イメージ 1

若き将軍の朝鮮戦争

白善燁 草思社文庫

コマンドマガジンで紹介されていたので読んでみた。筆者の白氏は1920年生まれ。30歳の時に朝鮮戦争が始まり、第1師団を率いて開戦初期の苦しい撤退戦を指揮する。その後31歳で第1軍団長、翌年は休戦交渉の韓国側代表を務め、その年に韓国軍の参謀総長に就任、翌年1月には韓国陸軍初の陸軍大将となる。本書はその著者が見た朝鮮戦争(韓国名称で韓国戦争)の戦記である。
38度線から洛東江防衛線、その後の反転攻勢と平壌攻略戦、その後中国の反撃と一進一退の攻防といった所が本書には描かれている。
本書の見どころはいくつかあるが、最前線の指揮官からみた朝鮮戦争の迫真の戦記というのがまず第1点であろう。また筆者からみた日本軍と米軍の違いについても面白い。「日本の兵隊は強いが指揮官はダメ」というのは良く聞く話だが、本書を読むとその理由が良く理解できる。また筆者が見た米軍指揮官についての評価についても面白い。3人目の第8軍司令官であるバンフリート将軍について、ウォーカーやリッジウェイに比べると我々はあまり馴染みがないが、筆者のバ将軍に対する評価は高い。
総じて本書は良質な戦史であり、朝鮮戦争について新たな視点を開いてくれる作品であることは間違いない。

お奨め度★★★★