ゲームの概要
Triumph and Tragedy、略してT&T。第2次欧州大戦を戦略級で描いたこの積木ゲームが、各地で評判が高い。折角なので購入しようと思ったが、その前に一度プレイしておこうと考え、10月末の某日、対戦プレイに漕ぎ着けた。
(注):このレポートは購入前に書きました。
T&Tは、プレイヤーが3つの陣営に分かれてプレイする。ドイツを中心とするファシスト陣営、米英を中心とする西側民主主義陣営、そしてソ連を盟主とする共産主義陣営だ。史実はファシスト陣営が他の2陣営と戦う展開となったが、本作では共産陣営と西側陣営が戦うことも可能だ。さらに言えば、ラテンアメリカ諸国に共産政権が成立したり、トルコが西側陣営に加わることもあり得る。つまり本作は史実を忠実に再現したスタイルのゲームではなく、史実の枠組みは引き継ぎながらも、史実とは異なった流れの第2次欧州大戦を戦うゲームである。
そして本作は広範な外交戦を扱うため、ゲーム開始が1939年ではなく1936年からになっている。そして史実におけるオーストリア併合、チェコ併合、スペイン内戦といったイベントもゲーム中では再現可能だ。
そして本作は広範な外交戦を扱うため、ゲーム開始が1939年ではなく1936年からになっている。そして史実におけるオーストリア併合、チェコ併合、スペイン内戦といったイベントもゲーム中では再現可能だ。
軍事的な行動はアクションカードと積木スタイルのユニットによって解決される。ユニットには、歩兵、戦車、艦隊、空母、潜水艦、航空機、要塞の7種類があり、それぞれ特徴がある。例えば歩兵はオールマイティだが、先制攻撃ができないとか、要塞は強力だが移動できないとか、航空機は便利だがパンチ力にやや欠けるとか・・・。また新兵器開発のルールもあり、重戦車や重火砲は陸軍国にとっては重要だし、ソーナーや海上レーダーは西側陣営にとっては必需品だろう。
ゲーム展開
今回は練習プレイということで西側陣営をプレイした。細かい展開は省略するが、序盤は何故かドイツとソ連の両方から足を引っ張られて外交戦では勝てず、逆にどうでも良いユーゴを同盟国とするも、ドイツ軍による侵攻を受けてユーゴはあっさりとドイツ軍の軍門に下る。なんとかアメリカの参戦を早めようとするも、こちらも何故かドイツ、ソ連両方から妨害を受けてアメリカはモンロー主義を脱せず。「誰か真珠湾を攻撃してくれぇ・・・」
と悲痛な叫びを上げたくなる。
そんなこんなで1940年になってドイツがフランスに侵攻してきた。フランスにはそこそこ要塞化されており、ドイツ軍も外交戦に力を入れていた関係からか意外と弱い。マジノ線前面でドイツ軍を一度は撃退。その後低地諸国がドイツ軍の攻撃を受けて陥落するも、フランス本国については1940年中は持ちこたえた。
結局1941年にフランスは陥落。その後ドイツと西側陣営との間には奇妙な中立状態となった。その状態を利用して1942年にドイツがソ連に侵攻を開始。二正面作戦を開始したドイツ軍の姿を見てほくそ笑む西陣営。
1943年にようやくアメリカが西側陣営に立って参戦。アメリカ軍を主力とする西側連合軍がポルトガルに上陸。ここを起点に大陸反攻の足掛かりを築く。
しかし時すでに遅し。ドイツ軍がソ連軍を撃破してモスクワを占領。ドイツの勝利でゲームが終了しました。まさかソ連がこうも簡単にドイツ軍の侵攻を許すとは・・・・。
感想
ルールは非常にシンプルでわかりやすい。カードは英語だが、和訳しなくても大丈夫なレベルである。また上記に「史実とは異なった流れの第2次欧州大戦」と書いたが、プレイしてみると案外WW2っぽい展開になって来るのが不思議。米軍がいきなりフランスに上陸するのではなく、フランスから離れた所に最初の上陸作戦を実施するあたりも面白い。ゲームとして面白いのは、外交、技術、軍事力の3者が旨い具合にバランスがとられているという点。本作での外交はアクションカード、技術は技術カード、軍事力は積木ユニットによって表現されている。この3者はトレードオフの関係になっており、例えばドイツ軍の生産力が13だとすると、ドイツは技術カードの購入枚数+アクションカードの行動枚数+増援や補充で増やした戦力合計<=13としなければならなくなる。つまり外交ばかりに注力すると、技術開発や軍事力強化が疎かになってしまう。逆に軍事力をいくら強化しても、技術開発で後手に回っていれば、国力が頭打ちだし、戦場で戦った場合も多大な出血を強いられることになる。あるいは軍事力と技術力ばかり注力していると、今度は外交が疎かになり周りから友好国がひとつもなくなってしまう等。
総じていえば簡単なルールでWW2の流れを上手く押さえた好ゲームである。しばらくは3人用ベストゲームとして君臨し続けると思われる作品だ。