
「ソロモン夜襲戦」とは、私が自作した水上戦闘ゲームです。テーマは太平洋戦争でタイトル通りソロモン海域における夜間戦闘がメインテーマです。1Turnが5分、1Hexが1.5kmに相当し、TurnスケールはHobby/Japanの「IJN/Fleet Battles」に概ね拮抗し、Hexスケールは1.5倍の大きさです。今回「ソロモン夜襲戦」をYSGAで対戦いただくことになりました。対戦相手はYSGAの中で海戦ゲームにとりわけ造詣の深いSさん。Sさんの厳しい視線に果たして耐えられるかと、緊張の面持ちで臨んだ当日でした。
シナリオ6「キャラハン艦隊の壊滅」
状況
1942年11月における第3次ソロモン海戦は、ガダルカナル攻防戦の帰趨を決定づけた戦いでした。この戦いで日本軍は貴重な高速戦艦2隻を失い、さらに重要な増援輸送船団が壊滅的な打撃を受けて壊滅しました。しかし11月13日の夜戦では日本海軍は技量の冴えを見せて米艦隊を圧倒。戦場に臨んだキャラハン艦隊は、防空軽巡2隻、駆逐艦4隻を失い、重巡2隻、駆逐艦2隻が甚大な被害を被りました。日本軍は高速戦艦「比叡」が大破(後に航空攻撃により沈没)、駆逐艦2隻を失っています。このシナリオはその第1次夜戦を扱ったものです。日本軍の兵力は高速戦艦2隻、軽巡1隻、駆逐艦11隻の計14隻。連合軍は重巡2隻、軽巡3隻(内2隻は防空軽巡)、駆逐艦8隻の計13隻。隻数はほぼ拮抗していますが、高速戦艦の戦闘力は連合軍の重巡や軽巡の2倍を上回ると予想され、兵力的には連合軍の劣勢は否めません。無論高速戦艦も恐ろしいですが、それよりも真に恐ろしいのは酸素魚雷搭載艦を含めた計11隻もの大型駆逐艦かもしれません。
下名は連合軍を担当しました。劣勢は承知の上ですが、劣勢を跳ね返してデザイナーの意地を見せたい所です。

海戦
4列陣形という複雑な陣形で戦場に近づく日本艦隊に対し、単縦陣を構成した米艦隊は陣形面で優位に立っています。駆逐艦-巡洋艦-駆逐艦というサンドイッチ型単縦陣の米艦隊は、左舷に日本艦隊を見つつ距離4500mから先頭を走る「カッシング」以下4隻の駆逐艦が31本の魚雷を発射しました。そのうちの1本が駆逐艦「夕立」に命中してこれを撃沈。また1本が軽巡「長良」に命中してこれを中破させました。幸先良し。
乱戦を避けるべく右に大きく舵を切った米艦隊は、速度を上げて日本艦隊と並行砲戦に入ります。距離6000mで敵高速戦艦「比叡」を視認距離に捉えた彼らは、重巡「サンフランシスコ」以下4隻の巡洋艦が「比叡」に向けて砲火を集中します。しかし命中率振るわず僅かに「サンフランシスコ」の射弾が「比叡」を捉えたのみ。無論巨大な戦艦にとって数発の8インチ砲弾による命中など蚊が刺した程度でしかありません。一方で日本駆逐艦「春雨」が至近距離から放った93式酸素魚雷8本のうち2本が重巡「ポートランド」に命中。「ポートランド」は沈没こそ免れたものの、戦闘力の大半を損失して戦場を離脱していきます。米艦隊の方は、その報復として防空軽巡「アトランタ」が至近距離から「春雨」に対して5インチ速射砲を雨霰と降り注ぎ、これを穴だらけにして戦闘能力を奪いました。

その後米艦隊は日本艦隊から距離を離隔するように機動し、日本艦隊は戦艦の優れた砲戦能力を生かすべく機動します。高速戦艦「霧島」に対して防空軽巡「ジュノー」の放った魚雷1本が命中。「霧島」は勿論沈没には至りませんが、その戦闘力に少なからず影響を受けました。

その後米艦隊は日本艦隊の視認距離外からレーダーと照明弾を使った視認距離外射撃で日本艦隊を攻撃し、一方の日本艦隊は米艦隊を追いつつ戦艦の主砲で米艦隊を叩かんとします。高速戦艦の砲火により米駆逐艦「オバノン」が沈没、他の艦にも損傷を与えますが、日本側にとって満足できるような戦果ではありませんでした。一方の米艦隊は軽巡「長良」を撃沈した後、高速戦艦2隻のどちらかに重大損傷を与えるべく砲撃を集中します。しかし至近距離からであっても致命傷を与えるのが困難な相手に対し、やや離隔した距離からの射撃では到底致命傷を与えるには至りません。
結局日米両軍共相手に対して決定的な戦果を上げるには至りませんでしたが、勝利得点の関係で米軍の勝利に終わりました。最後の最後でデザイナーの意地を見せた形になった訳です。
連合軍
沈没:駆逐艦「オバノン」
中破:重巡「ポートランド」、駆逐艦「モンセン」「アーロンワード」
小破:駆逐艦「バートン」「ステレット」
沈没:駆逐艦「オバノン」
中破:重巡「ポートランド」、駆逐艦「モンセン」「アーロンワード」
小破:駆逐艦「バートン」「ステレット」
感想
細かいバランス調整の余地はあると思います。ただ、現状のままでも良いかな、という思いもあります。このシナリオ、全般的に連合軍が劣勢なことは否めませんが、今回の結果が示す通り連合軍側にも十分に勝機があるので、取りあえずこのままで行ってみます。最初に書いた通り対戦相手氏が海戦ゲームに詳しい方なのでかなり緊張した対戦でしたが、結論から書けば概ね好意的にご評価頂いたようです。海戦ゲーム、特に水上戦ゲームといえば「ノリ」でプレイするゲームが多い中、「これだけ頭を使う水上戦ゲームは初めてだ」とご評価頂いたのは望外の喜びでした(左の言葉には、一部私の個人的なバイアスがかかっています)。対戦相手氏は実は「アイアンボトムサウンド」(QD/HJ)の大ファン。「アイアンボトムサウンド」の影響が強い方の場合、なかなか本作の提示する海戦の姿を受け入れてくれないことがあるのですが(曰く「夜戦は殴り合いなのに、このゲームは殴り合いぽっくない」等)、今回の対戦相手氏は、そのあたりもちゃんと理解してご評価頂いたのが有難かったです。
無論、欠点が全くない訳ではなく、今回のプレイで何点か有益なご指摘を頂きました。
個艦名
ユニットはBB1、CA1等の汎用ではなく個艦名入りにした方が良い、とのご意見を複数の方から頂きました。これについては昨今の「艦コレ」ブーム(下名は「艦コレ」について殆ど知りませんが・・・)等を考えると尤もなご意見です。とはいっても戦艦、巡洋艦は兎に角として駆逐艦まで個艦名を入れると、ユニットを探すのが面倒になる。CTCSの「決戦、連合艦隊」のようにシナリオの数を絞り込んで、その代わりに駆逐艦を艦名入りでユニット化する手もありますが(シナリオの数を絞り込むことは、別の方からもアドバイスを頂きました)、折角作ったシナリオを捨てるのもデザイナーとしてはちょっと忍びない。今後本作が本格的に発売でもされることになればシナリオ絞り込みと駆逐艦の個艦名化を検討する必要が出てくるかもしれませんが、現時点では個艦名を入れるのは戦艦、巡洋艦クラスに絞りたいと思います。ヘクス径、ユニットサイズを大きくする
「ソロモン夜襲戦」は元々サンセット社の「聯合艦隊」のコンポーネントを流用して作成されていました。そのためヘクス径は通常の16mmサイズです。そこに艦艇ユニットを横長にすると、そのサイズは15mmx10mm程度となり、かなり小さい。対戦相手氏からコメント頂いたのは、ヘクス径を大きくし(20mm程度)、その分ユニットを大きくした方がマーカー等を置く際に都合が良いのではないか、ということでした。テストプレイ用については現状のままとしても、製品化する際にはヘクス径の拡大を考慮した方が良いかもしれません。
水平線
今回頂いたコメントの中で一番有益だったのかユニットデザインについて。「アイアンボトムサウンド方式が良い」という内容だったのですが、試しに作ってみると確かにこちらの方がカッコいい。以下に「アイアンボトムサウンド方式」にしたデザイン例を示します。次回からはこちらの方式で行こうかな?。

可変式指揮ポイント
指揮ポイントについては、かつて他の方から「指揮ポイントの獲得数は可変式にした方が良い」とアドバイスを受けたことがあります。そのことを今回の対戦相手氏にお話しした所、彼曰く「このままで良いのではないか」とのこと。本件については、かつてテストして頂いた別のプレイヤーの方からも同様のご意見を頂いているので、現状のままで行きたいと思います。何はともあれ、ゲーム業界の不毛な政治ゲームに巻き込まれて日の目を見ることなく消えていきそうな「ソロモン夜襲戦」。未だに○ンセットゲーム社には言いたいことが山ほどありますが、そんなことはどうでも良いから、この機会にどんな形でも良いから復活させてみたいと心から思いました。
今回の対戦にお付き合い頂いたSさん。どうもありがとうございました。
