「ソロモン夜襲戦」は筆者がオリジナルで作成中の水上戦闘ゲームだ。1ユニットが実際の1艦を表し、1Hex=1.5km、1Turn=5分間を表す。
今回、「ソロモン夜襲戦」のVASSAL版を作成するにあたり、新しく作成したVASSAL版モジュールを使って既存のシナリオをテストしてみることにした。前回の「大和」vs「モンタナ」に続いて、シナリオ2を試してみた。"「ソルトレークシティー」危機一髪"というタイトルのこのシナリオは、1943年3月に戦われたアッツ島沖海戦だ。
まず兵力が違う。日本側が重巡2、軽巡2、駆逐艦4に対して米艦隊が重巡1、軽巡1、駆逐艦4。巡洋艦の数で日本側が2倍だ。しかも登場する艦についても米巡洋艦は一番古いペンサコラ級とオマハ級。ペンサコラ級は砲火力こそ強力だけど装甲防御が後期の米条約重巡ほどはイケていない(*1)。詰まる所、精々日本重巡と同程度なのだ。砲火力が同等、装甲が同等なら、雷装に優れた日本重巡に分があることは明らか。オマハ級については、日本側の5500トン級よりはイケてるけど、重巡戦力の劣勢を考慮すれば雀の涙。あと駆逐艦については比較するのも愚かで、隻数は同数でも砲雷戦能力では個艦優越を誇る日本側の優位は明らか。要するに兵力比較では勝負になっていないのだ。勝利条件ではある程度下駄を履かせているが、その程度で補える兵力差ではない。そう思っていたのだ。
だから、稀に「ソロモン夜襲戦やりましょう」と誘われても、このシナリオは避けていたのだ。
だから、稀に「ソロモン夜襲戦やりましょう」と誘われても、このシナリオは避けていたのだ。
1Turn
両軍とも初期配置のまま変針せずに接敵を図る。距離13Hex(19.5km)で対峙した日米の重巡が共に初弾を発射する。この13Hexというのがミソで、砲口径の大きい米重巡は中射程で夾叉値が5、日本重巡は遠距離で夾叉値が2になる。この時米軍の狙い通り、「ソルトレークシティ」の初弾が「那智」に命中。これに2損害を与える。
2Turn
日本艦隊は所謂トーゴーターンを実施。米艦隊の頭を押さえる形で並行砲戦を企図する。この位置から撃ち続ければ、やがて兵力差がモノを言って日本艦隊が勝利するだろう。また別働の第1水雷戦隊(軽巡「阿武隈」、駆逐艦4)は右に変針。米艦隊の頭を押さえる位置に向けて突進する。しかし変針にCP(指揮ポイント)の多くを使ってしまったため、このTurn、日本艦隊の射撃は最小限に留まる。兵力に勝る日本軍のアキレス腱が指揮値の低さで、このシナリオでの指揮値は米軍と同じ4。兵力が大きいことを考慮すると、やや心もとない。一方の米軍。日本艦隊の動きに関わらず直進を維持。距離8Hex(12km)まで近づいた所で「ソルトレークシティ」が「那智」を猛射する。再び夾叉を得た米艦の射撃は3弾が命中。「那智」の累積損害は5となって小破。さらに「ソルトレーク」の1弾が「那智」の舵機を吹き飛ばした。

3Turn
ここで初めて米艦隊は大きく変針する。右へ120度の大変針。日本艦隊に包囲されるのを嫌った運動であることは明らかだ。舵機をやられて速度が大きく減じた「那智」は艦隊から落伍していく。それに対して「ソルトレーク」は距離6Hex(9km)の至近距離からさらなる射撃を加えていく。3弾が命中して「那智」の累積損害は9ポイント。これで「那智」が中破した。これにより日本軍の指揮値は4から3に低下する。
4Turn
両軍とも距離が近づいたので魚雷を発射する。日本側の発射したのは計12本、米側は10本だ。しかしこれらの魚雷は1発も命中しなかった。そしてこのTurnの砲撃戦で米駆逐艦2隻による射撃が日本駆逐艦「雷」に2弾命中。「雷」が中破したことにより米側の勝利得点が46点に達した。40点以上で米側の勝利なので、この時点でゲーム終了となる。
考察
結果から言えば、第2Turnにおける日本側のトーゴーターンが敗因といえる。ただこれは結果論というべきであろう。仮に日本艦隊がトーゴーターンを行わず、そのまま真っ直ぐ突っ込んで来たらどうなったであろうか?。米艦隊がこれをやりすごすように左へ60度変針し、煙幕を張りながら北東へ突破を図った場合、日本艦隊はそれに対する対応困難になることが予想される。盤の右側領域に米艦隊が進入した時点で船団襲撃に成功したとみなされ、米艦隊のサドンデス勝利になるからだ。そういった意味でこのシナリオは、シナリオ11と同じく「教育的な」シナリオであり、かつ短時間で終わる可能性も高い好シナリオと言える・・・、かもしれない。