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「ソロモン夜襲戦」は下名がオリジナルで作成中の水上戦闘ゲームだ。1ユニットが実際の1艦を表し、1Hex=1.5km、1Turn=5分間を表す。

イメージ 3今回、「ソロモン夜襲戦」のVASSAL版を作成するにあたり、新しく作成したVASSAL版モジュールを使って既存のシナリオをテストしてみることにした。選んだのは、シナリオ1"戦艦「大和」を撃沈せよ"。「大和」「武蔵」の2艦と、それを阻止する米艦隊の戦いを描いた架空シナリオだ。元々は「大和」と「アイオワ」の対決がテーマだが、バリエーションシナリオとして「大和」対「モンタナ」、あるいは「大和」対「キングジョージ5世」等の対決も楽しめるようになっている。ちなみに後者などは火力と装甲に差があり過ぎて、英艦隊はゲーム上の勝ち負けは兎に角、自艦隊の余りの非力さに涙することになるだろう。

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SetUp

このシナリオでは、「大和」「武蔵」のいずれかが中破以下の損害で反対側の盤端から突破すれば日本側の勝利になる。米側の勝利条件はその阻止だ。米艦隊は日本艦隊の斜め前方に占位し、自軍に有利な大遠距離射撃で日本艦隊の撃破を図るだろう。対する日本艦隊は自軍に有利な中距離以下の砲戦距離に持ち込み、米艦隊の撃破を狙う一方、隙があれば盤端突破を狙うことになるだろう。

なお、「ソロモン夜襲戦」における「大和」と「モンタナ」の評価については、以下の文書を参照されたい。


1Turn

イメージ 6米艦隊を左舷約26Hex(39km)彼方に発見した日本艦隊は速度を25ktまで増速。一気に突破を図る。対する米艦隊は左60度変針。日本艦隊と並行砲戦に入る。
距離23Hex(34.5km))から米戦艦2隻が初弾発砲。「モンタナ」は「大和」を、「オハイオ」は「武蔵」を狙う。。しかし遠距離のためか命中弾はなし。

2Turn

イメージ 5優秀な射撃用レーダーを装備する米艦隊が早くも命中弾を与えた。「モンタナ」の1弾が「大和」のほぼ真上から着弾。副砲弾の誘爆を引き起こし計9ポイントの損害を与えた。また「オハイオ」の1弾は「武蔵」に命中。こちらも9ポイントの損害を与えていた。
一方日本艦隊も射撃を開始する。「大和」が腕の冴えを見せて初弾から「オハイオ」を夾叉。これに1発の命中弾を与えた。しかし「オハイオ」の強靭な水平装甲板が46cm砲弾を跳ね返し、「オハイオ」は無傷であった。

「ソロモン夜襲戦」の砲撃システムは、命中判定と損害判定からなる。まず命中判定で命中の有無と命中した弾数を決めて、次に命中した弾数に等しい回数の損害判定を行う。下の表を見て頂きたい。これが命中判定表である。まず射撃側は火力を求める。状況によって変動があるが、概ね砲数の3倍が火力と考えて頂きたい。46cm砲9門装備の「大和」は27火力、40cm砲12門の「モンタナ」は36火力である。
次に距離によって決められた夾叉値を求める。夾叉値は遠距離、中距離、近距離で、それぞれ2、5、8と決められている。D10を振って出た目が夾叉値以下なら命中が得られ、その時の出目と火力の交差した所に記載された数値が命中弾数となる。例えば27火力の「大和」は2の目を出せば1発の命中となる。ちなみにこのシナリオでは米軍の射撃用レーダーの優秀性を加味し、米戦艦の夾叉値は+1の修正を得る。

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次に損害判定である。損害の判定は砲の種類別に用意された表を使う。1発の命中毎にD10を振る。その時の出目を砲毎の損害判定表で参照し、記載された数値が目標に与えた損害ポイントとなる。この時出目が1~5の場合は「非装甲部命中」となり、出目はそのままである。しかし出目が6~10の場合、装甲部命中となる。その時は目標艦の装甲値が修正値となる。例えば装甲値が11-15-13の「大和」の場合、近距離からの射撃の場合は+11、中距離からの場合は+15、遠距離の場合は+13の修正値を得る。中距離からの装甲値が一番大きいのは、そこが戦艦にとって最も防御力を発揮できる場所だからだ。
今回米艦隊の砲撃が有効打となり、日本側の砲撃が無効だったのは、別に「モンタナ」の方が「大和」よりも強い、からではない(装甲値自体は若干「モンタナ」の方が上だが、火砲の威力で相殺されている)。単にダイス目が日本側にそっぽを向いただけだ。

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3Turn

イメージ 4ここで両軍とも難しい決断を強いられる。変針するか直進するかだ。というのも、一度夾叉を得た場合、次回以降の射撃は夾叉値+2の修正が得られるからだ。ただし射撃艦又は目標艦のいずれかが変針した場合は上記が全てキャンセルとなり、基本となる夾叉値しか使えない。さらにそのTurnに変針した艦は、そのTurnの射撃に夾叉値-1の修正を受けることになる。従って両軍とも相手に変針させたいのが本音だが。さてさてどうしたものか。ある種のチキンレース的な駆け引きになる。
日本軍の立場から言えば、相手は2艦が夾叉に成功しているので変針したくなる。しかしこちらも「大和」が夾叉を得ているので、それを放棄するのは勿体ない。
一方米軍は有利な条件なので撃ち続けたい所だが、しかし悩ましいのは両方とも夾叉を得た場合、米軍の持つ有利さ(レーダー射撃による)が小さくなるということ。つまり通常なら夾叉値が2:3だが、両方とも夾叉を得た後なら4:5になる。日本軍に対する優位は+50%から+25%に激減する。今回は重装甲の「モンタナ」なのでそれほど問題ないかもしれないが、これが軽装甲の「アイオワ」だとかなり悩ましいことになる。

先手を取った日本軍は勝負に出た。変針せずに直進したのである。相手が変針しなければ「大和」は夾叉値4で先手が取れる。もし命中弾を与えて相手の射撃力を奪えれば、展開を有利に出来よう。
しかし「大和」の射撃は出目に恵まれず外れ。同じく夾叉値2の「武蔵」の射撃も外れである。

一方夾叉値5の米艦2隻による射撃は正確を極めた。「モンタナ」が放った40cmのSHS(超重量砲弾)3弾が「大和」に命中。「大和」は一気に24ポイントの損害を被ってしまう。これで累積損害ポイントは33ポイント。一気に小破を通り越して中破である。さらにオマケとして特殊損傷の「強い衝撃」によって「大和」は1Turn射撃不可能となってしまう。
また「オハイオ」はそれを上回る4発の命中弾を「武蔵」に命中させていた。武蔵は21ポイントの損害を被り、累積損害ポイントは30ポイント。こちらも中破である。

2戦艦が中破したことにより日本軍の指揮値は一気に4から1に急降下してしまった。対する米艦隊は全くの無傷である。これ以上ゲームを継続しても結果は不毛なので、ここらでお開きにした。

感想

イメージ 6プレイ時間は約30分。記録時間含めてである。
今回は余りに一方的な展開なので参考にはならないかもしれないが、毎回このような展開になる訳ではない。出目によっては逆に「大和」が「モンタナ」を圧倒する場合もあるので、必ずしも「モンタナ」有利という訳ではない。ただしレーダー射撃による夾叉値+1はそれなりに強烈なので、「モンタナ」が有利なのは間違いないだろう。もしこの修正が気に入らなければ、適用せずにプレイして頂いても構わない。ただしその場合、勝利条件を変更した方が良いだろう。

さて「ソロモン夜襲戦」で無視している要素が1つある。それは「弾切れ」だ。1Turn5分のこのゲーム、戦艦級の艦なら毎Turn5~10斉射程度可能だ。仮に5斉射としても20Turn連続で撃ち続ければ弾薬の残りが怪しくなる。さらに徹甲弾の搭載数はさらに少ないので、10Turnも連続して撃ち続ければ「そろそろヤバイかも」だ。

弾薬ルールを入れれば米艦隊もノンビリ遠距離から撃つ訳にもいかなくなるので、それはそれで面白いかもしれない。

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