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Zero!は、Down in Flamesシリーズと呼ばれる空戦ゲームシリーズの1作品である。Down in Flamesシリーズとは、ボードやユニットを使わずに行う空戦ゲームで、航空機を表す機体カードと行動を表すアクションカードの組み合わせで複雑な三次元戦闘をシンプルなルールで再現する。

Zero!のテーマは1941年から1942年前半までの太平洋戦争。その続編であるCorsairs & Hellcatsは、1942年後半以降の太平洋戦争を扱っている。

今回、YSGA戦術級ゲーム例会でこのZero!/Corsairs & Hellcatsをプレイしてみた。折角だからガッツリやりたいと思い、本ゲーム最大規模のキャンペーンシナリオである「ガダルカナル」に挑戦してみた。これは1942年8月から翌年2月までのガダルカナル攻防戦を、主に航空戦の面から再現したシナリオである。

下名は連合軍を担当した。

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第1週

イメージ 2ガダルカナル上陸第1週目(史実に当てはめると第3週目ぐらいだろうか・・・)。日本軍は米侵攻船団を叩くべく護衛なしの三沢空所属の1式陸攻4機に魚雷を搭載し、シーラーク水道に向かわせる。それを迎撃するのはヘンダーソン基地に進出したばかりの米海兵隊VMF-223「レインボウ」に所属するF4F-4「ワイルドキャット」戦闘機と米陸軍第67戦闘飛行中隊(67FS)所属のP-400「エアラコブラ」4機。戦いは一方的な虐殺となり、出撃した陸攻4機は全て失われた。連合軍航空部隊の損害は皆無。日本海軍陸攻隊は最初の出撃で早くも大損害を被ったことになる。
なかでもジョン・L・スミス大尉指揮する「ワイルドキャット」隊の活躍は目覚ましく、スミス大尉自らが1日で3機の陸攻を仕留めるという快挙を成し遂げた。
しかし陸攻の犠牲も全くの無駄ではなかった。輸送船1隻が雷撃を受けて大破し、エスピリッツサントへの帰還を余儀なくされたのである。

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第2週

イメージ 3日本軍がガダルカナル奪回のための増援部隊を駆逐艦に乗せてガダルカナルへ向けて出撃させてきた。それを察知したカクタス飛行隊は、VMF-223の「ワイルドキャット」2機とVMSB-232「レッドデビルス」所属のSBD-3「ドーントレス」急降下爆撃機2機を増援部隊攻撃に出撃させた。サボ島沖約150海里で日本艦隊を発見した米編隊であったが、日本艦隊上空には台南航空隊所属の零戦21型が2機と水上機母艦「神川丸」所属の零式観測機2機が上空援護にあたっていた。零戦は兎に角、零観なんて複葉の下駄ばき(フロート付き)の機体である。とても戦闘機の代役が務まるとは思えないのだが、日本海軍は伝統的に複座水上観測機の空戦能力を重視してきており、この零観も相応の運動性が与えられていた。そしてこの後の戦いでもこの「下駄ばき」機がしばしば米軍機に立ち向かって来ることになる。
上空で「ワイルドキャット」と零戦がドグファイトを繰り広げる中、「ドーントレス」の編隊が日本駆逐艦めがけて急降下に入っていく。それを阻止せんと「下駄ばき」が向かって来るが、火力の性能の不足は如何ともし難く、「ドーントレス」隊を有効に阻止できない。それでも彼らは対空砲火と共同で「ドーントレス」1機を撃墜。もう1機にも損傷を与えて見事に味方駆逐艦を守りきった。「下駄ばき」機の面目躍如といった所か。
一方零戦と「ワイルドキャット」の初対決は「ワイルドキャット」に軍配が上がった。スミス大尉が被弾しながらも零戦1機を仕留めて自らの損失はなし。スミス大尉のスコアは4機に達した。あと1機落せばエースである。

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第3週

イメージ 4米軍がガダルカナルに向けて増援輸送船団を送り込んできた。索敵機の報告で米船団の接近を察知した日本軍は、陸攻2機、2式水戦2機からなる攻撃隊を発進させた。
「なんで零戦を出さないんだぁ・・・」
という声が聞こえてきそうだが、シナリオの制約によって1週間で出せる機数に制限があり、零戦やF4Fは2機までとなっている。ちなみに1週間で行われるミッション数は最大2回。従って場合によっては零戦ではなく水戦や零観といった下駄ばき機で出撃せざるを得ない場面も出てくる。それは連合軍も同じだが・・・。
対する連合軍はP-400「エアラコブラ」2機とSBD-3「ドーントレス」1機でこれを迎え撃つ。P-400はP-39の輸出バージョンで、機首の37mm機関砲を20mm機関砲に換装したものである。それだけなら別に良かったのだが、酸素供給機に欠陥があって高高度飛行が不可能。これは迎撃戦闘には致命的な弱点である。
果たせるかな、P-400は早くも性能面での弱点を暴露。迎撃戦闘は、むしろ本来の戦闘機ではない「ドーントレス」に委ねられた。その「ドーントレス」が迎撃戦闘で大活躍。対空砲火と共同で陸攻2機を撃墜する。それでも陸攻隊の雷撃で輸送船が大破してしまったのだが・・・。残った2水戦はP-400との交戦を打ち切って戦場を離脱していった。

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イメージ 5週の後半は連合軍による日本軍ネズミ輸送部隊の攻撃。連合軍は海兵隊のF4F-4「ワイルドキャット」、SBD-3「ドーントレス」、TBF-1「アヴェンジャー」各2機を発進させた。それに対して日本軍は零戦2機、零観2機でこれを迎え撃つ。
零戦隊が「アヴェンジャー」に食いつきいきなり1機を撃墜。さらに対空砲火がもう1機の「アヴェンジャー」を捉えてこれを四散させた。「アヴェンジャー」はミッドウェー海戦に引続きこのガダルカナルでも初陣で壊滅。「アベンジャー」という挑発的なネーミングに相応しくない惨めな結果である。
一方戦闘機同士の空戦では零戦と「ワイルドキャット」がそれぞれ僚機を失った。スミス大尉は零戦1機を落した。これで大尉のスコアは5機となり、カクタス飛行隊初のエースとなった。それでもこの戦いではスミス大尉の僚機が零戦に食われており、スミス大尉にとっては素直に喜べない結果に終わった。
対艦攻撃では生き残った「ドーントレス」隊が駆逐艦に6Hit与えてこれを大破。日本軍の輸送部隊に損害を与えることに成功した。

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第4週

イメージ 6日本軍はヘンダーソン飛行場に攻撃を仕掛けてきた。その編成は零戦1機、99艦爆1機である。この編成から予想されるのは、空母から発進した艦載機だろうか。対する米軍は、SBD-3「ドーントレス」2機を迎撃に発進させた。本来の戦闘機ではない「ドーントレス」であったが、それでも高度制限のあるP-400等はマシだろう(多分)。
零戦1機と「ドーントレス」2機との対決は、しかし本来の戦闘機である零戦に「ドーントレス」が敵うはずもなく、瞬く間に「ドーントレス」1機が食われた。99艦爆は零戦の援護の元、ヘンダーソン飛行場上空に到達した。激しい対空砲火を物ともせず艦爆は超低空で爆撃を敢行。爆弾がヘンダーソン飛行場を直撃し、飛行場に重大な損害を与えた。

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イメージ 7週の後半は日本軍が増援輸送船団をガダルカナルに送り込んできた。連合軍はVMF-223所属のF4F-4「ワイルドキャット」2機とVMSB-232所属のSBD-3「ドーントレス」2機からなる攻撃隊を発進させて日本船団の阻止を図る。日本船団の上空を守るのは零戦21型と2式水上戦闘機各1機。
戦闘機同士のドグファイトでは、「ワイルドキャット」が2水戦に食らいつき、まず1機の「フロート・ゼロ」を撃墜した。その間、零戦が「ドーントレス」の1機を撃墜した。しかしその零戦に「ワイルドキャット」が食いつき、激しいドグファイトの末、零戦を「ワイルドキャット」が仕留めた。
この戦いで2機の日本機を撃墜したスミス大尉は、総スコアを7機に伸ばした。

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この週の終わりに米軍は戦闘機の増援を受け取った。P-39K「エアラコブラ」。P-400と同じP-39ファミリーの後期型だ。性能面ではF4F-4「ワイルドキャット」と大差がないが、それでもP-400よりは格段に性能が向上しており、連合軍戦闘機戦力の強化に貢献した。

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