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あゝ伊号潜水艦

板倉光馬 光人社NF文庫

開戦劈頭の真珠湾攻撃では、先任士官として伊169号潜水艦でハワイ封鎖作戦に参加。そこで防潜網に絡まって九死に一生を得た筆者。その後は潜水艦学校を経て伊176号、伊2号、伊41号の艦長としてアリューシャン方面やブーゲンビル方面で幾度となく死中を潜り抜けてきた筆者の体験記である。夜間のレーダー射撃や突然の航空攻撃、あるいは敵駆逐艦による執拗な爆雷攻撃等、潜水艦戦の全貌を余すことなく描いている。残念なのは、あまり戦果がないため華々しい場面が少ないことだが、日本潜水艦の実情がその通りなので仕方がない所。あとは自分が参加していない部分についてやや筆が滑った感があるが、まあ許容範囲だ。それよりも浅深度攻撃に難があった酸素魚雷やレーダー射撃の恐怖など、日本潜水艦が何故活躍できなかったについてその一端を知らしめてくれる。

お奨め度★★★