスタン方面軍団に所属する2個師団がアフガン・イラン国境を突破して西へ向かう。彼らの目標はホルムズ海峡を扼する要域バンダル・アバス。この海峡を押さえれば、湾岸諸国から西側へ向かうタンカーのシーレーンを制することができるのだ。

突然の奇襲を受けたイラン革命軍だったが、彼らの反応は素早かった。カスピ海西岸地区では、革命イラン軍の民兵師団(4-1-4)がイラク北部の要域タブリーズ(0909)に展開。ソ連軍2個師団の猛攻を凌いでいたが、いよいよの段になってタブリーズを放棄して撤退していった。

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カスピ海東岸では、ゴーガン付近の山岳道(3916)に布陣するイラン陸軍第1機械化師団(7-3-8)がソ連軍3個師団の猛攻を受けていたが、彼らは善戦し、ソ連軍をその場で釘づけにしていた。

イラン東部国境では、アフガンから侵攻してきたソ連軍が無人の荒野を行くが如く前進していった。

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2Turn(6月8日)

米軍が参戦した。インド洋に展開している米空母「キティホーク」を基幹とする空母機動部隊が戦場へ向けて北上を開始した。無論、ソ連軍の誇る「陸上攻撃機」であるTu-26バックファイアの行動半径の外側を慎重にだ。
その「キティホーク」に影のように付き従っていたソ連海軍のミサイル巡洋艦「グロズヌイ」が至近距離から対艦ミサイルを発射した。その2発が護衛の米ミサイル巡洋艦「ベルナップ」に命中。「ベルナップ」が轟沈する(米機動部隊が2Hitを被った)。米艦隊は直ちに報復攻撃を行い、「グロズヌイ」を葬り去った。

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参戦した米軍は早くも積極的な作戦を開始した。ディエゴガルシアを発進したB-52の編隊がアフガニスタン領内のソ連軍航空基地を爆撃した。迎撃戦闘機を欠いたアフガンのソ連軍基地はB-52の爆撃に抗しきれずに壊滅する。
さらにアフガン領内に潜入した米グリーンベレーの特殊部隊は、アフガンから西へ伸びる補給拠点に対して密かに目標マーカーを設置する。目標マーカーの支援を受けたイラク空軍のF-4ファントム6個中隊が相次いでソ連軍補給拠点を爆撃する。補給拠点は爆破され、イラン領内を進むソ連邦アフガン方面軍は一時的に補給切れ状態となってしまう。

3Turn(6月10日)

ソ連第7軍団所属の3個師団がカスピ海南岸の主要都市ラシュト(2113)に攻撃を開始した。ラシュトを守るイラン軍は、民兵組織に所属する1個師団と1個旅団で、それをテヘラン周辺に展開する航空部隊が支援する。イラン航空兵力の主力はF-4ファントム、F-5Eタイガー等の固定翼機の他、AH-1コブラ攻撃ヘリ3個中隊も含まれていた。対するソ連軍もカスピ海周辺に展開する航空兵力をラシュト攻防戦に投入し、空から攻略作戦を支援する。

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ソ連軍はラシェット攻防戦を進める一方、空からテヘラン周辺のイラン航空兵力を叩くべく航空撃滅戦を仕掛けてきた。航空兵力の過半をラシュト攻防戦に投入していたイラン空軍は、テヘランを直接攻撃してきたソ連空軍に対して専ら対空火器で対抗する。しかしテヘラン周辺の対空火器は予想以上に前線を見せた。ソ連軍はテヘランに対して3波に渡る波状攻撃を敢行。合計9個ものMiG-23、Su-24等の戦闘飛行隊を投入したものの、戦果は僅かに飛行場に対する1Hitのみ。それに対してソ連軍が失った航空戦力は、計9ステップにも及んだ。いずれも各種対空火器による損害である。

ソ連領内サルヤン地区(カスピ海西岸)にある航空基地に対してグリーンベレーの特殊部隊3個中隊が襲撃を加えた。ソ連軍飛行場守備隊は突然の襲撃により大混乱を来す。サルヤン飛行場はこの一撃で機能を損失。同基地に展開していたMiG-23、Su-24等3個中隊が作戦行動不能となってしまう。

本ゲームにおける米特殊部隊は極めて強力である。先に書いた砲爆撃支援も有効だが、それ以外に待ち伏せ、そして今回取り上げた襲撃等の任務を実施可能だ。襲撃は作戦マップ上の任意の地点に対して実施可能で、その目標は航空基地、補給廠、トラック等である。ソ連側としては、これらの目標地点に通常の地上部隊を配備することで襲撃を防止できるのだが、守るべき全ての地点に地上部隊はかなり困難。そして米軍としては特殊部隊の脅威をチラつかせることでソ連軍の前線部隊を労せずに弱体化させることが可能だ。
余談ついでに、Gulf Strikeで登場するのは米軍の特殊部隊のみだが、姉妹篇のAgean Strikeではソ連軍のスペツナツが登場する。

米軍の本格的増援部隊が登場。F-15イーグル3個中隊と第7海兵遠征旅団(3-2-8)がオマーン湾に上陸。同方面に拠点を築く。ここオマーン湾は要域ホルムズ海峡から1戦略ヘクスの距離にあり、ホルムズ海峡上空を制することが可能だ。

4Turn(6月12日)

先のTurn、ソ連軍の損害が15ステップを超過したため、主導権の変更(ターンオーバー)が発生した。米・イラン連合が主導権プレイヤーとなり、先攻となる。

ラシュト攻防戦はなおも続く。ソ連軍はテヘラン周辺に対する航空撃滅戦を諦め、航空戦力の主力をこちらの地上支援につぎ込んできた。イラン空軍も度重なる戦闘で消耗を強いられながらも果敢に防衛戦を展開。ソ連軍地上部隊に対して無視できない損害を与えていた。

カスピ海東岸地区では、これまでソ連軍の猛攻に対して果敢な防衛戦を展開してきたイラン陸軍第1機甲師団が、ソ連軍の包囲攻撃によって遂に壊滅した。イラン軍主力はテヘラン周辺に展開し、テヘランを中心として守りを固める。

海ではソ連艦隊がアラビア海を舞台に活発な活動を開始していた。ディエゴガルシアからオマーン湾に伸びる米海上補給線をソ連潜水艦が遮断。オマーン湾の米軍は補給切れにより一時的に作戦不能となってしまう。慌てた米軍はディエゴガルシアから発進するP-3Cオライオンと「キティホーク」のS-3Bバイキングでソ連潜水艦の排除を図るも、出目振るわずに失敗に終わってしまう。

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