「ソロモン夜襲戦」は下名がオリジナルで作成中の水上戦闘ゲームだ。1ユニットが実際の1艦を表し、1Hex=1.5km、1Turn=5分間を表す。
今回、「ソロモン夜襲戦」のVASSAL版を作成するにあたり、新しく作成したVASSAL版モジュールを使って既存のシナリオをテストしてみることにした。今回はシナリオ8「タナカ、恐るべし」をプレイしてみる。このシナリオは史実でのルンガ沖夜戦を扱ったものだ。史実では日本軍の優れた夜戦技術によって兵力に勝る連合軍が敗退したのだが、果たしてこのシナリオではどうなるのか。

SetUp
米軍の戦力は、重巡4、軽巡1、駆逐艦6の計11隻。重巡は条約型の1万トン級で、軽巡も1万トン級の大型軽巡だ。駆逐艦の1隻は新鋭のフレッチャー級で、日本軍の艦隊型駆逐艦に匹敵する性能を有している。また重巡、軽巡、新鋭駆逐艦はいずれもレーダーを装備している。対する日本軍は駆逐艦8隻のみ。しかも駆逐艦の大半は予備魚雷を搭載していない。一見すると圧倒的に劣勢だが、日本の駆逐艦はいずれも2000トン級の大型艦で、米軍の駆逐艦に比べると個艦性能では遥かに勝っている。しかも全艦が強力な酸素魚雷を装備している。米軍側には特別ルールがあって活動に制約を受けているので、必ずしも一方的に不利ではない。
1Turn
このシナリオは特別ルールによって最初の2Turnは米軍は変針できない。まっすぐ走るだけだ。日本軍としては第2Turn終了までに魚雷を目標に当てたい所だ。そのためには第1Turn終了時までに目標から5ヘクス以内も進入しておきたい所だ。最初に敵側に位置している警戒駆逐艦「高波」は既に5ヘクス以内に踏み込んでいるが、他の7艦はいずれも敵から離れている。そこで日本艦隊は敵との距離を詰めたい所だ。第15駆逐隊の「黒潮」「親潮」「陽炎」「巻波」の4艦は速度を30ktに増速し、S字運動によって敵との距離を5ヘクス(7500m)まで詰めた。米艦隊は照明弾を使って「親潮」「黒潮」の2隻を照らし出す。重巡「ミネアポリス」が9000mの距離から射撃開始。駆逐艦「親潮」に20cm砲弾2発が命中したが、「親潮」はなおも戦闘可能であった。他の巡洋艦3隻、駆逐艦4隻も射撃を開始したが、いずれも出目が悪く命中弾はない。

2Turn
「高波」「親潮」「黒潮」の3艦が魚雷を発射した。発射した魚雷数は計24本。それが米艦隊の舷側を襲う。「高波」の発射した魚雷1本が重巡「ペンサコラ」に命中。また「親潮」の発射した魚雷の2本が重巡「ミネアポリス」に命中した。「ペンサコラ」「ミネアポリス」の両艦はいずれも中破した。にしても、1本命中の「ペンサコラ」は兎に角、2本命中の「ミネアポリス」については撃沈か最悪でも大破までは追い込みたかった日本軍なのであった。米軍の反撃は「ペンサコラ」の砲撃で2発が駆逐艦「高波」に命中。「高波」は小破した。

3Turn
日本艦隊の魚雷攻撃第2陣は「巻波」「陽炎」「長波」の発射した酸素魚雷計24本だ。移動制限を解除された米艦隊は艦首を魚雷の方向に向けて被弾面積を極小化する。日本軍としてはそれでも1本ぐらいは当てておきたい所だが、この時は日本側に運がなく、24本の魚雷は1本も命中しなかった。駆逐艦「親潮」が米艦隊の砲撃を受けて被弾。大破して速度が減じる。


5Turn
「江風」「涼風」の放った16本の酸素魚雷のうち、1本が軽巡「ホノルル」に命中した。「ホノルル」は中破して速度が減じる。一方、重巡「ノーザンプトン」が煙幕越しにレーダー射撃を行い、駆逐艦「江風」に命中弾1を与えた。「江風」小破。

日本軍の勝利