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前回、翔企画「北海道侵攻」の基本シナリオについてソロプレイ形式で紹介した。
今回は上級シナリオについて紹介する。

基本シナリオと上級シナリオの違いは航空兵力の存在である。基本ルールではダイスによる制空権判定と制空権有無によるダイス修正のみであった航空戦ルールが、上級シナリオでは実際に航空機ユニットを使い、空戦や対地攻撃、対艦攻撃を行うことになる。他にはセットアップ時の自衛隊側地上部隊が最初から完全兵力で配置される(基本シナリオでは減少戦力状態から開始)とか、ソ連側の補充ポイントが2倍になる等の修正がある。さらにシナリオの長さが8Turnから15Turnに伸びている。それに伴って米海兵師団も登場してくる。

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1Turn(1995年8月1日)

Turnの開始時に航空戦がある。両軍とも最大6ユニットを制空任務に割り付け、空中戦を戦う。形勢不利なら退却することもでき、最後まで退却せずに残った側が制空権を確保する。制空権を確保すると、対地攻撃時に有利な修正が得られ、その逆は不利な修正がつく。
幾度かソロプレイで試した所、連合軍はとにかく制空権を早く取る必要があるという結論に達した。そのため連合軍は、空自第2航空団のF-15J、米第432戦闘航空団のF-16C、空自第3航空団所属の最新鋭機F-2、そして空戦には不向きとも思える三菱F-1支援戦闘機をも制空任務に投入した。対するソ連軍は、Su-27、MiG-29、MiG-23等の制空戦闘機を投入する。ユニット数は6対6の互角。空戦力の合計は32対31でソ連軍が僅かに有利、であった。

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戦闘の結果は連合軍の勝利に終わった。ソ連軍はSu-27を除く5ユニット全てを失い、Su-27もステップロスして後退。連合軍もF-1を1ユニット失い、4ユニットがステップロスしたが、なんとか制空権は確保した。

連合軍が制空戦闘に勝利した原因として、ダイス目の影響もさることながら、手順上の有利さも大きい。空戦は1対1の空戦組を作ることによって解決されるが、連合軍は自軍が有利になるような戦闘組を作ることができる。

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サハリンに駐屯するソ連第342自動車化歩兵師団(以下、342MRD)が、オホーツク海岸の枝幸、雄武付近に上陸する。またソ連海兵旅団は稚内港を占領。補給拠点を確保する。空挺部隊は音威子府付近に降下する。

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オホーツク海岸に上陸した342MRDは、国道275号線と国道239号線を抜けて名寄市の北東部から接近した。名寄市には陸上自衛隊第3連隊戦闘団(3CT)が布陣している。名寄市で最初の日ソ地上部隊同士が激突する。ソ連空軍が名寄上空に飛来し、3CTに1ステップロスの損害を与える。戦闘比5-1の高比率戦闘で損害を被った3CTは名寄市を放棄して後退した。ソ連軍は国道40号を抜けて旭川市付近にまで前進する。朝、枝幸に上陸した地上部隊が名寄で敵の抵抗を排除して夕刻には旭川郊外に到着。現代戦におけるペースの早さに驚くやら何やら・・・。

とはいっても、やはり進撃ペースが速すぎるように思う。気になったので「快進撃」として知られている湾岸戦争の戦例を調べてみたが、主力の第7軍団は4日間で260km進撃しているが、1日平均すると65km、本作のスケールで言うと2ヘクスに過ぎない。また第101空中機動師団がヘリボーン機動で1日200km進撃したこともあったが、それでも本作のスケールならば7ヘクスである。それも敵の抵抗のない地点をヘリボーンという特殊な機動を使って、だ。このようなことを加味すると、本作における進撃速度は(両軍共)やや大きすぎると考える次第だ。

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臨戦態勢に入った自衛隊は、道北に展開する第2機械化師団に再展開を指示。紋別付近にいた25CTは北見経由で陸別付近まで後退。旭川には2個連隊戦闘団が集結し、その北西部、沼田付近には留萌から前進してきた26CTが布陣した。

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補充フェイズに連合軍は先の制空戦闘で損害を被った航空戦力の回復に努める。しかしソ連軍に比べるとゲーム開始時の連合軍は、補充ポイントが極端に少ない。従って回復を試みたものの、全損害を回復するには程遠かった。


2Turn(8月2日)

天候は荒天となった。荒天になると航空戦力が使えなくなる。またソ連側の着上陸はない。ソ連側の補充ポイントも減少する。ソ連側にとって不利なイベントだが、このTurnは特にそうであった。お互いに航空戦力が使えないので、先のTurnにおける空中戦で損害を被った連合軍にとって、回復するのに好都合である。

そんな訳で航空戦がないので、一気に地上戦に雪崩れ込む。ソ連の海兵隊はオホーツク海岸を南下。紋別港を占領。サロマ湖手前で国道242号線を南下して内陸に入り、遠軽経由で北見まで進出する。
342MRDは名寄から南下して旭川市を攻撃する。しかし攻撃は失敗。戦闘結果A1で、342MRDは貴重な戦車ユニットをステップロスせしめられた。

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自衛隊は第11師団、第5師団にも戦闘命令を発した。道東を担当する第5師団は肥沃な道東一帯を放棄。道東の中心地である帯広すらも放棄して一気に日勝峠まで後退する。それはまさに道東一帯をソ連軍に引き渡すようなものであった。
第11師団は砂川付近に集結。第2師団も旭川を放棄し、美瑛西部の丘陵地帯に布陣する。後退する自衛隊を追うように避難民の群れが道央自動車道、国道12号線、38号線、40号線、237号線、273号線、274号線等を埋め尽くす。あーあ、逃げ遅れた旭川や帯広の市民たちはシベリア送りになってしまうのか・・・。

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3Turn(8月3日)

天候はまたもや荒天になった。しかしこれではゲームにならないので「神様裁定」で悪天に変更した。悪天なら航空機は飛べるし、ソ連軍の増援部隊も到着する。

制空戦闘ではソ連軍Su-27部隊が活躍し、連合軍は計5ステップ失ってあわや制空権を失うか、という所まで追い詰められた。しかしソ連軍も4ユニットを失い2ユニットがステップロス。頼みのSu-27もステップロスした所でなんとか連合軍が制空権を確保した。

このTurnソ連軍2個師団が着上陸してくる。そこを狙って航空自衛隊第3航空団所属の新鋭F-2支援戦闘機が対艦ミサイル攻撃を仕掛けた。一連の攻撃で上陸部隊は5ステップを失った。半数以上の部隊が損害を被った計算になる。

ソ連軍342MRDは美瑛市街地付近にまで進出。美瑛西部の丘陵地帯に布陣する陸自第2機械化師団の混成部隊を3-1の比率で攻撃する。あーあ、美瑛の美しい丘陵地帯も地獄の業火に焼かれてしまうのか・・・。戦闘結果はA2/D2。342MRDは虎の子の戦車連隊(7-6-5)を失ったが、自衛隊も2ステップを失う。

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4Turn(8月4日)

連合軍側の航空兵力が続々と強化されている。前のTurnに小松基地からF-15J 2個飛行隊が戦場に到着し、このTurn、嘉手納基地に展開する米空軍第12戦闘飛行隊のF-15Cが到着する。このような状況下では制空権は動かず、北海道上空は連合軍機の支配する所となった。それでも夜間や連合軍の隙を見つけて少数のソ連機が対地攻撃に飛来することもあったのだが・・・。

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陸上自衛隊の3個師団は、暑寒別山系に第11師団、芦別山系に第2師団、日勝峠に第5師団を配置して防御の構えをする。ソ連軍342MRDは戦線中央の第2師団を3-1で攻撃する。戦闘結果はA1/D1。両軍共損害を出してその場に踏みとどまった。

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5Turn(8月5日)

天候は晴れ。このTurnの制空戦闘でソ連最強のSu-27部隊が失われた。回復チェックにも失敗。Su-27部隊は永遠に失われることになる。

回復チェックとは、壊滅した部隊について何Turn後に回復するかをチェックするダイス判定のことである。1~5の目が出たら、出目と同じTurn後にステップロスの状態で復活する。しかし出目が6の場合はその部隊は永遠に失われる。

ソ連軍は新たに前線に登場してきた第79自動車化歩兵師団(79MRD)を暑寒別南部に展開する自衛隊第11師団を攻撃する。戦闘比2-1、スペツナツ部隊を投入しての乾坤一擲に攻撃であったが、結果はA1で攻撃失敗。空自F-2支援戦闘機による対地攻撃も相まって、70MRDの虎の子戦車連隊(10-8-5)が壊滅。回復チェックにも失敗して永久除去となった。

342MRDは三笠市東部の山岳地帯で第2師団の残存部隊を攻撃。戦闘比2-1で結果はA1/D1。こちらもソ連側虎の子戦車連隊が壊滅。回復チェックにも失敗して永久除去となる。

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