鉄の棺-最後の日本潜水艦
斎藤寛 光人社NF文庫
伊56潜。レイテ沖海戦で米護衛空母「サンティ」に魚雷を命中させたとされている潜水艦で、1945年4月に沖縄近海で撃沈された。筆者は伊56潜に軍医として乗り組み、敵機動部隊との壮烈な死闘や数十時間に及ぶ潜航戦などを克明に描いている。潜水艦戦の苛烈な一面を垣間見ることができる作品だ。特にヘッジホッグ弾の直撃を受けながらも不発弾のため九死に一生を得たあたりは、興味深い。
本書は米側の記録と照合していないので戦果についてはやや甘めな評価である。そういった意味では「日本側から見た潜水艦戦」と割り切った方が良い。
お奨め度★★★