翔企画の「北海道侵攻」は、1995年に想定されるソ連軍による北海道への侵攻を扱った仮想戦ゲームだ。当時の言葉で言えば「近未来戦」となるが、現在の視点から言えば「過去に起こり得たかもしれない仮想戦」ゲームだ。
1Turnは実際の1日を表し、1ヘクスは30kmを表す。1ユニットは連隊規模の地上部隊か中隊規模の航空部隊を表す。基本シナリオでは地上部隊のみ使用し、開戦後8日間の戦いを表現する。
1Turnは実際の1日を表し、1ヘクスは30kmを表す。1ユニットは連隊規模の地上部隊か中隊規模の航空部隊を表す。基本シナリオでは地上部隊のみ使用し、開戦後8日間の戦いを表現する。
取りあえずどんな感じのゲームが見るために、ソロプレイで基本シナリオをプレイしてみた。
1Turn
ソ連軍による北海道侵攻作戦は、第342自動車化狙撃兵師団(以下、MD)によるオホーツク海岸枝幸付近への上陸作戦と、海兵旅団による稚内上陸作戦によって開始された。342ndMDは紋別から浜頓別、音威子府を経て名寄へ進出。名寄を守る陸上自衛隊第2師団所属の第3連隊戦闘団(3-4-5)を攻撃した。兵力の優位と制空権を持つソ連軍は第3連隊戦闘団を撃破し、名寄を占領した。2Turn
ソ連軍の第2陣は79thMDで、稚内付近に上陸した。また先に名寄を占領した342ndMDは国道40号線を南下し、士別から塩狩峠を抜けて道北最大の都市、旭川に向けて突進した。旭川には陸上自衛隊第2師団所属の2個連隊戦闘団が守備についていたが、自衛隊は軽戦後に撤退。旭川はソ連軍の支配するところとなった。本作の陸上戦闘システムはオッズによるオーソドックスな方法だが、戦闘結果の適用方法がやや変わっている。A2/D2みたいな感じで両軍に与えられる損害が提示されているのは普通だが、両軍とも後退することによってステップロスを全てキャンセルできる。ちなみに攻撃側が後退を宣言すると、防御側への戦闘結果は無効になる。
3Turn
ソ連194thMDが紋別付近に上陸する。これで上陸したソ連軍の兵力は3個師団になった。一方の自衛隊も有事増員によって次第に戦力を整えていく。342ndMDは富良野付近に陣取る陸自第2師団を攻撃し、194thMDは紋別から南下して北見付近で集結しつつある陸自第5師団を攻撃した。陸自各部隊は奮戦したが、Turn終了時には1ヘクス後退し、両翼からの浸透を避けた。4Turn
ソ連31stMDが稚内に上陸し、ソ連軍の師団数は4個になった。他に空挺部隊や海兵旅団等も上陸部隊に加わっているので、実質的な戦力は4個師団を遥かに超える。一方の自衛隊は道央で戦闘中の第2師団と、道東で戦闘中の第5師団に加えて、第11師団も前線にはせ参じた。北見付近で戦闘中の第5師団は帯広付近まで後退する。正直な所、1Turn1日のスケールで自衛隊の各部隊がこんなに素早く撤退できるかどうか甚だ疑問である。道東地区にはそれなりの住民が住んでいるので、果たして彼らを見捨てて後退できるものだろうか・・・?。まあゲームだから割り切ってプレイするしかないが・・・。
5Turn
富良野から後退し三笠付近に布陣する第2師団をソ連軍歴戦の342ndMDが攻撃する。戦闘結果はA1/D1だが、第2師団は現時点に踏みとどまった。また石狩市北側の原野地帯に陣取る第11師団をソ連79thMDその他が攻撃。こちらは戦闘結果A1/D2だったが、自衛隊は2ステップの損害を甘んじて受けた。これ以上後退しない。石狩平野へのソ連軍の浸透は許さない構えの自衛隊なのであった。6Turn
自衛隊は石狩川河口から江別市、そして夕張市からさらに占冠までの線上に3個師団を並べて最終防衛ラインを敷く。その背後、北海道の主要部には第7機甲師団が配備につき、反撃の機を伺う。対するソ連軍。このTurnに最強の第17親衛自動車化狙撃兵師団(17thGMD)が留萌に上陸。海岸線沿いに前進し、石狩川河口付近の陸自第11師団を攻撃する。戦闘比4-1。しかも切り札スペツナツまで投入しての攻撃であったが、攻撃の結果はD1。自衛隊は当然の如くその損害を受け入れ、石狩川河口を守り切る。
他に342ndMDと31stMDの合同部隊が陸自第2師団の3個連隊戦闘団を攻撃したが、こちらも結果はA2/D2で自衛隊側は損害に耐えた。
自衛隊は第7機甲師団を投入して岩見沢のソ連342ndMDの2個連隊を攻撃する。戦闘比3-1で結果はA1/D1。ソ連軍は損害に耐えて岩見沢に踏みとどまった。
ここでルールミス。ソ連軍は2個師団以上の共同攻撃は禁止になっている。それを忘れていた。
7Turn
このTurnから航空優勢がダイスチェックになる。確率2/3で自衛隊、1/3でソ連側が航空優勢を獲得する。ダイスの結果は予想通り自衛隊側の航空優勢となった。そんな中、ソ連軍は全力で攻撃を仕掛けたが、自衛隊側に致命的な損害を与えることはできなかった。この段階でソ連側の勝機がなくなったと判断。ソ連軍による北海道侵攻は失敗に終わった。勝利条件は、札幌、千歳、苫小牧のいずれかを占領したらソ連側の勝利。逆にこの3都市に隣接できなかった場合は自衛隊の勝利となる。
感想
ソ連側の攻撃が単調過ぎたかもしれない。第1Turnの強襲上陸で道北だけに集中するのではなく、一部を道東に上陸させて自衛隊の防衛力を分散させるべきであった。そうであれば、自衛隊の防衛戦力を分散させることも可能だったかもしれない。また中盤戦はもっと早い段階に襟裳岬、日高地区経由で南から苫小牧を目指す進撃を試みるべきであった。正面からの攻撃だけでは、断固たる決意の自衛隊の戦線を破れない。余程良い目を出さない限りは・・・。後でルールを再確認したら、ソ連軍は道路から1ヘクスまでしか補給線を引けないらしい。すると襟裳岬経由の進撃は補給切れになる。と思ったら第6Turnまではソ連側が補給切れになることはないらしい。ということは早めに襟裳岬に行くべきだったかも。あと、敵ZOCはたとえ自軍ユニットが存在していても補給線を妨害するらしい。
システム的にはシンプルでわかりやすい。今の感覚ではややユニットやヘクスが小さすぎるようにも思えるが、本質的な瑕疵ではない。バランス的には自衛隊がやや有利か?。もう少しやり込んでみないとわからないが・・・。
ちなみに上級ルールを導入すれば、航空戦も楽しめる。次回は上級ルールでプレイしてみよう。