解説

これまで南北戦争ゲームといえば、VG社のThe Civil War(TCW)、GMTのFor the People(FtP)をはじめ数多くの作品が生まれてきた。本作はこれまでの作品をベースとして発展してきていることは明らかである。例えばFtPと比較した時、SP(戦力ポイント)や将軍の扱い、補充の受け取り、沿岸要塞、河川支配、海上封鎖等の概念では、本作がFtPの影響を受けていることは明らかだ。
では、本作の特徴は何だろうか?。
本作は毎Turn、4回のアクションラウンドを繰り返すことによってゲームが進められる。各アクションラウンドでは、両プレイヤーが1D6を降り合って、その差分だけ両プレイヤーがアクションポイント(AP)を受け取る。そしてより大きい目を出した方が先攻側となる。ちなみにゾロ目の場合は、両プレイヤーが特殊カードを1枚づつ受け取った上でダイスを振り直し。出目差が1の場合は両プレイヤーが東部戦線、西部戦線、ミシシッピ対岸戦線で各1ポイントのAPを得る。
APは原則として1部隊の活性化を行うのに使われる。部隊といっても軍司令官クラスが率いる軍規模のもの(7~18SP)、軍団司令官が率いる軍団規模(4~6SP)、師団規模以下(1~3SP)等様々だ。しかしAPについては部隊規模に関係なく、一律1部隊=1APとしている。なお、一部慎重派の将軍(マクレラン等)の率いる部隊の場合、敵のZOI(支配領域、ZOCのようなもの)に侵入する場合は、1APではなく2APの消費が必要になる。

面白いのは、戦闘規模に応じて振るダイスの数と加算できる指揮官の数が変わってくる点。自軍のSP数が1~6SPの場合はダイスは1個で加算できる指揮官は1名だが、SP数が7~12でそれぞれ2個2名となり、13SPで3個3名となる。つまり小規模戦闘なら個々の指揮官能力の優劣が大きな影響を占めるが、大規模戦闘の場合は総司令官の能力の占める割合が小さくなり、必然的に組織の優劣が焦点なってくるということ。このあたり、日本の戦国ゲームでは殆ど見られない概念だけに、日米両国のカリスマや組織に対する考え方の違うを見るようで興味深い(ちょっと大袈裟?)。

なお本作では、指揮官の戦死ルールがなく、指揮官は他のユニット同様、増援や退出によってゲームに登場したり、ゲームから退場したりする。史実で戦死した指揮官は、史実と同じタイミングで戦死してゲームから退場していく。このあたり評価の分かれる所かもしれないが、指揮官の死亡チェックダイスでゲームの展開が大きく変わってしまうことがないので、こちらの方が良いかもしれない。
戦闘以外では河川支配に関するルールが重要である。このあたりはFtPと殆ど変らない。従って経験者であれば比較的容易に理解できよう。しかしルールを読んだだけでは解り難いので、経験者に聞くのが近道だ。


プレイ
今回はお互い初めてのプレイだったので、初級ルールのみでのプレイであった。シナリオは1863年シナリオ。ゲティスバーグで南軍が敗北し、西部戦線では要域ビックスバーグが陥落して南軍の敗勢が明らかとなった時期である。いわば南北戦争の転機となった時期といえよう。下名は南軍を担当した。




感想

ルールはやや多いが基本的な概念はシンプルである。アクションフェイズが活動の中心になるので、そこでの動きを理解すれば良い。その他の細かいルールは、最初はざっと読むだけにしておいて、実際の運用については戦況に当てはめながら考えていく方が良い。
プレイ時間は全5Turnで約9時間かかった。うちセットアップが1時間強なので1Turn平均は1.5時間ぐらい。慣れれば1Turn1時間ぐらいだろうか。キャンペーンが全20Turnなので、2日間連続でプレイすれば、なんとか終盤が見える所までは行けそうだ。機会を見つけてキャンペーンゲームをプレイしたいものである。







